第2回の講義を始めます。出席100パーセントです。最終週は実技を行います。
   
   アダルトビデオ(以下AVと表記)において、多くの男性ユーザーを虜にしているジャンルがある。それが「素人モノ」。

   説明しよう!素人モノとは。
   AVというのは、AV女優が1名以上出演している2時間ほどの作品というのが通常で、パッケージなどには出演者などが明記されていることが主だ。つまり、その女優の正式な作品として扱われている。単体作品は言うまでもないが、複数女優が出演している場合は個々が表立って明記されていることは少ない。が、正式にAV女優として出演していることに変わりはない。
  
  対して素人モノというのは、正規の作品のようにスタジオなどでしっかり撮影したようなものではなく、主にホテルやどこかの一室などでこじんまりと撮影され、あたかも一般人(素人)をAVへ出演させているような演出を施した作品のことである。
   そう、"作品"なのである。素人モノとはいうが、AV業界と一切関わりのない正真正銘の素人が出ていることは少ない(ガチ盗撮モノや流出系は除く)。仕草や設定、撮影場所やチープさなど、あらゆる要素を素人"っぽく"しているのが大多数であって、その大多数は正式なAV女優なのである!!


  では何故、素人モノに惹かれてしまうのか。同じ女優が出ているのであれば、しっかりスタジオなどで撮影した尺の長い作品を見た方が得ではないか?私が考えるに、そこには理由がいくつかある。


  まずひとつめ、安い。

  AV女優の単体作品はまあそれなりにお値段がする。新作ともなれば、リリース初日の価格は2480円である(DMMの場合)。ストリーミングのみにしても1980円であり、まあそれなりにするのだ。このストリーミングとかダウンロード可能作品とかについては、前回の記事を参考にするように。

  対して素人モノ作品は、大手販売サイト「MGS」の場合、新作でもストリーミング視聴のみの場合は500円、ダウンロード可能作品の場合にしてもせいぜい980円と、かなりお値打ちなのである。半額ということを考えると、コスパも段違いである。
   いやいや待てよ、値段がそれだけ違うんだったら、中身のクオリティとかも変わってくるんじゃないか?半額なんだったらその程度の作品なのではないか?
   まあ焦るでない、これに対して私はじっくりと反論させてもらおうじゃあないか。



  ここでふたつめ、
 「コンパクトかつハイクオリティ」

   素人モノ作品の多くは、一作品につき大体50分ほどであり、1時間を超えるようなものはあまりない。あまりダラダラと見ないで済むという利点がある。
   通常のAV作品は、およそ2時間から3時間という長丁場であり、もはや軽めの映画である。時間のない現代人にとって、今夜のオカズに2時間もかけている暇などないのだ。バカンスに2時間も要らない、足りないくらいでいいんです。
  AV作品がこれほどまでに長尺な理由として、女優という商品を最大限によく見せようとするからである。たとえばデビュー作であれば、女優のキャラから演技、その他素の表情など、多くの要素を見せなければならない。そのために何度も場面転換をし、体位もコスチュームも何度も変化する。正直サンプル映像で満足するのも頷ける。
   最初はインタビューカット、そのあとは初カラミ、何度か男優とまぐわり、最後は感想タイムでフィニッシュ(たまに涙がキラリ)。デビュー作の多くはこんな流れ。大きく見て場面が5個ほどある。
   こうなるとぶっちゃけダレる。女優の一挙手一投足見逃さずに、となると3時間見っぱなしである。そうなるとヌキどころがわからない。時短を肝に銘じる現代人にとって、こんな悠長なことはしてられない。よっぽど女優のファンでもないと、すべてを見ている時間はない。


   AV作品では、出演している女優の「すべて」を見て欲しいのである。表情、声、素の部分、その他諸々。それらをハイクオリティなカメラとしっかりしたスタジオで、女優が最大限映えるように撮影される。インタビューシーンや、事後のリラックスタイム等ではとりわけ女優のキャラクターが多く垣間見える。そこも含めて作品であり、そういう演出。吉沢明歩が引退作品で涙を流した理由もうなずける。作品のレビューを見てみると、女優の素やふとした仕草に惹かれる人が多いことはよくわかる。女優である前に、ひとりの人間として出ている。ノーモア違法視聴。

  そういうの求めてない、っていう人に素人モノ作品はいいぞ。カメラもそれなりにいいやつ?だろうし、女優により近い距離で撮影されている、いわゆる"引き"があまりない。あと、男優があまりカットインしないのも魅力か。水曜どうでしょう的な感じ。演者と黒子(カメラ)できっちり役目がある。



   さて、ここからみっつめに繋げます。
   みっつめは、「作品設定」。
   AV作品が女優の素の部分やキャラクターに見所があるものとするならば、素人モノは"女優が演じている設定"にビューポイントがある。

  素人モノは、女優が素人"っぽく"演じているにすぎない。つまりすべてが演技なのだ。パッケージに「〇歳 看護師」とかプロフィールが書いてあったりするがそんなわけない。「24歳 学生」みたいなものだ。彼女らはれっきとした女優である。素人モノは「設定を楽しむもの」だ。 
  
   その設定もなかなかおもしろいものだ。お金に困っていて...とか、失恋して...とか、興味本位で...とか。「境遇を考えると抜ける」なんて言葉はこういう意味なのだ。大抵の素人モノは最初にインタビューシーンがあるが、そこで大まかな設定が引き出される。完全に役になりきっているので、AV女優としての部分は出てこない。それがまたおもしろい。素の部分が露呈しないので、ある意味正式な作品よりも演技力が求められるのではないか。前に、上京して親元を離れ...みたいな設定の作品を見たが、親の写真(おそらく架空)を見て涙を流していた女優がいた。これこそ女優魂である。本田翼は見習うべきだ。
   
