製造業、土木建築、大抵の形あるものは3DCADでモデリングされている。
毎日、何千、何万もの人が、新しい形をコンピューターの中に作り上げている。
そのモデリングの速さは、みんな同じではない、という話。
早い人もいれば、遅い人もいる。
もちろん、「ゆっくり入力する人」と「マシンガンのように入力できる人」との違いはあるが、それ以上に、「スキル」の違いがある。
3次元CAD利用技術者試験 概要 - CAD利用技術者試験 - ACSP 一般社団法人コンピュータ教育振興協会
雇ってみて、いまいちだった、というのは避けたい。
でも、実務をやらせないと、どれぐらいできるのかわからない。
口では何とでもいえる。
そこで、簡単な質問でスキルを見極める方法の一つが、
「座標系、ってどうしてます?」
座標系は、3DモデルのCAD上の原点、座標0,0,0の点。
それがどうした、っていうことだけど。
いやあ、座標系を知らなくても、3DCADは使える。
座標系を知らない人、使えない人が、どんなモデリングするか、というと、例えば、自動車をモデリングしましょう、というとき、
4つの車輪を例えばこんな風に描く。
右前輪:運転席から、右に80センチ、前に60センチに丸い車輪を描く。
左前輪:運転席から、左に120センチ、前に60センチに丸い車輪を描く。
右後輪:運転席から、右に80センチ、後ろに120センチのところに、丸い車輪を描く。
左後輪:運転席から、左に120センチ、後ろに120センチのところに、丸い車輪を描く。
いいじゃない、これでできるじゃない。何か文句ありますか。
だけど、できる人は、
座標系0,0,0を中心に車輪をモデリングする。
それぞれの車輪があるべき軸の中心に、アセンブリ上に座標系を描く。
アセンブリの座標系のところに、車輪のモデルを位置決めして完成させる。
できたモデリングは同じに見える。
問題は、設計変更する時。
新車では、車幅を10センチ広げることになった。
座標系を使えない人は、前のモデルは全部捨てて、もう一度4つの車輪を新しい位置に描き始める。
前のモデリングに20時間かけてたら、また20時間かけてモデリングする。
座標系を使える人は、アセンブリの座標系を設計変更に合わせて移動させる。
すると、勝手に4つの車輪が正しい位置に移動する。
10秒ぐらいでできる。
20時間VS10秒。これがスキルの違いだ。
座標系をどこに決めるかがポイント。
「今後どんな設計変更があっても、モデリングの修正が最小になるように座標系の位置を決めています」と答えられる人が、スキルが高い人、となる。