修羅場の本番 | オペラ歌手くみバードの、ひたすらオペラな人生

オペラ歌手くみバードの、ひたすらオペラな人生

主催している「ありどおろ座」オペラ団の情報や合唱の練習など音楽家としての生活です。



昨日は・・・本番でした。
そして・・・歌を始めて数十年の我がコンサート史上で最悪に近い演奏でした・・・。

簡単に言うと身体が機能しなかった。
一曲目を歌った後に、
うん、なかなかうまくいったわいと安心した途端に、
二曲目から中音がすべてひっくり返りそうになり、
びくびくで歌わなくてはならなかった。
連れ合いが途中で心配して楽屋に来てくれて
「とにかく声を中に入れて圧迫させて。
ブレスをしっかりして思いっきり出して」。
これはいつもいつも考えている事なのに何故出来なくなってしまうのだろうか?

多分声が成長しすぎて(肥大して)脳が声を出さない様に指令を出してしまったのだろう。
人間の潜在意識とは恐ろしい。
私の長所はブレスだったはずなのに
自分では必死で息をしているつもりなのに、
うまくいっていなかったらしい。
背中が丸かったと言われた・・・ショック!!!

私があまりにも悔しがっていたので
「でも柄の大きさはあったし印象に残る声だったから良かったよ」
と連れ合いは慰めてくれた。
実は歌っている間、連れ合い達テノールを思い出していた。
歌手はすべてそうだが特にテノールはこういう状態に陥りやすい。
テノール時のドミンゴはいつもだったらしいし、
パヴァロッティだってそうだ。
戦々恐々としてそれでも平然と歌っていた。
法則を知っていたからだろうけど。
その戦っている姿は我々から見ると本当に勉強になる。
しかし、いやー、冷や汗だらけで辛いねー、
ま、恥かくだけで死ぬ訳じゃないから、
つうか、きっと今日は完全に治ってると思う。
調整しなおしながらの修羅場の本番だったからね。

さて、次の5月のガラに向けてもっと頭を働かせなくては、だな。
加齢故に声帯の潤いが無くなってきてるのも一原因だから、
そのケアもしなければ~~~~、アハハ(力のない笑い)。