2020/08/18


おはようございます!

前回は延性材料の応力-ひずみ曲線について見てきました。

今回は延性材料とは異なる曲線を示す材料についてみていきます。


・脆性材料
脆性材料とは破断までひずみが少ない材料のことです。
セラミックやガラスなどがそうです。(イメージ的にわかりますよね?金属なら伸びて壊れそうですが、ガラスはいきなりパリンっと壊れそうです)

脆性材料は下図のように破壊まで弾性変形を保ち、塑性を伴わずに破断に至ります。
ってことは、破断に至るまでの任意の点で除荷すると、点Oに戻るはずです。

このグラフでも十分、延性と脆性の違いがわかりますが、もっと言うと、材料内の亀裂の進展方式の違いだそうです。

脆性材料では、発生した亀裂が容易に進行し、材料は分断されます。
延性材料では、亀裂の先端から転位が発生し、亀裂の進行は抑制されます。発生した転位は、転位同士、不純物減少や析出物、粒界などと複雑な相互作用を起こします。そのため延性材料の強度は、不純物原子や内部構造に強く影響されます。

※転位とは…?私のような物性物理学出身の人間は、相転移のような現象を連想します。どうやらここでいう転位とは亀裂(原子間の配列の変化)の進行を言うそうです。転位=dislocationからも少しわかるかもしれません。


鉄鋼材料は基本延性材料ですが、内部構造や添加元素、温度、環境等に依存します。

例えば内部に炭素を含む鋳鉄(炭素を2%以上含む鉄)は延性が低く、脆性材料とみなせます。

(じゃあなんで鋳鉄なんて作るんや!と思った方…私です。断熱性や摩耗性、減衰性が向上するため様々な用途があるそうです。下の写真など見たことあるでしょう。
あとは摩耗性を生かしてマンホールの蓋に使われたりなど、活躍の幅は広いみたい)


軟鋼(炭素含有率が0.12〜0.3%の鋼)は温度が下がると延性が低下し、低温脆化を起こします。

また腐食環境下で材料が常時引張応力を受けると、低応力でも応力腐食割れという脆化が生じます。

では材料の脆性、延性はどうやって測るのよ?が気になります。
1つとして、衝撃試験が良く用いられるそうです。
試験片を衝撃的に破壊させ、破壊のために吸収されるエネルギーの大小で脆性や延性の程度を判断するということです。

(イメージわかりますか?youtubeで探してみましたところ、良さげな動画が見つかりました。

一般に延性材料は塑性変形によりエネルギーが消費されるので吸収エネルギーは大きく、逆に脆性は小さくなります。



・アルミニウム合金、クロムモリブデン鋼

アルミニウム合金やクロムモリブデン鋼は下図の左側のように明確な降伏点を示しません。そのため、塑性ひずみが0.002になった時の応力を降伏応力(0.2%耐力)としているそうです。

アルミニウム合金は、炭素鋼や一般構造用圧延材料(E=205GPa, 降伏応力σγ=300〜400MPa)と比べて、ヤング率は1/3程度、降伏応力は1/6〜1/3程度です。
まぁ、ざっくり曲がりやすいし、変形しやすいってことですかね。

クロムモリブデン鋼は、ヤング率は一般構造用圧延材料と同じですが、降伏応力が1GPaと非常に大きいのが特徴だそうです。
一般に鉄鋼材料のヤング率は200GPa程度で、炭素鋼や合金などの種類に依存しないそうですが、降伏応力や引張強さは大きく依存するそうです。


・鋳鉄
上図の右側のように、塑性変形するとすぐ破断するので、金属ではあるが脆性材料として扱う必要があります。ヤング率も100GPa程度と小さいです。

鋳鉄は炭素を2%以上含むという極めて特殊な鋼材であるということです。



はい!本日はここまで!

材料によって様々な応力-ひずみ曲線があるんですね。

次回は強度についてのお話です!

では!