草原の向こう | 或る魚の白昼夢

或る魚の白昼夢

空想を食べて、二酸化炭素と意志のないもう一人の言葉を吐き出します。

少年は、星と星の間にはしごを掛けていた。
「そんなのやめておけ、一体何になるっていうんだ」大人達は言った。
しかし少年は「巨大な黒のキャンパスに絵を描きたいんだ、どうしてもやりたいんだ」と言ってきかなかった。数えきれない星にはしごを掛けるのは、とても大変な作業だ。毎日毎日、夜が来るたびに繰り返した。

いつしか少年はおじいさんになるくらいの時が経った。ぼろぼろの体に鞭を打ちながらもまだはしごを掛けていた。星が曇って輝かなくなってくると、ハンカチを取り出してごしごしと拭いた。
昔少年だったおじいさんは、もう体が思うように動かなくなった。ベッドの上で、窓から自分が繋げた星達を眺めていた。
やがてそれは星座と呼ばれるようになっていた。