映画でペップトークとアファメーション(Pep Talk & Affirmation)

映画でペップトークとアファメーション(Pep Talk & Affirmation)

ペップトーク(Pep Talk)とは人を元気にする短いスピーチで、コーチングの最後のスキルとも言われているそうです。映画に出てくるペップトークを通して、みなさんにもペップトークを知っていただければ幸いです。




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このブログを書き始めたのは、2009年の12月です。

 

その年の秋に岩﨑由純先生と出会い、初めてペップトークに触れました。

 

そして、その当時は今のようにペップトークに関する書物などは一切無かったので、岩﨑先生がセミナーで語っていらっしゃったように私もスポーツ映画から学ぼうと思い、スポーツ映画を片っ端から観始めました。

 

その時に、インターネット検索でDVD化・ビデオ化されているスポーツ映画を調べてリストを作成し、数年かけて1,000本以上の映画を見た訳ですが・・・

 

リストを作った当初から「ボクシング映画の名作」ということと、DVD化はされていないがVHSでは発売されていたという情報を頼りにかれこれ10年も探し続けていたのが、本日ご紹介する「栄光の都」です。

 

ボクシング映画 ベスト64 第22位

 

ボクシング映画 TOP45 第28位

 

ボクシング映画 興行収入ランキング TOP-102 第88位

 

 



中古ビデオショップのネット店舗の在庫リストをチェックしたりもしましたが、見つからずに半分諦めていたら、先日ヤフーオークションのアラートにひっかったのが、この「栄光の都」を含む「ボクシング映画コレクション」でした。

 

 


そして・・・

うれしいことに10本納められているボクシング映画のうち、8本がまだ見たことのない作品!

 

映画でペップトークの記事は長らくお休みしておりましたが、久々に再開したいと思います。


 

ペップトーク度 (最高★×5) :★★★★☆
映画オススメ度 (最高★×5)

:★★★★☆

 

 

【ストーリーと背景】

ダンスの得意なペギー(A・シェリダン)と正義感の強いダニー、音楽を愛するダニー(J・キャグニー)の弟エディ(A・ケネディ)、そして手癖の悪いグーギ(E・カザン)の4人の子供たちは貧しいながらもたくましく育っていった。

成人したダニーは、運転手をしながらペギーと結婚したいと考えるようになっていたが、ペギーはダンサーになる夢を諦めきれていなかった。

エディは近所の子供たちにピアノを教えながら作曲の勉強を続けていた。レッスンが減ったエディのために、ダニーは得意のボクシングの試合に出場し、鮮やかなノックアウト勝ちを収める。その試合を見た敏腕マネージャーのマクファーソンの誘いをダニーは断ってしまう。ペギーはダンスホールでダンサーのマレーに誘われコンビを結成、次々とコンテストで優勝を重ねていく。

ダンサーとしての将来が見えてきたペギーは、結婚を申し出たダニーに野心を持って道を切り拓いてほしいと伝え、ダニーはプロのボクサーになることを決意する。

そして幼馴染のグーギは刑務所から出所してギャングとなっていた。ヤング・サムソンというリングネームで連戦連勝のダニーとプロとして地方巡業を重ねるペギーの間ですれ違いが多くなっていく。グーギはダニーの勝ちに賭けることで裏社会でのしあがっていた。

ある日、ダニーは、ペギーを楽屋に訪ねたが、そこではマレーがペギーをわが物のように扱っていた。すべてを悟ったダニーは、マクファーションにチャンピオン、キャノンボールとのマッチメイクを依頼する…

【ペップトークの見所】

 

 

 

 

【その①】

 

 

 

ボクシングの試合前のペップトークではありませんが、落ち込んでいる弟エディを励ます兄ダニーの励ましの言葉です。

 

 

1:21’46”~

 

なあエディ 俺は思うんだ

お前の仕事は他の仕事と同じ

やるかやらないかだ

主役になるか 脇役のままでいるか

フォーサイス通りで----

お前は何時間も弾いていた

苦難に耐えた作曲家の話をよくしてくれた

聴覚を失った不運なベートーヴェンだ

だけど彼はあきらめなかった

(つまり? 傷付くまで必死にやっても---誰も気にしない 死後100年経たないとね)

それは言い訳だ

達成できない者の言い訳さ

いい曲なら皆 聴くんだ

(そのとおりだ 兄さん 僕より物事をよく見てるね)

