3月17日 劇団大川 芝居「田原坂」  | 桃象の観劇書付

島田蓬莱座 劇団大川 

3月17昼

 

■ 特別狂言「田原坂」

 

早川   竜二 椿裕二

早川   菊乃 美穂裕子

早川   修一 椿孝也

 

山縣   省吾 大川忍

山縣   憲治 大川礼花 

山縣       志乃 椿キラ

山縣 婆様  千代 夢路えみ

 
篠原隊      夢路えみ 

篠原隊      椿みらん

 

■序幕 鹿児島 山縣家

 

西南戦争のさなか 戦に参加していく 

省吾・憲治・志乃の三兄妹

祖母の千代と 覚悟の別れ 

別れの盃を交わす

 

私との折り合いが悪く、屋敷を出て行った

熊本城下に、母上は生きていると打ち明ける祖母

会いに行きたいと言う憲治だが 

三人を捨てた母には会いに行かないと拒む省吾

 

千代は 志乃にはその母親の簪を渡し 

憲治には、父親の槍を、

省吾には、ピストルと弾薬を手渡す。

 

三人が戦に出ていこうとした時、

自らの腹を突き、

「私が生きていれば、お前たちの足が鈍る事になる。そなたたちの母を屋敷から追い出したのはこの私。

私のけじめなのじゃ。命を惜しむな。」と言う祖母。

後ろ髪引かれるも、三人は 迫る時刻に 戦に出て行った

 

■ 熊本 早川家

敵軍に追われ 戦場から 自宅に あわてふためいて 逃げ帰ってきた修一

それを 追いかけて やってきた憲治だが 修一をかくまう菊乃

出せ出さないと もめているところに 

志乃が 憲治に 隊長からの指示を伝えにきた

憲治が隊長の元に戻り 

残った志乃が兄の無礼を詫び帰って行こうとする

菊乃を 傷を負っている志乃を呼び止め、傷の手当をする

志乃は そのお礼として 簪をさしだす

その時 菊乃は 志乃がもう一本大切に持っている簪を観た

志乃を見送ったあと 

「もしかして、今の子は…」と表情を変える

 

■ 薩摩軍 篠原隊基地近く

 

三兄妹が集まっている

憲治は 省吾に 仲間に調べてもらい

母の居場所が分かったと報告し

三人で会いに行こうと言うが 会いに行かないという省吾

母には嫁いだ先にも義理がある 親子名乗りをしてくれればいいが してくれないときには後悔だけが残る

というが 

憲治は 明日は死にいく だからこそ 一目会いたいという

憲治と志乃は 省吾に 母の住所を書いた紙片を渡し 

母親のもとに駆けていった

 

■ 早川家

住所を頼りにやって来た憲治と志乃

そこは、以前、新政府軍の一人が逃げ込んだ家だった

出てきた菊乃に 名を確認すると 母であることがわかる

そこへ 修一が現れる

 

薩摩軍は 人として人にあらず 出ていけという修一

親子名乗りをしてほしいという憲治だが 

菊乃は 苦悩の末 私の子供は 修一だけですと 答える

 

憲治に蹴りを入れる修一 「ざまねえな。」

と言う修一の顔を見て 

戦場で 闘い、この家に逃げた腰抜けだと

思い出すが 心を抑えて 帰ろうとする

 

「この賊軍が すごすごと逃げ帰るのか!」と

罵声を浴びせる修一に  

憲治の怒りと悲しみが頂点を迎えた

 

山縣憲治、薩摩隼人の心意気見せてやるけん、

よう、そこで見とけ 

と 志乃の静止をふりきり 自ら腹を斬る憲治

 

修一は 憲治にとどめを刺そうとするが 

そこへ現れた省吾がピストルで 威嚇発砲する

 

憲治は親子名乗りをしてもらえたのか 

名前を呼んでもらえたのか 

と尋ねる省吾に首を振る志乃

 

修一に銃口を向ける省吾

 

