今日は”絶滅寸前のショットシェル”のお話です。
さて私のコレクションの中でも最高級、TANAKA WORKS製 Remington MODEL 870 SHOTGUN extension 18inch versionです。
2007年頃の発売から約15年経過した廃盤、もちろんオークションで手に入れた中古です。
昔から”排莢式”と言えば、ライブシェルの”マルゼン製M1100/M870”もありますね。
このタナカのショットガンの特筆すべき特徴は、シェルの装填・排莢の動作や金属音です。
実に”REAL”で”男のROMAN”なのです。
”エアガン/ガスガン”ではなく、むしろ”モデルガン”と考えるべきです。
私は「タナカ純正」と「PPS製」、「MADBULL」のショットシェルを持っています。
シェルにガスを入れ、これだけで弾が出るので『シェル自体が肝(きも)』です。
よって、このシェルとハンマーだけ持って「戦」へ出陣できます (^-^)。
しかし、サバゲーには向いていません。
モデルガン+ガスシェル=実銃に近い ・・・故に”大人の事情”で絶滅です。
となると、マルゼンのようにガスタンクを本体内(グリップやストック)に配置するしかありません。
さて、久しぶりにメンテナンスします。
見事に数本”ガス漏れ”発見。
本体さえ壊さず大事にすればOK!
あとはシェルのメンテナンスで長持ちします。
でも「メンテナンスはシェル内にシリコンまけば大丈夫」ってほんと?
”シェル分解”に関してあまりネットで見かけませんが、単純な構造だからでしょう。
『昔、アームズマガジンに分解図が掲載されていた』との報告もあります。
私が所有している3種のガスショットシェルを紹介したいと思います。
① タナカ純正M870ショットシェル
純正はシンプルな緑色のシェルですが、「superX」や「EXPRESS」というカーキ色のものもあります(下記の”追記1”参照)。
そもそも発売当時の価格は”5本セット”で4,000円くらいのはずですが・・・。
現在はヤフオクなどでも高価でなかなか入手困難です。
ガス注入は付属のアダプターを使用します。
(※もしアダプターがない場合はリムを外し、ガスタンクを取り出して注入すればOK)
装弾数は1~3発。
1回のチャージで5~7回程度の発射が可能と思われます。
「改正銃刀法に基づいて”単発での発射で法定範囲内”の設定」と取説に記載されてます。
総重量は24g。 ガス注入すると27gくらいになります。
非常にシンプルな構造です。
真鍮製のフタは捻って引っ張ると抜けます。
構造は大まかに「プラ製の筒(シェルケース)」、「ガスタンク」、「真鍮製のリム(メタルヘッド)」の3点です。
まずシェルケースから。
筒の先端からBB弾を入れますが、先端フタの下に”Oリング”が挟まっています。
この”プラ製のフタ”はラジオペンチ等で軽く把持して捻れば外れます。
しかしこの部分は衝撃やプラ劣化でヒビ(クラック)が入りやすくなるため注意が必要です。
フタにひび割れが起こると緩みが生じて、”Oリング”が外れやすくなります。
発射時にBB弾以外の”何か黒い物が一緒に飛んでいく”ときはこの”Oリング”です。
ヒビのせいでOリングが飛んでいくし、ガスチャージ時にアダプターでフタが外れます。
Oリングが迷走してチャンバー内にはまって詰まることもあるそうですので要注意。
よって、フタのヒビは接着剤でくっつけておきましょう。
次にガスタンクです。
後方にある雷管(プライマー)部に注入バルブが付いています。
普段のメンテは、この注入バルブを外して中にシリコンスプレーを噴射するだけで十分だと思います。
それでもガス漏れする場合は分解してみましょう。
よ~く見ると、ガスタンクの後方に”浅い溝”があり、タンクのフタになっています。
14番スパナで前方を固定しながら、後方の溝(薄くて見えづらいですが)に合わせてモンキーレンチをしっかりつけて、慎重にゆっくり緩めます。
亜鉛合金製で柔らかいのでしくじると溝が壊れますので注意!!