昔より見えるようになった

さあやってくれ 俺たち二人のために

 

【その②】

 

コンサートで喝采を浴びたエディが兄ダニーに贈る感謝の言葉

 

1:37'46"~

 

ご来場のみなさん

誰でも人生に一度は---

最高の瞬間がある

僕にとってはこの瞬間です

皆さんが語句の音楽を受け止めてくれた

そして---

ある人とこの瞬間を共有できたからです

作曲家には欠かせない存在だった---

僕の兄に伝えたいと思います

僕の作曲を導いてくれました

兄の人生は---

この曲が表す 偉大な街と同じです

音楽家ではなく---

音符も読めない兄

しかし その心と魂は---

豊かな音楽であふれています

ニューヨークという音楽は 兄を栄光へと導き---

悲劇ももたらしました

しかし 兄は屈しません

人々は兄を愛し 失いました

しかし兄は今も気高く---

苦境に立ち向かっています。

兄は音楽を拳で紡ぎました

だから僕は この優しい曲を作りました

これは僕と兄の曲

誇りと感謝の意を込めて---

この曲を兄に捧げます

皆さんご存知の---

ヤング・サムソンです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年末年始の冬休みに

「HULU(https://www.happyon.jp/)」で

「先に生まれただけの僕」を全話一挙に見ました。

 

 

 

・・・で、残念ながら、まだレポートしていない第2話から第4話には、参考になるペップトークは出てこなかったのですが、(第5話のテーマがペップトークなので、それ以前に登場したらそもそもおかしいですけど)、ペップトーカーとして学ぶべき状況認識など、いくつかの発見がありましたのでそれを書き留めておきます。

 

 

 

【背景とあらすじ】

 

 

 教育の現場を知らない校長として、職員室内で反発を受ける鳴海校長 (櫻井翔)。
 そんな中、鳴海校長はは奨学金を受給する事の覚悟を説いて聞かせた生徒の加瀬君がが学校を休んでいると分かり、不登校になったのではないかと気が気では無くなる。
 さらに、保健室の沙織先生 (井川遥) からは、腹痛を訴えて保健室に毎日通っている小山君という生徒のことを聞かされる。
 鳴海はその小山君という生徒の担任である及川 先生(木下ほうか) にケアをするよう指示するが、彼は取り合おうとしない。
 そして、この生徒が抱えていた悩みには、学校内の大きな問題が隠されていた。

 

 

 

【ペップトーク「的」なスピーチ】

 

 

 大学進学率を上げ、高校の偏差値を上げるために、生徒個人の問題に口を出しているヒマはないという教師側の意見が多い中で、鳴海校長は、学校を改革したいという思いを職員会議で先生たちに伝えます。

 

 

 

’36”16~

 

 

 

 確かに僕の仕事は学校経営を改善することです。

 そのためにはまず在校生の大学進学実績をあげるべきだと考え、予備校の先生を呼んでみなさんに講習を受けてもらいました。

 (意味なかったけどね)

 でも僕は京明館高校を大学予備校にしたいわけじゃないんです。

 僕、思うんですけど、予備校の先生は講師、学校の先生は教師って呼ばれますよね。

 これってやっぱり、役割が違うからじゃないでしょうか?

 勉強教えるけどそれ以外の大切なことも教える、だからみなさん教師なんじゃないですか?

 僕はもう何度も言ってます。まず変わっていただきたいのはみなさんだと。

 教師ですから当然、生徒の学力を上げていただきたい。

 そして生きていく上で大切なことや、社会のリアルな現実を生徒たちに教えてもらいたい。

 つまり、もっと生徒の立場に立ってもらいたいんです。

(副校長「私も同感です」)

 

 

 

【ペップトークの解説】

 

 

 

 この話の内容は校長先生として先生方に伝えたい思いを語るという上では素晴らしいと思います。

 しかし話の途中で、上記のあらすじに出てきた及川先生は席を立って職員室を出て行ってしまいます。

 そういう意味では「不発のペップトーク」でした。

 しかし、無駄だったのかというと、そういうわけではありません。これはペップトークを成功させるための布石としては重要な役割があります。

 ペップトークを成功させるためには、

「ペップトーカーが聴衆から信頼されていること」

という絶対的な条件が必要です。

 どれだけ素晴らしいスピーチシナリオであったとしても、ペップトーカーに信頼がなければ、聴衆の琴線に触れるスピーチをすることはできません。

 それともう一つはペップトークのタイミングです。 

 聴衆の全員の機根(教えを受けて実行しようとする気持ちの準備)が整っていないときにペップトークを行っても空回りするだけなのです。

 

