【用語解説】飛鳥山(あすかやま) | 桃象の観劇書付

桜の名所というと、 

奈良時代から現代にかけて  大和の国 吉野 

というのが 圧倒的に 有名でございます。

 

 

表題の飛鳥山は  奈良の飛鳥地方のことではなく

東京の北区にある 王子飛鳥山。

 


 

享保元年(1716年)に八代将軍となった徳川吉宗が、

紀州から江戸城に乗り込むにあたり、

日光御成道(岩槻街道)を通ったところ、

紀州に因んでつけられた地名を目にしたことが、

王子が脚光を浴びるきっかけになったと言われています。

 

吉宗は民情視察に名を借りての鷹狩の折にも

たびたび馬を駆っては王子飛鳥山を訪れ、

石神井川を故郷紀州の音無川になぞらえて命名するなど、

とりわけ王子飛鳥山に目をかけていたようです。

 

当時江戸では上野の山が唯一の花見の場所でしたが、

寛永寺の門主が皇族一品親王であり寺院境内でもあったことから、

放歌高吟・歌舞音曲は禁止、時間も日中のみということで、

暮れ六つの鐘がなると同時に門を閉ざしてしまう厳しさでした。

 

市民の楽しみである夜桜見物ができるようにという吉宗の配慮で、

吉宗の命によって享保5年(1720)から翌6年にかけて、

飛鳥山に桜が植えられ、享保18年には桜が根付いて花を

開かせるようになり 水茶屋の建設も許可され、

江戸市民への行楽の場としての飛鳥山が誕生したそうな。

 

 

飛鳥山での花見は、飲酒、仮装、唄、踊りといったことが

許されており、この日ばかりは身分の上下や貧富の差に関係なく、

無礼講で楽しむことができました。

 

それまで、花見は上野に限ると思っていたものが、

元文の始め(1736年頃)には飛鳥山に気押されてしまったと

書物に書かれる程に、その人気は高まりました。

 

現在、飛鳥山公園にはソメイヨシノを中心に約650本の桜が

植えられています。

 

 

さて その 飛鳥山のある地は 東京都北区西ヶ原

 

内田康夫さんの 生家のあった土地でもあり

作品に登場する 浅見光彦の家がある場所としても

ファンの間では 知られています。

 

 

平塚神社の境内にある 団子屋さん

平塚亭つるおか

 

作品中 浅見光彦も ここの団子を しばしば 買いに来ますし

ドラマでは 浅見光彦の母親役をやっていた 野際陽子さんが

おいしそうに ここの団子を食べるシーンも 思い出深いものも

ございます。

 

 

桃象 この界隈に行くときには 上中里で降りて 平塚亭によって

団子を買ってから 飛鳥山へ向かって そこで団子を食べるのが

定番となっています。