もし壊れたらヤスリで溝を修復しておくとよいです。
タンク、ピストン状のロッド(フロントバルブ)、スプリング、タンクフタ、Oリング、注入バルブになります。
全てバラすとこんな感じです↓
内部の汚れを拭き取ってシリコン塗布でほぼ蘇ります。
それでもお漏らしするときは、シーリングテープを巻くかOリング交換が必要です。
注入バルブは交換可能です。
最後に、メタルヘッドは真鍮製なのでクリーナーでしっかり磨けば綺麗になります。
リムの刻印は「TANAKA WORKS 12G」とあります。
たまに変形しているメタルヘッドがありますがハンマー等で叩けば平らになります。
【 追記1:純正superXシェルとEXPRESSシェル 】
まず純正シェルの「superX」について。
これらはタナカの”M1897 トレンチガン用”として発売されたらしいです。
これはいつ発売されたものなのでしょうか・・・。
↓M1897トレンチガンの”モデルガン用シェル(黒)”もあるので注意しましょう。
↑空撃ち用としては使えますけどね。
色がカーキ色で、リムの刻印には「TANAKA U.S. M1897 12G」とあります。
シェルケースのデザインやリムの刻印がいいですね。
でも、↓実物のショットシェルで「Winchester製 superX」というのはありますが・・・。
これ、パクリでしょうか、大人の事情は大丈夫でしょうか?
シェルケース表面に「superX」ではなく「EXPRESS」と記載された純正品もあります。
これもリムの刻印は「TANAKA U.S. M1897 12G」とあります。
やはり気になる。
M870とM1897はどっちが先に発売となったのでしょうか。
互換性はあるのでしょうか。
これらは”刻印”通りにM1897用なのでしょうか。
ネットでは「M870と互換性がない」と言われているようですが・・・???
シェルの見た目の長さや外径はほぼ同等です。
とりあえず私のM870でも問題なく装填、発射、排莢可能です。
M1897トレンチガンを持っていないのでそっちはわかりませんが。
ここで問題発覚!!
なんとガス注入アダプターがM870用シェルにハマりません↓
しかし、M870用のアダプターはM1897用シェルに使用できます。
厄介ですね。
じゃあ”M870用アダプターなら両方使える”って結論です。
M1897用シェルではヘッドの丸い輪になったプラ部分が薄く、専用アダプターもその分わずか0.2~0.3mm程度ですが厚くなって、M870用シェルには入りません。
シェルを分解してみると違いがわかります。
パーツ数は同じくらいですが、タンク形状が変更され、さらに余計なものが1個あり。
ガス注入部に輪っか状のプラパーツがはさんでいます(黄色の矢印)。
ガス放出部が3mm程度長くなって(赤色の矢印)、ガスタンクが一回り小さくなっています。
シェルケースもやや厚みがあります。
↓純正緑色シェルのガスタンクがsuperXのシャルケースに入りません。
シェルやリム自体の大きさは変わりないので、シェルケースの内径が小さくなっている(シェルケースの厚みが増している)ということがわかります。
装弾数は1~3発、総重量は22gで少し軽め。
内部パーツのガス放出口の穴が2つなのでガス放出量を抑えているのでしょうか。
純正の緑色シェルよりも少しパワーが低めの印象です。
では、「EXPRESSシェル」はどうでしょうか。
シェルケースはSuperXシェルよりも薄いカーキ色です。 渋いですね。
アダプターはM870シェル用もM1897用もEXPRESSシェルに使用できます。
総重量は24g、ガス注入すると約27gで純正シェルと同様です。
純正の緑色シェルよりもパワーがやや高め~同等です。
気のせいかもしれません。
分解してみると・・・
ガスタンクの大きさは純正シェルと同様ですが、放出部の長さが3mm程長くできています。
本来シェルのフタ(メタルヘッド)を外すと、
タンクを入れ替えてみると、やはり高さが合いませんのでタンク自体の互換性はありません。
