武蔵小金井の手芸カフェまに~なの店長、千葉恵です。
洋裁教室の生徒さんで、手持ちのノースリーブの服に袖をつけたい、という方がたまにいらっしゃいます。
仕上がりがどうなってもいいなら、袖を付けることはできます。
でも服としてきちんと仕上げたいなら、無理だと思います。
【理由1】
ノースリーブの服はそもそも「袖を付ける」つもりでなく製図されているので、「袖を付ける」という前提で身頃自体が製図されていない。
バランスの良いアームホールでないと美しい袖は付きません。
バランスの良いアームホールは、適度なゆとりがあって、そのゆとりが前後バランスが取れていること。
ノースリーブはゆとりがあるとアームホールから体や下着が見えてしまうので、見えないように製図することがあります。
そのため、袖もゆとりがなく、着心地は良くないのではないかと思います。
【理由2】
袖付けは原型のアームホールよりショルダーポイントが肩先より内側に入ることはありません。
ギャザースリーブの場合はギャザーで袖が膨らんで肩がいかつく見えてしまうのでショルダーポイントを内側にすることがありますが、
それ以外でアームホールが身頃側に入ることはありません。
それに対して、ノースリーブのほとんどはアームホールは原型の袖ぐりよりも刳って作られています。
ノースリーブの服は、デザインもそうですが、「夏用の服」ということで、袖ぐりをさらにくって設計されます。
袖ぐりが身頃側にくられているのに、そこに袖を付けるのは不可能です。
例外として、ディープアームホールというデザインの服があります。
これはラグランスリーブなどと同じ考え方の袖のひとつです。
ベースの袖自体は袖山を低くして運動量を入れてから身頃で刳った分を袖山にプラスするもの。
ノースリーブに付けたい袖とは違うんじゃないかな?と思います。
【理由3】
袖付けでは袖ぐりの縫い代に切り込みを入れませんよね?
でもすでにノースリーブで作られている服の縫い代処理はどうなっているでしょうか?
ほとんどの場合、見返しなどで処理されているため、縫い代は切り込みが入っていると思います。
袖ぐりはカーブですからね。
そこに袖を付けられますか?
以上の理由から、ノースリーブの服に袖を付けるのはお勧めしません。
それでもやってみたい方は、どーぞお好きに。
どんな服を作っても、だれにも迷惑かけないなら、それは自由です。
でも私は生徒さんに頼まれても、お断りします。
だって迷惑かけてしまうから。
今日のHAEDはここまで。
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