2020/05/11


こんにちは!
日本大学の堀内伸一郎先生のコラム(https://www.jsae.or.jp/~dat1/mr/motor16/mr200270.pdf)の詳細解説です。
では1ページ目から!


1から見ていきます。
解析を進める際、話を簡単にするために
・車両を1つの剛体とみなす
・上下運動を無視
・走行速度一定

という仮定を置くという説明がありますね。
これは3.2.1(前半)で説明しています。

この仮定の下、重心に横すべり角がある場合に、前後輪の左右のタイヤの角度を見てみると、前輪の左右と後輪の左右は近似的に同じということがわかるんですね。
これは3.2.1(中盤)で解説しています。

つまり左右のタイヤの特性を揃えれば、4輪ではなく2輪だけで議論することができるようになるのです。



続いて2です。
車両の運動を議論したいので、
(1)運動方程式と(2)回転の運動方程式を立てるわけです。
(1)左辺の加速度…覚えてますか…?
車両に固定された座標系の場合、重心の位置ベクトルをRとすると、
速度ベクトルR'=ui+vjって書けて、これを微分すると、
R"のi成分はV(β'+r)となるわけです。
これは3.2.1(前半)で説明しています。

(2)はモーメントと慣性モーメントの話ですよね。
回転の激しさを表す慣性モーメントIは、角運動量Lと角速度ωを用いて
L=Iω
とかけます。
そもそも角運動量とは回転の勢いを表すもので、半径rと運動量pを用いて
L=r×p
と定義してあります。
つまり…運動方程式F=dp/dtの右辺にrをかけると
N=dL/dt(=I dω/dt)
とかけるんですね。これが回転の方程式です。


ちなみに重心横すべり角βはとても小さいので、
v=Vsinβ〜Vβ
となり、
v'〜Vβ'
とかけるのでこれを(1)に代入し(1)'とします。


こうして出来た(1)'と(2)が自動車を剛体と考えて、平面運動のみを考慮した場合の基礎方程式となるのです。

…指を加えてこれらの式を眺めてても仕方ないので、進めましょう。
横すべり角が小さい時、コーナリングフォースは横すべり角に比例しましたね。
なので
Yf=-2Kfβf
Yr=-2Krβr
と書きましょうというわけです。
なぜマイナスなのかって?
座標系の取り方の問題です。角度は反時計回りを正としています。時計回り(負)にβを付けると、正のコーナリングフォースが働きますからマイナスが付いています。


さてさて、唐突にβf, βrが出てきましたが、これらは速度、実舵角、タイヤ間隔等を用いて書くことができます。
これは、3.2.1(中盤)で解説しています。
速度に追加して、車両がくるくる回っているという影響も考慮するんでしたね。
これで式(6)がわかりました。

βf,βrには実舵角δが含まれます。δは我々が操作できるわけですから、これが入力ということになります。

ではβf,βrが求まったので(1)'と(2)に代入しましょう。
それが(7), (8)式です。
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誤植がありますね。KfとKrの前に2がついてません。前後輪共に2つずつあるんですから、2倍しますよね?
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これらが基礎方程式なのですが、ひとつ注意が!
これはβが小さい時しか成り立たないということです。

この方程式は3.2.1(後半)で導出しています。


1ページ解説するとか言いましたが、キリがいいのでこの辺で…

次回は3からです。