全て分解しても・・・先ほどのパーツ以外は純正M870シェルと同様です。
シェルケース自体は色とデザインが異なりますがSuperXシェルと同様です。
なんでM1897シェル(SuperX、EXPRESS)でこれほど変更する必要があったのでしょうか。
しかも、SuperXシェルはタンク小さいし・・・
ま~いずれ結論としては、『使えるけどアダプターに注意』です。
【 追記2:改造シェル発見 】
たまたま中古購入した純正シェルの中に「加工されたピストンロッド」を見つけました。
たぶん、ガスの1回排出量を増やす目的なのでしょうか。
↓放出口の4つの穴を一部削って大きく2つに集約拡張されています。
さらにスプリングを弱めの細い物に交換されています。
いったい、誰が考えたのでしょうか。 なかなか感心します。
はたして・・・これはどのくらい効果があるのか、弾速計で調べてみました。
0.20gBB弾で装弾数1発で測定。
純正ノーマルとの平均初速比較(1発装弾での測定値)は「約10m/s」程度アップしています。
つまり、純正ノーマルよりも少しパワーが高めです。
むむむ・・・。
結果は、「かとちゃん並み」って感じ。
ショットだけに『ちょっとだけよ~!』でした(^ ^)v。
『あんたも好きねぇ~』
↑みんな知ってる?
② PPS製ショットシェル
2014年頃より輸入発売されたPPS製M870ショットガン(タナカM870のコピー)の純正シェル、”SuperShooter”。
ユーザーには嬉しい廉価版(?)ということです。
確かに銃本体は廉価版です。
しかしシェルは現在でも1本700~1,000円程度で純正品並みです。
PPS製としては「金属製シェル(アルミ)」もあるようです。
この”薄いオレンジ色”ってのが、なんか駄菓子のような安っぽい印象です。
”輸入物”なので新品購入でもひび割れ、ガス漏れ、錆びつきがあり有名です。
私も購入したら5本セット中にガス漏れ1本・ひび割れ1本があり、いきなり修理でした(*_*)。
ガス注入は付属のアダプターを使用します。
1回のチャージで6~8回程度の発射が可能と思われます。
装弾数は1~3発。
ガスタンクはアルミ製で少し軽く、総重量は23g。 ガス注入すると27gくらいになります。
純正シェルとの平均初速比較(1発装弾での測定値)は・・・ほとんど変わりなし。
初速が高めにでる個体もありますが、バラつきが目立ちます。
個体差なのか純正シェルよりもやや装弾不良や排莢不良が起こりやすい印象。
「使ったらアカン!」ってことはないです。
このシェルを使用するエグい銃があります。
敵を”蹴散らす”にはもってこいですね。
さて分解・メンテナンスは同様ですが、純正品と構造が異なります。
なんとなく似て非なるパーツ類。
リムの刻印には「PROFESSIONAL PRECISE SERIOUS 12G」とあり一見かっこいいですね。
頭文字で社名の「PPS」の略称ですが、直訳すると「本格的・正確・本気」。
『我々はかなりマジでパクッてます』と述べた社名・・・正直でいいですね。
それを言うなら私は「PPAP」の方が好きですねぇ!!
結局パクッてる割にはタナカ純正シェルと異なります。
PPSのM870本体はかなりパクっていますが。
さて分解してみよう。
注入バルブを・・・と思って回してみても、
中でバルブごとぐるぐる回って、なんだか外れないし・・・。
このガスタンクには純正と違ってタンクのフタの溝すらありませんので、強引に。
ここにもOリングが・・・。
ペンチか何かで挟みながら、ガス排出部にマイナスドライバーを差し込み緩めます。
さらにOリングが出てきます・・・。
注入バルブも・・・と思って外すと小さな部品が出てきちゃうので失くさないように注意。
注入バルブ内にパッキンもあります。
全部ばらすとこんな感じ↓↓
純正よりもパーツ数が多く、結局どこが原因で漏れているのかさっぱりわかりません。
こんな小さなシェルの中に”いろんな世界”が待っていますね。
”老眼の始まりかけの私”にはしんどいです。
だんだん小さくなる・・・
ロシアの民芸品、あれなんて名前でしたっけ?
