【用語解説】 お犬様 | 桃象の観劇書付

「決闘、高田馬場」のお芝居の中で

 

長屋の者が「安兵衛が犬に尻を噛まれた」と話す場面で

「犬に・・いやいや お犬様に」と 言い直す場面があります。

 

 

高田馬場の決闘は  元禄7(1694)年のお話で

五代将軍 徳川綱吉の時代。

 

綱吉というと 動物愛護の法令 「生類憐みの令」

極端に犬を愛護したと言われています

 

1685年 から 1709年 まで 出されていて 

違反者は 死罪遠島もあった 厳しい時代なんですね

 

 

貞享4年(1687年)

魚鳥類を生きたまま食用として売ることを禁止

鶏と亀と貝類も含む)

 

 

元禄元年

鳥が巣を作った木を切り、武蔵国新羽村の村民が処罰される

 

元禄2年

評定所の前で犬が争い、死んだため旗本坂井政直が閉門

 

元禄6年

趣味としての釣りを禁止する禁令が通達される

 

 

 

犬を傷つけたことで遠島にされた武士も いて

「犬は 人よりも大切」 との風潮が 

でまわり混乱していた時代なんです

 

 

長屋の面々  お犬様 と  

言い直すのは そのためもあり

悪政に対する 皮肉も含まれているのです

 

また 芝居中 そういうエピソードを 入れることによって

元禄 綱吉の時代背景を 説明しているわけでございます