東京でオペラを初めて上演したのが「カルメン」で、その場所がこのホールだった。それからどの位使用しただろう。「道化師」などををやった時は舞台装置を作るのに当時の裏方スタッフが色々と親切に聞いてくれた思い出がある。
ところが数年前から手伝ってくれるうちの若い子達から裏方への苦情が多くなった。何を聞いても上から目線で手伝ってくれない。あるスタッフから「あの人には下から目線でいった方がいいよ、キャラキャラした子が好きだよ」と。確かに気に入った女の子とは仲良く話していたらしい。
その「あの人」というのが今回、終演後にこんな写真を突きつけて来たのだ。
「マスクを外した人がいるじゃないか」と。
多分これは工藤だと思うが、私が思い出す限り工藤がマスクを外しっぱなしでいた事はなかった。トイレから出て一瞬外した所を隠し撮りされたらしい。要するに狙っていたのだ。このスパイの様な行為をどう思われるだろうか?
そしてどういう権限なのかこの裏方に来年のキャンセルを言い渡されたのである。
私達が練習で使用している区の会館等は「いつもありがとうございます」という挨拶がありとても親切で恐縮してしまう所ばかりだ。私達はそういう素晴らしい人間関係の中で音楽がやれている。だから今回の件には非常に驚かれた。
まぁ私達も無観客という事で多少気の緩みがあったかもしれない。ただでさえやる気のない「あの人」だから公演後に客席やホールをクリーニングしなければならないのは大変な事だろう。だからかとにかく公演をやらせない方向に持って行くらしく今はほとんど公演はない。勿体ない事だ。税金の無駄使いではないか?
さらば、悲しみのホールよ。
我々は新しい歴史の扉を力強く開いて歩んで行こう。
決して音楽の灯火を消す事はない。どんなに過酷な状況であっても、みんなで手をつないで歩んでいこうと改めて誓った次第であったのだった。終