調べてみたら、「マトリョーシカ」だそうです。
プーチン大統領のマトリョーシカがあれば、ターゲットにして遊びたいですね・・・。
さて、これも汚れを落としてこれらにシリコン塗布したり、Oリング交換したり。
これ、5本もやるの~?
ですが・・・いずれ漏れます。
日々メンテが必須です。
③ MADBULL製ショットシェル
定価がわかりませんが、ネットで1本2,000円程度する高価な輸入品です。
PPSなどの他社でも同様の金属シェル(紫、赤、黄、緑)があるようです。
面白そうなのでオークションで購入してみました。
金属シェル(アルミ)で見た目はカッコいいですが、重くてシェルの”飛びっぷり”が悪いです。
”放物線を描く”というよりは”ぼたっと落ちる”印象です。
総重量は39gで、なんと純正シェルの1.5倍以上。 ガス注入すると40g超えます。
しかも、ガス漏れしやすいです。
アダプターは不要で、バルブに直接注入できます。
そもそもCO2ガスを使用するために金属にしたらしいですが。
装弾数は1~6発。
また、一回の発射で全てのガスを放出するため、燃費悪いです。
発射音は大きく、乱暴な迫力のある音がします。
発射後はシェル底部の雷管(プライマー)部を1回押しこんで”リセット”する必要があります。
リムの刻印には「READ MANUAL BEFORE USE(使う前に取説読め)」とありますが、肝心の取説らしきものが同封されていません。
ネットで不思議なものを見つけました。 ミニランチャー!
これってサバゲーでは”緊急的に使う”ようなオプションなのでしょうか。
バレルなしにどのくらい飛ぶものか。
「5発」でどう緊急的に使うのか・・・。
”豆まき”のように手でBB弾をまいた方が早いような・・・。
さて、これも弾速計で調べてみました。
純正シェルとの平均初速比較(1発装弾での測定値)は・・・「約5m/s」程度アップです。
1回で放出する割にはパワーがどこかに分散しているような印象。
せっかく1回なら、3~4発は入れて撃つほうがよさそうです。
まさに”火炎放射器”ならぬ”ガス放射器”。
プラ製シェルに比べて本体内部へのダメージが大きく、ジャムることも頻繁です。
他の報告でも装弾不良、発射不良、排莢不良が目立ちます。
M870本体を壊しそうで、正直怖いのであまり使ってません・・・。
はっきり言って「M870に使ったらアカン!」です。
分解・メンテナンスは同様ですが、これも純正品と構造が異なります。
パーツは素手やペンチ等で回すと外れます。
どうもこのお尻側(後方)がポイントかもしれません。
この部分を外す時はそっと・・・4個の金属ボールが出てきますので無くさないように注意。
ボールベアリング?
気になるのは、このパーツ自体が少しきつくて上下動作に問題があります。
少し削った方がよさそうですが、余計に漏れますかね。
この先端にあるOリングが劣化で壊れていました・・・。
たぶん、ここがガス漏れの一番の原因かもしれません。
私が中古購入した5本セットのうち4本がこの状態で漏れ漏れでした。
新しいOリングに交換しましょう。
注入バルブも小さいパーツなので注意してください。
小っちゃ!!
全部ばらすとこんな感じ↓↓
むむむ・・・細かすぎる。
結局、この子も漏れるよ・・・。
『ママ、おむつ買ってきておくれ・・・』。
★【今日の結論】★
純正が一番、メイドインジャパンの勝利です(?)。
パーツ数からしても、純正シェルの方が少なくシンプルです。
メンテナンスもしやすい!!
Simple is the best !!
でも売ってない!!
Why Japanese people !!
タナカワークスさん、再販して!!!
今日はこのへんで。