ドミンゴのタイスと私の覚悟 | オペラ歌手くみバードの、ひたすらオペラな人生

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主催している「ありどおろ座」オペラ団の情報や合唱の練習など音楽家としての生活です。

スペインのバレンシアでドミンゴの「タイス」を見て来ました。
ドミンゴは今年で71歳のはずです。
バリトンの役とはいえ、舞台に出っぱなし、歌いっぱなしで回り舞台で走り回って大活躍でした。
もとからですが下の声もとっても響くし高音はバリトンとしては高いでしょうが、
ドミンゴにとっては楽勝です。
とにかく、物もあって、頭が良くて、メソードは完璧・・・言う事ありません。
歌に、指揮に、プロデュースに、と、本当に仕事が好きなんですね。
まるで怪物です。
発声のメソードは及ばずながら私達と全く同じ!でした。
今回それがはっきりと再確認出来ました。

そしてまた私自身、ドミンゴを見てこれでいいのだと思った事がもう一つありました。。
現在は是非ドミンゴにやってほしいと劇場側がオファーして、
そのためにはギャラはもちろん、配役などすべてドミンゴのやりたい様に出来る企画ばかりでしょう。
その場合平凡に考えると、自分の相手役なのだから、それ相応にいい人を連れて来るかと思いきや、
おっとどっこい、そうでない場合が多いです。
今回も呆れる程、ドミンゴの一人舞台でした。
何故かというと、若干ながら企画をしている我々には良くわかるのですが、
この世には義理と人情があります。
上手くても何の関わりがない人に仕事を上げるより、お弟子やお世話になっている人に上げた方がいいに決まっています。
それが仕事のやり方だと思います。

ドミンゴやパヴァロッティもそういうやり方を色々と言われながら、
自分の演奏場を設けて来ているのだから、
私もそういう外野の声に惑わされる事なく、
自分の歌さえ良ければいい、位の気持ちでいきたいと思います。
まあ長年の私のお客様は私を聴きに来て下さっているので他の事は何も言いません。

もちろん、教えている以上お弟子ちゃんはどんどん上手くなって欲しいですけどニコニコ