わかること、わからないこと | 開成ボーイのmadなdays

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人生は為したいことを為す手段であって、目的ではない。
生きる理由は、それしかその手段がないからである。

最近、ふと思う事があるんです…。

固定的なオーダーも、信ずるべきストーリーも持たない時代に生きている今の人間…様々な問題を抱えながらも、上の世代を含めて、自分たちがどこへ向かえばいいのか、本当のところ実は誰にも分かっていないのかもしれない、と。

無理もないこととは思います。
固定秩序が働いていた前近代は破綻し、その打破に使われたストーリー(イデオロギー)に導かれていれば良かった、目指すべき方向だけは定まっていた近代もうまく回らなくなって、うまく回らない事を自覚した人間が出ても、彼らの思考もまた一種の混乱状態からぬけ出す事ができなかった。

新しい何らかのパラダイムが胎動していても、その何たるかははっきり分からず、世界が問題を抱えている以上、変わらなければならないという漠然とした感触があっても、どう変われば良いのかは誰にも見えぬ時代…。

あるいは、「見えた」事など実は一度もなかったのかもしれません。
どんな風に変わっていったと捉えたところで、少なくともこれまでの人類のたどってきた変化は完全な正解とは言いがたい。
このままではいかん、こうすればいいはず、と、靄の中の数ステップ先だけは見えても、見えてたどった先でやはりまた別の問題を抱える…イデオロギーの挫折は、どんなに優れた頭脳であっても、完全な正解…現実となっても理想郷であり続けられるような理想郷を考えつく事はできない、という教訓を垂れていると捉える事もできる。

その教訓のせいで、新たなストーリーにしがみつきたいと思いながら、そのストーリーを紡ぐのに誰もが躊躇する…あるいは、昔ながらのストーリーの歪んだ焼き直しをあたかも自分達こそストーリーを持っているかのように見せる勢力が台頭する。
そんなものなのかもしれない、という気もします。

でも、変わらなければいけない…少なくとも、旧来のストーリーには頼らずに。
そう実感している人たちもいて、そういう人たちはそういう人たちでもがいている…でも、彼らだってそのもがきが本当にそれで良いのか確証は持てない。
だからどこかしら薄っぺらさ…得体の知れない違和感が残る。
そういうものなのかもしれない、という気もします。

ただ、その自覚の有無にかかわらず…ストーリーを持たない現代人は、闇雲にもがいている(もがかざるを得ない)…まるで、走性も持たずに水中を動き回る事しかできない、最も原始的な微生物のように。

ここまで来て、「歴史は繰り返す」、というあまりにも陳腐な、しかし中々的を射た表現が思い浮かんで、ドクンと鳴ります。

闇雲に動いていたところから、走性を覚え、反射を覚え、鍵刺激によって誘発される高度にプログラムされた本能行動を覚え、更には後天的学習能力を身につけ…学習から、住みやすい外界への加工へと乗り出した、知性の一つの最前線を担っているとも言える人類は、しかし一方で、その高度な知性が作り出した新たな原始海洋では、もがくしかない。
いつしか形成された熱水噴出口にとどまっていれば良かった時代や、誰かの流した海流の流れるがままに一定の方向をとりあえず進んでいれば良かった時代は終わり、我々は何らかの走性の獲得を指向しながら、しかし海流のもたらした負の遺産にも震えているので、やはりもがくしかない。

ただ、いずれにせよ、人類はスタート地点に立ったに過ぎない…少なくとも、精神世界、という新たな海では。
歴史は繰り返す…この言葉の当てはまり次第では、今後我々はこの精神世界を、より高度な形で泳ぐことができるようになるかもしれません。
精神世界、ストーリーにおける学習はおぼろげながら見えなくはない気がします。

ストーリー…寄る辺を持ちながら、しかし一方で、それをうまくいかないときには変える事のできる柔軟性。
そんな変わる事が当然であるストーリーを、疑いつつ信じる…そしてそこに今の人類であれば抱え込んでしまう一種の矛盾を、乗り越える才能。

ある人は群れ、ある人は単独で…ある人は食う側に、ある人は食われる側に(精神世界における食う・食われるは恐らくはストーリーの拡散・受容に対応する…それ以外の意味も持つかもしれないが)…そういった多様性が含まれる世界。

その学習の極致に何が見えるのかまでは、私も分かりませんが…

人類にそれができるか、たぶんそれこそがこの先の課題になる気だけはします。

それまでは…自分たちのできる事をやるしかないのかもしれません。
(少なくとも、やる事をやらないで言い訳する訳にはいくまい?w)

完全な正解なんてないと思います。が、…部分的正解でも模索するあがきは必要かもしれないな…などと思いつつ。

では、また、
see u! ;)