もうずっと過去のことなので、自分に解禁する。


先日、用事の 帰り道、ある家の前を通った。

私は車を運転しないし、通り道でもないので、普段は目にしない。日常の中では、遠い記憶として忘れ去っている。

それがたまたま通った。

「あ!?」

その家は外壁等をリフォームをし始めていて、私の家もだけれど、もはや手入れが必要な年数だろう。

「いいねえ、リフォーム。」

次の瞬間、窓にカーテンもなく、見えた室内はがらんどう…つまり空き家だった。

「???」

「あ!売ったんだ。売るんだ。」

私はその元住人を知っているので、更に新居を構える ためなのか?

はたまた、売るはめになったのか。

とても余計なお世話なのだが、考えて、1つの溜息と共に、私は安堵を覚えていた。ホッとした。


それは、かつての恋仲の人の家だったのだ。

若気の至りというには互いに年嵩だったけど、あれよあれよとピークを迎え、燃え尽きた。

冷静に考えたら、ばかばかしい位の。今なら、あははと笑っただろう。

その人も私も相当 寂しかったんだろうねえ…道ならぬ事、故、実りのないものだった。周りを苦しめた。

なので、会えなくなってからも、たまにそこを通る度、私の胸は疼いた。

恋を考えてではない、己のことばかり考え、傷つけた人々のことを。

甘酸っぱいとか、大人の恋とか、しゃれにならない。

道ならぬ、は、ならぬ。

ならぬものはならぬのです。


その人も辛酸を舐めたのだろうか、はたまた、幸せのホップステップなのか。

後者を願うけれど、一攫千金なんかを狙っていた人なので、 どうぞ無事でありますように。

もう見る度、意識しなくて済む、そのスイートホーム。

ほろ苦い過去の思い出に、さよならした。