2020/06/12


こんにちは!

前回の続きです。
ハンドルを回したとき、どのようにしてタイヤが動くかについては、前回の記事に参考動画を埋め込みましたので、是非確認してください。
そして今回は運動方程式を立てていくわけですが、、

前回の記事の動画のタイトルにもありますように、実舵角をつけると、タイヤは勝手に中心に戻ってきます。

言い換えると、走行中の車両のハンドルにある角度を与えると、そのハンドルが元に復元するようなトルクが働きます。

なぜかというと…
キングピンが傾いているからだ
と動画中で解説がありましたね。
タイヤを横から見た図と、上から見た図を書いてみました。
進行方向に対して、ハンドルを左に切った場合を想定しています。すると設置面にコーナリングフォースが働き、キングピンの軸を中心にトルクが働くわけですが、まさに元に戻そうとしていますね。


自分の書いた絵とは進行方向が逆ですが…ややこしくしてすみません。

では前輪タイヤにどのようなトルクTsが働くか計算しましょう。

今タイヤ一つを見ているからTs/2ですね。

ξnはニューマチックトレールです。
遥か昔の2章でやりました…
接地面に働くコーナリングフォースの着力点は接地面中心ではなく、少し後方にズレていましたね。
そしてξcはキャスタトレール(caster trail)と呼ばれていて、図のように接地面中心からキングピン軸までの距離になります。
ξはこれらの和で定義され
こうです。
つまりTs = 2ξKfβfが操舵系の復元モーメントということになります。

ちなみに車両がヨー角速度rを持つとき、この回転運動によって各タイヤの進行方向が影響を受けて
βf = β + lf×r/V - δ
となることは3章でやりましたね?
これを使うとTsは
このようにかけるのです。

操舵系から見ると、このモーメントが外力として前輪に働くことになります。


では運動方程式を導出しましょう。
まず、キングピン回りに換算したハンドルの回転運動は
です!

…なんのこっちゃ…
一つずついきましょう…
操舵系に抵抗や弾性係数がなければ、
トルクによる回転の運動方程式が導かれます。
そして操舵系がヨー角速度rを持つのであれば、
こうなりますね。
しかしトルクThを邪魔する存在が現れるわけです。それは粘性摩擦と弾性成分です。
まてまて、右辺の2,3項目なんなんや…と思った場合は、こちらをご覧ください。
力学の授業でやるような運動方程式です。
これと同じように考えると
mx"→Ih×α"
F→Th
γx'→Ch×α'
K(x-x0)→Ks(α-δ)

ですね。
Ks(α-δ)は前輪の実舵角δからどのくらいハンドルが回っているか?それによりどのくらいバネの効果があるかを表しています。

これでハンドルの回転運動がわかりました。

次はキングピン回りの前輪の回転運動です。

先ほどと似たようなものですね。
注意すべきは2点。
まず左辺の3項目。本来はK(δ-a)と書いた方がわかりやすいですね。
そして右辺。タイヤに働くトルクはコーナリングフォースによるトルクでしたね。


これで2つの式ができました。
1項目にrの1回微分がありますが、実際にはα">>r'です。イメージ的にもわかりますよね。車両の回転の変化なんてめっちゃ遅いよなぁ…くらいの感覚かと。

そこで思い切ってr'は0とします。
すると先ほどの2つの式は



このようにまとまります。

こうして運動方程式ができましたー!

次回はこれらを使って、操舵系の特性が車両にどう影響を与えるのか?を考察していきます!

では!