ファイナンシャルプランニングオフィスPentas -26ページ目

一般の方々にはあまり関係ない話かもしれませんが生命保険業界でとうとう激震が走りました。

以前より問題視されておりました法人向け商品に関係官庁から大ナタが振るわれました・・・

理由としては様々だと思いますが簡単に言うと国としては本来支払うべき税金を払えと言いたいのでしょうかね?

この表現が正しいかどうかは賛否両論あるとは思いますがもう少し掘り下げて考えていきましょう。

 

1.そもそも生命保険の考え方って?

『生命保険は、大勢の人が公平に保険料を負担し合い、万が一の時に給付を受ける、大勢の人による「助け合い」と「相互扶助」の仕組みで成り立つ「生活保障」と言えます。もう少し具体的に言えば、病気やケガ、死亡などによって、一定収入を維持できなくなった場合に、経済的損失をカバーするための生活保障制度と捉えることができます。』

ですので、加入している保険会社は人それぞれではありますが公的保険と同様な考え方でありその保険会社を国と置き換えれば少しはわかりやすくなると思います。

金融庁や国税局は今回の問題点としてこの生命保険の考え方も言っております。

各社が販売していた法人の節税保険は『助け合い』と『相互扶助』という観点から外れていると言われてしまっております。

なぜかと言いますと・・・法人向けの資産形成商品の大半は保障はおまけで保険料を経費計上し解約した際の返戻金は高い設定になっております。返戻金が高いのに資産としては計上しない全損商品の乱立が今回の大ナタ振りを招いてしまったと思います。

 

2.保険会社の販売手法

保険外交員の話しってどんなことを話してきますかね?

個人向けの商品であれば死亡保険は残される遺族の必要保障額や地域ごとのご葬儀代、入院保険であれば1日当たりの入院日額の根拠や先進医療などの特約の必要性を話しご理解をいただき加入していただくことが通常の販売手法だと思います。

しかしながら、法人向けの節税商品に関しては保障の話しより先に今期の売上や収支の話しをしたり中長期での資産運用を特に経営者の退職金や事業承継資金の話しが先に出ます。死亡保険金額からの保険料の算出ではなくて今年儲かったから経費で落としたいという目的が強いです。ようは、納める法人税を少なくしましょうとダイレクトに話すことも数多くみられますし保険会社の研修でも保障より法人税の圧縮の話しが多く感じられます。この販売手法も節税の助長をしたと見られているのと考えられます。

保険料も多額になる傾向であるのでかなりの金額の手数料も外交員に動いておりますし、規制で少なくはなりましたが各社の表彰基準などに大きく関連していることも見受けられます。

 

 

3.そもそも節税できているのか?効果が実際に正しいのか?

東京時代から数多くのご経営者と話しをさせていただいておりますが実際に生命保険で節税をしているところで本当に節税できているか分かっていらっしゃるところってあまりありませんでした。

そもそも、法人税が何%か理解していない経営者の方々がほとんどでした・・・

果たして法人税って何%かかるのでしょうか?

法人格により税率が変わってきますが日本で一番多い株式会社や合同会社などの中小法人で話していきます。

法人税と言われるものは『法人税』『法人住民税』『法人事業税』の3つに分かれていると考えたほうがわかりやすいと思います。

この3つを保険外交員は法人税とまとめて話しをします。

図にしますと下記のとおりです。

法人税
普通法人 全て 23.4%
中小法人 所得が年800万円相当額以下 15.0%
所得が年800万円相当額超 23.2%
※平成30年4月1日以降の事業年度
地方法人税
各課税事業年度の法人税額×4.4%
 
法人住民税
所得割 資本金1億円以下で
法人税額が年2,000万円以下
法人税×12.9%
上記以外 法人税×16.3%
均等割 資本金1,000万円以下で
従業員が50人以下
70,000円
資本金が1,000万円超1億円以下
従業員が50人以下
180,000円
※均等割の額は、資本金・企業規模によって何段階もの金額設定があります。
 
