看護師さんの考え通り、次の日から夢の世界にいる時間が少なくなってきた。
ただ後遺症なのか、頭の中でゴーッという音がおさまらないので読書もできず、夢の中で友人に変なメールを送ったことがあったので携帯も触る気になれないでいた。

毎日お見舞いに来た母に、今日は何月何日何曜日か聞いて復唱することを何度もし、歯を磨くときは鏡に映った自分のことをじっと見て、これが現実の世界なのだと言い聞かせた。
( あとから知ったが日時や場所を認識することは良いことらしい )

頭の中がゴーッとしたままでも、病院の廊下を歩くリハビリを始めた。
こんな日が数日続いた。

日に日に頭の中の音は少なくなり、せん妄に付き合ってくれた看護師さんに「 あのときはご迷惑おかけしました… 」と謝ったり。

そんな中でも少しずつ読書に挑戦した。
この頃読めたのは、カルタンにリクエスして差し入れてもらった『 ファミ通町内会 』と『 みんなの4コマ 』だ!

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これを読んで「 ふふふ 」と笑っていた。
お笑いはやっぱすごい。
ファミ通に助けられた。

それと何気無く持ってきていた猫たちの仔猫の頃の写真。

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仔猫の頃のマロちゃんの表情を見て「 ふふふ 」と笑った。
持ってきてよかった。


手術から12日後、携帯に触りTwitterをやる。
最後のツイートが「 手術行ってきます 」だったので、フォロワーさんから「 大丈夫なんですか…⁉︎ 」という心配ツイートが来ていて、有難いし心配かけて申し訳ないと思った。
Twitterで知り合ってオフでも会う映画好き仲間の方に「 毎日占いだけが自動更新されてて心配してました 」と言われた。
有難いし申し訳ない。


読書できないままだったけど『 どうぶつの森 』をやることができた。


病院で誕生日を迎え、次の日( 2月1日 )から読書を始める。
千葉からたくさん本を持ってきて、草津に着いてからも数冊購入した本をとうとう読めたのだ!
入院のために読まないでおいた、パティ・スミスの『ジャスト・キッズ 』を貪るように読む。
読書できる喜びに震えた。
頭がスッキリするまで長い旅だった。



退院後、通っている精神腫瘍科の先生にICUシンドロームで経験したことを大まかに話したら、起こしてもらえないという症状はよく聞くとのこと。
本当に夢に閉じ込められた。
普段でも「 起きなきゃなあ… 」と思い、起きて用意をしてるけど「 実はまだ寝てましたー 」みたいな夢を見るけど、その酷い感じだった。
そして普段の夢は忘れてしまうけど、ICUシンドロームで見た夢は忘れることがない。
たぶん、ずっと覚えてるし忘れられない。