不本意な天使 10 | ぺんぎんの戯言ブログ

ぺんぎんの戯言ブログ

スキビファンが今まで読専だった駄文を書いてみました。

出版社、原作者、関係者には関係ない趣味の二次駄文です。
二次が嫌いな方や、悪戯、嫌がらせ等はご勘弁下さいませ。

因みに、基本的に尚ちゃんが好きではないので、尚好きな方は申し訳ありません。

一日お休みしてすみません……。
やっぱりこの記事は朝にします。

∽∽∽∽∽∽∽

『本日のゲストはアメリカから一時帰国されている敦賀 蓮さんです!』
『みなさん、こんにちは。敦賀蓮です。こうして番組などで日本のみなさんとお会いするのは3ヶ月ぶりですね』

黄色い歓声が飛ぶ中、二本目の収録の頃には蓮はすっかり元の『日だまりの様な紳士』に戻っていた。
しかし俺の心の中はそれどころではなかった。

朝から機嫌のよかった蓮、調子が悪いらしいキョーコちゃん。そして先ほどの楽屋の中の様子。
他の人間に聞かせる訳にはいかないと、余計にピリピリした俺だけが外れくじだ。

そんな事を考えていると後ろから軽く背広をくいくいと引かれて、不機嫌全開の顔で振り返ると……キョーコちゃんがいた。

「きょっ、キョーコちゃん。どうしたの?」
「いえ、あの、せっかく元気付けに来て下さった敦賀さんを追い返す様な形になってしまったので、申し訳なくて……」

自分の方が調子悪そうな顔をしているのに、先に人の心配をするところがやっぱりキョーコちゃんだよね。

「でもキョーコちゃんこそ大丈夫なの? 顔色悪いし、蓮の心配よりも俺はキョーコちゃんの方が心配だよ」
「あ、ありがとうございます。でもこれは仕方ないので……」
「いや、仕方ないで済むことと済まないことがあるでしょ?」
「でも社さんも3ヶ月一緒にいてわかって下さったじゃないですか……」
「え……? もしかして……」

それってアレ?

「で、でも、さっき蓮が……」
「兄妹してた時に頭や頬には散々……その、キスされましたけど、口にキスされたり、胸やら脚を触られたりするのは……」

れぇぇぇんっ! お前は調子悪い彼女を知りながら、何をやらかしてるんだっ!
自分の言葉に真っ赤になってるキョーコちゃんは小悪魔の様な色気を出してて、思わずそれに目眩がしてしまう。

やっぱり俺が蓮からキョーコちゃんを守らなければ、キョーコちゃんが傷ついてしまう!

「最上さん、社さん。収録終わりましたから、楽屋に戻りましょうか?」

大魔王の冷徹な声が耳の近くで響いた。

*****

3人で入った楽屋はまさに氷の洞窟だった。

そして俺はこの場で凍っていた。
こんなに怒った……キョーコちゃんを見たことがない。

発端はセット脇での話であり、楽屋に入るなり軽く蓮に押されて俺がソファに尻餅をついた事でキョーコちゃんがキレた。

「何年も一緒にいる社さんによくそんな事ができますねっ?!」
「そういうキョーコこそ、社さんとコソコソ俺に聞こえないところで内緒話して楽しいだろうよ」

急いでて押された様なもんだから俺は別に良いんだけど、そうして怒ってくれるキョーコちゃんの気持ちが嬉しい。

「敦賀さんの社さんに対する態度はあまりにも酷すぎますっ! それにさっきだって……」
「ヒール兄妹をやっていた時だって、多少はやってただろう?」
「元はと言えば敦賀さんの激しすぎるスキンシップの問題じゃないですかっ!」

蓮は俺の方を見ながら、キョーコちゃんに視線を移して言葉をぶつける……
キョーコちゃんは蓮を見ながら……
でもキョーコちゃんの身体は万全じゃないはずなのに。

「蓮、あまりキョーコちゃんに言うな。彼女は調子が……」

とたんに空気がビリッと張りつめた。俺も援護射撃をしようと口出ししたはずなのに、言葉選びを間違えてしまった。

「いつからキョーコは社さんの彼女になったんです?」
「そういう意味じゃ……」
「そうですよっ! 社さんには私よりモー子さんみたいな素敵な大人の雰囲気の女性がお似合いですし!」

え? キョーコちゃん?

「それに社さんは私に芸能界でのいろはを色々教えてくれたんです。そんな社さんみたいな大人の男性が私みたいな小娘を彼女なんて思うわけないじゃないですかっ!」

……キョーコちゃん……
俺は庇って貰ってるのか、全く範疇外と言われてるのか……
そして蓮は大人の男性じゃないの?

いつしか蓮の雰囲気は温厚紳士に戻っており、俺の心の中は反対に滂沱の渦に巻き込まれていた。

***** つづく

アレ、な時ってイラっとして短気になりがちな私。
実は《ハジメテ》は限定までいきません!何のハジメテかは書いてないも~ん!

朝から申し訳ないです。
でもそろそろスピードアップしないと、マジでまずいです……