資本金が1億円以下で、かつ年所得2,500万円以下かつ年収入金額が2億円以下の法人(標準法人)
法人事業税
法人所得額 税率
400万円以下 3.4%
400万円超~800万円以下 5.1%
800万円超 6.7%
 
地方法人特別税
法人所得税 税率
400万円以下 1.469%
400万円超~800万円以下 2.203%
800万円超 2.894%
   

※平成31年10月1日以降から開始される事業年度では廃止

 

この表を見ても一体何のことだと思ってしまうと思います・・・

中小企業でも収益性が高く儲かっている企業もあるかと思いますが私の経験上正直に利益が800万円以下の中小法人がほとんどでした・・・

ここからが本題です。

どうでしょう?保険会社から提案される提案書の法人税率は何%になっているでしょうか?

これも経験上の話しになってしまいますが大体の保険会社は30%を超えているのではないでしょうか?私の知っている保険会社ですごいところは38%の法人税率で提案している会社もありました・・・

 

例えば今期の利益が500万円の中小法人の法人税を考えてみましょう!

法人税率は15%+法人事業税は5.1%+地方法人特別税2.203%=22.303%になります。

法人住民税は法人税750,000円×12.9%=96,750円となりますので所得から利率に換算しますと1.935%になります。

22.303%+1.935%=24.238%が合計の法人税率となります。

(あくまでも参考ですので細部までの計算に関しましては顧問税理士・会計士さんにご相談ください。)

 

生命保険の提案書で払込保険料と解約返戻金・解約返戻率は平準払いの商品であれば実数字ですが外交員の方でよく話す内容で税効果や実質保険料、実質解約返戻率などの言葉を使い説明される方が良く見受けられます。

500万の所得の中小法人でありますと提案書が仮に30%の法人税率で作成されていれば本来の法人税率と誤差が5%超出てしまう計算になります。ですので、本来の効果とはかけ離れている中小法人もでていたのが実態だと私は考えます。

(すべての法人に当てはまるものではございませんので実際の効果に関しましては顧問税理士・会計士やご契約されております保険会社にお問い合わせください。)

 

4.今後はどうなっていくのか?

2/13の国税局と生保会社との話し合いから翌日の2/14には『日本生命』『第一生命』『明治安田生命』『住友生命』の国内大手4社が販売の休止をプレスリリースをしたのを皮切りに法人商品が主力な『大同生命』、外資系の『メットライフ生命』が同様に販売の休止を発表いたしました。

それも全額損金だけでなく以前より販売をしておりました半額損金の長期平準保険や解約返戻率が50%を超える商品に対しても販売の休止をしました。

これは私的な見解ですが過去の逓増定期保険や長期障害保険などの規制もあったにもかかわらず各社、知恵を使い商品開発をし法人向け商品を開発していましたが過熱しすぎてしまった結果、お上が頭に来たのかと思ってしまうのと後発保険会社・外資系保険会社に対しての抑制のようにも見えてしまいます。

国税局の見解がいつ出るかはわかりませんが少なくとも日本で一番多い決算期の3月いっぱいは難しいのではないかと思います。

また、今後は50%を超える資産部分は経費として認められず損金算入額は下がるのと保険本来の目的での加入かの確認書等も必要になる気がします。

以前よりご経営者様にお話しさせていただく中で特に中小法人は短期の決算で売上がよく保険に経費を捻出しても翌年や翌々年の短期間で経営が悪化してしまった際に解約返戻金が低くかなりの損をしてしまいますので本当に大丈夫ですかと話しておりました。

終身保険であれば損金算入はできませんが立ち上がりが早く解約返戻金がいずれは100%を超える終身保険のご紹介やまずは保険以外で会社の本業で必要な設備や人材に投資することも考えていただくことが必要だとセミナーや個別相談でも話しをさせていただいております。

生命保険業界としては時期的にも非常に大きな衝撃ではありますが早く正常な流れに戻り本来の生命保険の商品販売をしていくことをお祈りします。