 

 

 特にこのドラマ(しかも始まったばかりの第二話)では、学校の経営立て直しに来たサラリーマン校長、教育のことを知らない「ど素人」、会社側の評価ばかり気にして自分の立場を守ろうとしている嫌なやつ・・・

といったレッテルを貼られている立場です。

 そういう人がペップトークを成功させるためには、まず信頼を勝ち得ることが重要です。

 

 

 

 そういう視点で見たときに、このスピーチは全員ではありませんでしたが多くの教師たちに、

「自分は学校経営を改善したいが、そのためには生徒の学力アップだけの『講師』ではなく、人間としての成長を支える『教師』であってほしい」

「まず変わって欲しいのは先生たち一人ひとり」

という気持ちは伝わったのではないかと思います。

 

 

 

 スポーツの世界でも、頑張っていない人、頑張った経験のない人に「頑張れ」と言われても効かない、励ましの言葉にならない。本当に頑張っている人、頑張って苦難を克服したり目標を達成した経験のある人から「頑張れ」と言われるから効くのだということを耳にします。

 

 

 

 この鳴海校長のように、周囲が敵ばかりの環境の中で信頼を勝ち得るということは、並大抵の努力では難しいことだと思います。

 ひとつひとつ実績を重ねながら、相手の評価を好転させていくしか方法はないかもしれません。

 だからこそ

「講師ではなく教師になってほしい」

「生徒の立場に立ってほしい」

「まずは先生方に代わって欲しい」

という思いを機会あるごとに言葉にして伝えていくことが重要なのだと思います。

 

 

 

 「ペップトークは一日にしてならず」・・・なのです。

 

 

ではまた。

 

 

image

 

 

 

 

 

 

 

 

 前回予告した通り、第一話にさかのぼってペプトークの解説をしたいと思います。

 

 

 

 正直なところ、ペップトークの本が登場する以前に題材があるのか不安でしたが、第一話に関しては、とても参考になるものがありましたのでご紹介いたします。

 

 

 

【背景とあらすじ】

 

 

 総合商社・樫松物産に勤める鳴海涼介 (櫻井翔) は、抜群の営業力で青森にある子会社の赤字経営を立て直した。
 ある日、彼は、東京に戻ってくるようにと上司に命じられる。
 次の役職はなんと、高校の『校長』。いわば左遷であった。
 会社が経営する私立京明館高校が毎年赤字で、鳴海はその京明館高校の経営再建を任されたのであった。
 鳴海は戸惑うものの、サラリーマンとして会社の決定に従うしかなった。

 

 

 

【ペップトークのシーン】

 

 

 

 父親が蜘蛛膜下出血で倒れ、大学進学を諦めなければならないと落ち込む特進クラスの優秀な生徒に、担任の教師は奨学金を使っての大学進学を進める。

 奨学金を利用しての大学進学には賛成するものの、奨学金が就職してから返さなければならない借金であることをきちんと生徒に伝えなけばならないと思う、正義感の強い校長。

 彼は生徒と向き合って、奨学金を使った大学進学について、その内容を説明したうえで、生徒を励まします。

 

 

51’34”~

 

 