そこへ、帰って来た竜二が 

「この子の命だけは助けて下さい。省吾君」

と割って入る。

竜二が名前を知っていた事に驚く省吾

 

私の話を聞いて下さい

妻が写真を見ながら泣いているところを見たんです 

その時 はじめて 妻が薩摩に子どもを残してきたことを

知りました

訳を聞き、三人を迎えに行こうとしたらこの戦で

それが かなわなかった

憲治君の亡骸は 早川家が

手厚くつく ほおむらせてもらいます 

 

わけを聞いて 状況を理解する省吾

 

「省吾」と呼ぶ菊乃

「呼ぶな!何で憲治の名前を呼ばんかった!」

 

そう言い放って 省吾は志乃をつれて出て行った

 

こいつの首を持って行けば、又、出世が出来る

と刀を振り上げる修一を足蹴にし打つ竜二。

 

菊乃に助けを求める修一。

残してきた三人の子供の分まで甘やかした事を詫びる菊乃。

修一の不甲斐無さと余りの言動に育て方を間違ったと肩を落とし、

「憲治君、許して下さい。戦と言うものははかないものだ。」

と涙する竜二。

汚れた憲治の顔を涙ながらに優しく拭く菊乃。

 

■ 田原坂

 

「篠原隊長が自害いたしました。」と隊士が報告に来る。

「薩摩隼人の最期の死に様、見せちゃれ。」と言う省吾

 

「志乃、お前は帰れ」 

「私は帰りません。兄様と皆と戦います。」と拒む志乃。

 

「薩摩に帰っても笑う人はおらん。」と言う省吾。

薩摩軍隊士たちは、残される者への伝言を志乃に託す。

「兄様、皆、済まん。」と駆けて行く志乃

 

志乃を見送った後

「これが薩摩隼人の死に様じゃ

おいたちの死を無駄にせんで下さい。」と腹を斬る省吾

そして 篠原隊の面々は 自害する

 

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劇団大川の「田原坂」 初見でした

劇団都と長谷川劇団の田原坂を観ているだけに

どうしても 比較してしまうのですが・・

 

劇団都や 長谷川の場合

序幕が  菊乃が 追い出される場面から始まります

そのことによって 

菊乃が 何故 早川家を出ていかなければならなかったのか

本意ではない子供との別れが 客席に 良く伝わります

 

劇団大川の場合 その部分が無いため

早川竜二のセリフで 最後に

妻菊乃の苦悩など  親子別れの訳が 

明かされる形となってて

 

菊乃は あまり語らず

椿裕二座長が演じる 早川竜二が 

暑苦しいぐらいに 語る語る w

 

 

この 効果たるや ものすごい

 

その衝撃に 

ストーリーがわかってる この桃象ですら

大号泣してしまいました

 

現在のウクライナでの戦も踏まえても

あると思いますが 

どうして争うことになるのか

人が戦うことの悲しみ苦悩も 語るのよね

 

椿裕二 恐るべし

 

さらには 

憲治演じる大川礼花の死にざまのものすごいこと

 

そして 男らしく 多くは語らず 

黙して語らず的な 省吾を演じる 大川忍

セリフが少ないからこそ 表現が難しいのに

心の内面が しっかり伝わる名演技

 

セリフが少ないと言えば 菊乃を演じる美穂裕子

動揺 苦悩を 見事に「眼」で演じます

 

椿キラ演じる 志乃も ものすごい

 

さすが 劇団大川 

これぞ 劇団大川という 

アッパレなお芝居でございます

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送り出しで 桃象さんいたからみんな緊張してたんですよ

と 裕二座長 言ってましたが

そんな 緊張感しなかったなぁ

 

 

この日 送り出しで写真撮り忘れて

借りものですが キラちゃんが 送り出しでこの姿

 

胴の重さを心配してましたが 確認させてもらいまして

意外に軽くて安心しました

 

 

この胴ですが  ここのものです