こんにちは、不動産芸人のぺんとはうす・世良です
毎日更新3日目、めざせ10000日
今日のテーマは、4月の民法改正で賃貸物件の敷金はどうなるのかについてです。
さて、なぜこのようなテーマでブログを書こうと思ったのかというと、先日僕のTwitterアカウントにこのようなリプライが飛んできました。
不動産あるあるばっかり呟いていてごめんよちゃんとタメになることも呟くようにするよ
ただ、Twitterの140文字制限の中ではさすがに説明しきれないので、このアメブロで説明するに至ったという経緯です。
とりあえず、今年の4月1日に民法が大改正されます。
というのも、この民法というのは1896年に公布されて以降、細かな改正などはなされてきましたが、今回のような大改正は初めてなので約120年ぶりの改正とも言えます。
しかも、2005年までは民法の条文は歴史的仮名遣いの文語体で書かれていました。
送り仮名なんかは、カタカナだったんです。
現代人にとっては、まじでぴえーんですね
そんな民法が、現代の文化、慣習に沿ってこの令和2年に大改正されます。
わくわくしますね
とは言っても僕は法律のプロではないので、民法全体の説明はこれくらいにして、敷金に関して何が変わるのかについて説明していきたいと思います。
不動産に関する部分としては、敷金以外にも瑕疵担保責任についてが大きく変わるのですが、またこれは後日説明したいと思います。
4月1日以降、賃貸の敷金がどう変わるのかについて、結論から言うと、
たぶん現状とそんなに何も変わらないです
改正された新しい民法の第622条の2に敷金という項目が新設されました。
ここに書かれていることをざっくり説明すると、
①『どんな名前をつけようが、退去時の修理とか家賃とかの支払いのための預け入れ金は全部敷金です!』
②『ちゃんと退去した後は、部屋を元の状態に戻す修理費に使って、余った分はちゃんと返しましょう!』
③『家賃を滞納した場合には大家さんが敷金から差し引いてもいいですよ!ただそれを入居者から請求するのはダメです!」
という内容になります。
③が明文化されたせいで、世良が普段よく使っていた、退去前にわざと家賃滞納して敷金で相殺させて、敷金を無理やり一旦返還させる裏技は使えなくなりました、トホホ
①が明文化されたことによって、"保証金"や"敷引"という名目で徴収されていた預け入れ金も、今後はすべて敷金として法律上取り扱われることになります。
保証金とは、事務所契約などに多いのですが、ほとんど敷金と同じものになります。
敷引とは、関西地方や事務所契約に多い慣習になるのですが、預け入れ金にもかかわらず退去時に一銭も返ってこない金銭です。
ということで、②が明文化されたことによって、敷引という慣習が、原則は適法では無くなります。
ただ、平成23年に最高裁の判例が、敷引というものの存在を認めてしまっています。
世良の予想としては、数は減っても、しばらくは敷引という慣習は残り続けると思います。
でも、どこかのタイミングで裁判になったときに、改正民法をもとに敷引を認めないという判決が出るんじゃないかと思っています。
だって、普通に条文解釈したら、敷引なんて絶対適法じゃないですもん・・・!
敷引を認めないという判例ができれば、一気に敷引というものは無くなっていくと思います。
さて、②の修理費ですが、どこまで修理すればいいのかということも、今回の民法改正でざっくり条文化されています。
それが、改正民法の第621条の賃借人の原状回復義務になります。
この条文をざっくり説明すると、
入居する前くらいまではキレイにして返さないといけないよ!でも例外があるよ!
①通常使用していた上の部屋の損傷は仕方がないので、入居者が直さなくていいよ!
②年数とともに部屋は損傷して元の価値もなくなっていくから、入居者はその分の修理費は負担しなくていいよ!
③入居者の責任じゃない場合は、直さなくていいよ!
このような内容が、民法に明文化されました。
すごく敷金が返ってきそうな予感のする条文ですよね
ただ、これに関しては、東京で賃貸物件を借りたことのある方なら、すでに一度は聞いたことがある方も多いんじゃないかと思います。
平成16年に東京都で施行された「賃貸住宅紛争防止条例」には、このような内容がすでに明文化されています。
不動産業界では、東京ルールなどと呼ばれたりもしていますが、それに基づく説明が賃貸借契約の際になされています。
なので、平成16年以降に東京で家を借りた方には、このルールがすでに適用されているのです。
また、国土交通省のガイドラインには、このような内容がすでに載っています。
にも関わらず、賃貸の退去時において敷金が返ってこない、管理会社が全然動いてくれない、という事例は今も多数あります。
このようなルールがあるのにも関わらず、です。
ただ少なくとも、このようなルールができる前に比べれば、敷金が返ってくる可能性は格段に上がりました。
しっかり守ってくれる良心的な大家さんや管理会社は、いまでも敷金を返還してくれます。
それを考えると、この民法の改正を受けてどこまで現状が変わるかわかりませんが、世良が思うに、変わっていくのは本当にゆっくりゆっくりだと思います
なので、最初に言っていた通り、今回の民法の大改正で賃貸の敷金がどのように変わるかというと、
すぐには現状とそこまで変わらない。
というのが結論になります
ただ一つだけ、退去時の敷金返還についてトラブルになったときに、民法にも記載されている通り、といった言い分を使うことができるようにはなります。
また、本気で裁判を起こしたときには、勝ちやすくなったんだろうとは思います。
何度も言いますが、世良は別に法律のプロではないので、信じるか信じないかはおまかせします
その上で、一点だけ知っておいて頂きたいことがあります。
新しい法律は施行日以前に遡及しないのが原則です。
なので、令和2年4月1日の改正民法の施行以前の賃貸借契約に関しては、いままで言ってきた内容は当てはまりません。
これはあくまで民法の内容に関してですので、東京都の賃貸住宅紛争防止条例や、国土交通省のガイドラインは当てはまります。
原状回復に関する義務の生じる時期を退去時と考えたり、定期借家契約の再契約のタイミングを考慮したりするなどして、思いっきり法廷で争おうと思えば、令和2年3月以前に原契約がなされている賃貸借契約でも闘う余地はあるのかもしれませんが、そこまでしなくてもいいとは思います。
とにかく、これから令和2年4月1日以降に契約する場合には、この改正民法のルールが当てはまります。
ぜひ、知っておいて頂ければと思います
というわけで本日のブログはここまでです。
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