 僕は奨学金で大学に通ってたんだ。

 中学のときに親父が死んでね、家に金が無くてさ。

 そのおかげで大学は卒業できたんだけど、奨学金が借金だと実感したのは就職してからだった。

 そこそこの会社には入れたんだけど、最初の給料なんてたいしたことないからさ。

 そこから3万近く引かれるってのは、かなりきつかった。

 今でも払い続けてる。

 利子含めると600万近くなるからね。

 全部払い終わるのにあと10年かかるよ。

 でも、そんなことになるなんて、聞かされた記憶が無いんだよね。

 もしかしたら高校の先生が言ったのかもしれないんだけど、

「奨学金はあとで負担だぞ。よーく考えろ」

そんな言い方は絶対してなかった。

 僕は一応返してるけど、きつい思いをしている人はたくさんいると思うよ。

 大学は出たけど、入った会社が潰れちゃった人、奨学金の返済で貯金ができなくて、結婚も諦めているような人もね。

 でもね加瀬君、僕は君に大学進学をあきらめてほしくないんだ。

 僕は君に大学に行ってほしい。

 奨学金は大変な借金だよ。

 だから君は大学に入っても一所懸命勉強しなきゃいけない。

 必要な単位は全部取って、遊びもなるべく終活に活きるような契機にして、ちゃんと4年で卒業してしっかりとした仕事に就かなければならない。

 それでもこの先、世の中どうなるか分かんないよ。

 一流企業は潰れるかもしれないし、少子高齢化はどんどん進んでいくし、世界情勢は激変していくだろうし、沢山の仕事はロボットにとってかわられるかもしれないし、そんな将来が待っているかもしれない。

 だから、生きていくのに必要なスキル、スキルってわかるかな、君の代わりがいないと言われるような人に必要とされるチカラを身に付けていかなければならないんだ。

 今の君にその覚悟があるなら、奨学金もらって大学に行け。

 

 

 

【ペップトークの解説】

 

 

 

 この校長先生の生徒に対する言葉だけ聞くと、生徒に対する思いやり、生徒の将来に対して真剣に考えている気持ち、生徒を励ましたい気持ちは感じられますが・・・

 

 

 

 この言葉を聞いた生徒の反応は・・・

 

 

 

「校長先生、聞きたくなかった。そんな怖い話、聞きたくなかったよ! 今決められるわけなじゃんそんなこと。無理だよー!」

 といって走り去ります。

 

 

 

 もちろんドラマの設定ですし、新任の校長で生徒への接し方もまだ未熟です。

 

 

 だからこそ、この校長の「励ましの言葉」には、その未熟さが沢山こめられていて、脚本家の巧妙な仕掛けに脱帽するばかりです。

 

 

 

 ペップトークをきちんと勉強していない人が他人を励ますときに陥る悪い例という意味では、これほど素晴らしい教材はありませんね。

 

 

 

 それでは順を追って解説していきましょう。

 

 

 

 まず冒頭で、自分自身の育った環境が貧しく、奨学金をもらって大学に進学した体験を話しています。

 これは、相手と同じ立場にあり、同じ悩みを共有できる立場にあることを伝えるうえでは、とても良いことだと思います。

 自分自身の体験からも、校長としての立場からも「奨学金が借金であること」をきちんと生徒に伝えなければならないという責任感からの言葉ですから、ネガティブな表現にならざるを得ないという背景もあると思います。

 ここでの失敗の第一の要因は「でも」という言葉にあります。

 過去の解説でも何回か書きましたが、「でも」という一言はそれまで説明したことを全部無駄にしてしまうので、ペップトークでは「禁句」に近い単語です。

 「でも」という表現は、それを否定して新たな状況説明をするときに使いますが、聞き手にとっては先に説明された否定的な状況を強調するかのように感じてしまったり、自分自身を否定されているように感じ取ってしまったりします。

 

 

 

 失敗の第二の要因は、否定的な状況を肯定的にする「イメージのパラダイムシフト」が組み込まれていないこと。

 学費の心配をしなくても良い他の生徒に比べて、今は大変かもしれないが、この逆境を乗り越えることが君の成長につながるチャンスなんだということを伝える必要があります。

 生徒が知っている偉人が、経済苦を克服したからこそ、その地位を築いたといった事例を引用するのも良いかもしれません。

 

 

 第三は、「苦境を乗り越えたときに拓ける明るい未来」を提示していないこと。

 「先行き不透明だからこそ、大学を出てスキルも身につけなければならない、だから大学に行くべき」というのは正論でしょうが、だからこそ苦労して大学を卒業した時に拓ける「明るい未来」を示してあげないと、やる気のスイッチは入りません。

 ペップトークは「やる気のスイッチ」を入れるのが一番の目的ですから、そこが欠落していては励ましにならないということです。

 

 

 

 サラリーマンから突然校長になった人が、どう成長して、どう生徒を励ますことができるようになるか・・・

 最終回で素晴らしいペップトークを連発しているので、ある意味ネタバレになっていますが、その成長過程を追って、ペップトーカーへの軌跡をレポートできるかもしれないと思うと、第二話以降も楽しみです。

 

 

ではまた。

 

 

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