   家に付いていく趣旨の作品シリーズがある。家といってもなんかそれっぽいスタジオかなんかなのだろうが、小物とかインテリアは割とこだわってて面白い。バンギャという設定だったら、壁にバンドグッズが飾ってあったり(以前coldrainのタオルを壁に飾っている作品を見た)、浪人生だったら赤本が山積みであったり、それっぽくはなってるのである。インタビュアー役の男優が小物にいちいち突っかかって、その度女優が思い出話をする。アホらしいかもしれないが、結構おもしろい。そういえば以前、大学時代に軽音サークルでベースをやっていたという設定の女優が出ていた。そんなに上手くなかったけど。

  日本人は設定が好きだ。とりあえずいろいろ想像を掻き立てるバックボーンがあれば満足なのだ。同人誌とかもそういう類いだろう。非公式の設定のもと個人が好み好みに作り上げる。オリジナル(女優)をよりよいものに仕立て上げる、調味料みたいなもの。
   裏設定なんてものや陰謀論なんてものも、そのカテゴリーに入るのでは、と思う。そうだったらいいな、というような願望はオリジナルへの興味をより掻き立てる。「水玉コラ」なんていうジャンルがあるが、あれは見えない部分を自身の脳で補完して楽しむもので、似通う部分がある。嘘でもいいし、そんなものがなくてもいい、最大限にコンテンツを楽しむなら設定にのめりこめ!震えろ!





   さてここで、AV作品と素人モノの相反する要素としてあげられる「生々しさ」について余談を。
   素人モノは設定や演技について見所があると言った。つまり生々しさなど本来はないのだ。すべてが演技なのだから。生々しさという意味では、女優の素が見て取れる正規作品のほうがよっぽど生々しくないか?
  
  
  そう、大多数の素人モノ作品は、上述のとおり女優が出演している...が!たまに、ほんの僅かだが、「本物の素人が出演している」ケースが存在する。生々しい、というか生(なま)である。

  生々しさってなんだ、臨場感か?設定か?いやいや、生々しさとは「ガチの一般人である場合のみ」生まれる要素である。説明しよう!

  近年あったケースでいえば、え〇つんとか紀州のドンファンの嫁など、ガチの一般人が出演していたことがあった。素人モノに素人が出ている、文字だけ見れば当然なのだがこれはスゴいことなのである。素人モノにガチの素人が出演しているという事実を知らしめた例でもある。いくら素人モノといっても演じているのはプロの女優なので、なんだかんだ"上手い"のである。撮り方や設定などで生々しさを出すにしてもやはり限界がある。




  ここでちょっと逸れた話をするが、有名グラビアアイドルや地下アイドルが正式に女優としてAVに出演するケースがある。いわゆる、AV堕ち。
  代表的な例で言うと、元AKB48の高松恵理、元SKE48の鬼頭桃菜、グラビアアイドルの高崎聖子など。現役時点でかなりのネームバリューを持っていた人達。このような人達がAVに出演するということ、ここで前述の「境遇を考えると抜ける」という要素が出てくる。AVにまで出演せざるを得なかった事態があったのか、いくらの金を積まれたのか、どういう心境なのか。残念ながら作品内ではこれらについて触れられない。元有名アイドル!なんて触れ込みで出てくるものの、作品内でそれに一切触れないとは、逆に興奮する。
  有名人といえど、AVに出演するにあたっては素人みたいなもの。現役時代の姿に思いを馳せたりすることで、より生々しさが生まれていろいろと捗るのである。

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  話を戻す。素人モノの醍醐味。それは、"ガチの素人"が紛れ込んでいる可能性、である。
  いやそんなんわからんでしょ、となる。まあ確かに確証はない。だが、ある程度推測や絞込みはできるのだ。

  便利な世の中になったものだ。素人作品に出ている女優の名前がほぼすべて載っているサイトがあるのだ。有志たちありがとう、いつも助かってます。まあそれを見たらわかるように、ほぼ全ての女優はれっきとしたAV女優であり、名前がある。では「名前のない素人」は...?



  たまに女優名が不明の作品がある。玉石混交のAV界。磨けば光る珠か、はたまた只の錆びた塊か。モンハンでいうお守りってやつだ。
  名前がわからないということは、知名度が著しく低いか、もしくはそれ1本しか出演していない、という可能性。あまりにも女優の母数は膨大なのでこういうことはたまにある。素人モノが主な出演作品の女優も多い。
  特筆すべきは後者、「1本限りの出演」だったという場合だ。


  1本限りの出演、と聞くだけで多くのバックストーリーが想像できる。1本しか出ていないのならば、それはもうほぼ一般人である。黒歴史確定の案件なのでそれも加味した上で興奮できる。
  ただしこのパターン、AV女優デビューへの箔をつける黄金パターンにもなる。どういうことかというと、素人モノ界に鳴り物入りでデビューし、その後人気が出たら「あの人気の素人が!」みたいな触れ込みでデビューする。要は話題作りだ。まあ素人モノに出た時点でメーカーが話題にしているので、初めから消化試合ではあるが。このパターンも今まで何度もあった。その度にいろんなところが萎えたものだ。
   
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  素人モノには夢と希望がある。設定好きな日本人にもオススメ。また、よりリアルと距離が近いジャンルでもある。マジでリアルなやつが見たいならpornhubとかに行ってください、以上!