少しずつまとまってきたので、ICUシンドロームについて書きます。
実際はかなりの夢を見て、そのほとんどを覚えていますが、あまりに細かいものは少し省きます。


まずはじめに。ICUシンドロームは放っておいても治るものです( 高齢の方は治りにくい場合があるそうですが )。



2012年の4月に生まれて初めて手術をした。
そして人生で初めてICUに入った。
それはかなり酷い経験だった。

体を動かすことはできないけど、ICUにいる人の声はする。
中年男性の「 ここにいると殺される! 」という叫びと、高齢男性の唸り声。中年男性は暴れてもいるらしく、看護師さんに「  暴れないで! 」と注意されている。
とにかく怖い。
その頃はICUシンドロームというものを知らなかったから、なぜ自分がこんな所にいなくちゃいけないのかわからなかった。
そのうち中年男性が制止を振り切り、ここで暴れまわって殺されるんじゃないのか…という恐怖。
結局、叫び声と唸り声で一睡もできなかった。


2013年1月の手術を受けるとき、何が一番心配かといえばICUだった。
またあんな体験をしたらどうしよう。
手術や術後のことより、ICUの恐怖を抱えて手術室に向かった。

そして目が覚めると広いICUにいた。
母とカルタン( 彼 )から手術が成功したことを聞き、ほっとした。
しかし、みんなが帰ってからが長かった。
なぜかテレビが大きな音で付いているし、やっぱり怒鳴っている人もいる。
何より喉が渇いて仕方なかった。
うとうとしか眠れないし、夢の中で井戸を掘ったくらい乾いていた。

なんとか一晩過ごし、レントゲンを撮って一般病棟( 2人部屋 )へ移された。
『 絶食・絶水 』
絶食はいいけど、水が飲めないのは辛い。
看護師さんに頼むと、スポンジで少し水をもらえるけど、喉の渇きぐ酷くてだんだんおかしくなってきた。
耐えられなくて頑張ってベッドサイドに手を伸ばし、ウォークマンを取り出してラジオを聞いてみた。
まだ朝早すぎてあまり放送しておらず、ウォークマンはAMラジオが聞こえないからお馴染みのTBSラジオを聞くこともできない。
仕方なくウォークマンを枕元に置き、持ってきた黒猫のぬいぐるみを抱えて耐えることにした。

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そのうちなぜかショッピングモールの雑貨屋さんやゲームセンターに、ベットごと放って置かれてる様な夢を見るようになった。
夢の中で友人にわけのわからないメールを送ったり。
だんたん夢の世界にいる時間が長くなって行った。


頭の中ではずーっと同じメロディがぐるぐる回り、そのループから逃れられなくなった。
そのループから逃れるには大規模なピタゴラススイッチが必要で、夢の中で馬を走らせたり蜂の大群に追いかけられたりしたけど、なかなか頭から離れない。

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枕元のウォークマンの入った袋に耳を近づけると、なぜか音が聞こえるではないか!
しかも今はもう終わってしまった、伊集院光の『 日曜日の秘密基地 』
スペシャルウィークで番組の人気コーナー『 秘密基地の穴 』スペシャルで、自分の頭の中でループしている曲のルーツを探り、そのループの終わりを番組で見届けるという。
「 電源入れてないのにラジオが聞こえるなんてすごい!記憶の奥から引き出されたものなのかな? 」と冷静に考えていたが、こんな内容の回はもちろんないし「 すごい能力が身についた! 」と思っていた。
そして、そのおかげで音楽のループからは解放されることができた。

しかし夢はどんどん続く。

この頃わたしの血圧は上が70台( 普段から低血圧で上は96くらい )で手がものすごく冷たく、母が看護師さんに頼んで手浴をしてもらったそうだ。
そのお湯に入浴剤が入っていたらしく、夢の中のわたしは小さな町医者の待合室にいて、そこは湯治をやっているらしくお風呂に入る夢を見ていた。しかもその夢は何度も何度も繰り返されていて、BGMはクマの教室でいつも流れているヴァネッサ・パラディの曲だった。
ときどき同室の方の会話が聞こえて、ああ遠くから来たんだなあ…とぼんやり思っていた。

ほとんど夢の中にいることが多くなった。