ビジネス英語と知識を学ぶ 英写塾 -2ページ目

ドラゴンへの道 -- ドバイから世界が見える8

すでにお知らせしていますように、5月から長期休講に入ります。

今日を入れてあと2回。

全力でお届けしていきますので、どうぞお楽しみください。

おはようございます。英写塾@石渡です。

今日の英文はこちら。

The dragon's coils
encircling the world
are getting tighter
by the day.


記事掲載号)The Economist April 14th 2012
邦訳)未刊行
出典記事) Schumpeter | Mall of the masses


$ビジネス英語と知識を学ぶ 英写塾-TheEconomist20120414



初めてこのブログを読んで、「The Economist って何?」と思った方は2010年9月18日付「The Economistに挑戦!(1)」をご覧ください。

前回は、ドラゴンマートの第1の特徴を紹介しました。

それはひと言で言うと、「国家の全面的なバックアップを受けた、起業家精神に富む資本家たちが売って売って売りまくる」という構図です。

国家が経済にどのようにかかわるべきなのか、特に国営企業を多く抱える国にとっては、参考になるモデルと言えそうです。



第2の特徴は、世界最古の貿易ルートの復活です。

そう、シルクロードです。

かつてこのルートを行き来したのは、絹のようなぜいたく品でした。

いま、このルートを行き来しているのは、ありとあらゆる生活雑貨です。

ドバイはこのルートを押さえる、交通の要所として2つのものを誇っています。

世界で9番目の規模のコンテナ用の港と、世界で最も混雑している空港です。



さて、このルートはあることを象徴しています。

それは、ヨーロッパが蚊帳の外である、ということです。

ルートはヨーロッパを経由していません。

商品もすべて中国メーカーのもの。

大半は、聞いたことも見たこともないメーカーです。

けれども中には、世界進出を果たして、先進国でも名前が売れているメーカーも含まれています。

家電のハイアールやベビーカーのゴーベビーなどです。

おそらく両社に続く中国メーカーが、これからどんどん増えてくることでしょう。



活況を呈するドラゴンマートに気を良くした、ドバイと中国当局は、第2のドラゴンマートの建設に着手しています。

隣接する17万5000平方メートルの敷地に、4500台分の駐車スペースを併設したものを作る予定です。

さて、記事はこの後、結論の1文を述べています。

英文で、見ていきましょう。



The dragon's coils encircling the world
are getting tighter by the day.


幹はA are getting tighter.(Aはきつくなっていくだろう)。

The dragon's coils encircling the world はAに相当。

The dragon's coilsは「ドラゴンのとぐろ」。

蛇のような体を、二重三重に巻きつけている様子を指しています。

encircling the worldは、何に巻きつけているのかを説明し、「世界を囲むように」。

are getting tighterは「きつくなっていくだろう」。

by the dayは「その日までには」。

このthe dayは文脈から「第2のドラゴンマートがオープンする日」を指しています。



とりあえず個々の部分の意味はわかりました。

では、この1文はいったい何を言おうとしているのでしょうか。

ヒントは、記事冒頭のイラストにあります。

上の青い文字をクリックして、イラストを見てください。

これは、ドラゴンマートの正面入り口にあるドラゴン像を、イラスト化したものです。

ドラゴンの細部や、台座の部分は実際のものとは違います。

イラストの台座には、さまざまな中国製品が雑然と積まれています。

この「ドラゴン」はドラゴンマートの象徴でもありますが、同時に、中国の国営企業と独立自営の資本家との連合体も表しています。

つまり、ヨーロッパを押しのけ、アメリカや日本を押しのけた、「ドラゴン」が世界経済に対する支配力を強めているというイメージを、伝えているのです。

以上を踏まえ、意味を補って意訳します。



「ドラゴンマートの入口にあるドラゴンの像は、中国の国営企業と独立自営の資本家との強力な連合を象徴しているとも言えそうだ。ドラゴンマートという舞台を得て、この最強連合は中東やアフリカといった新興国の経済に対する影響力を強めている。ドラゴンマートの中からは、今後第二のハイアールやゴーベビーなどが続々と登場してくるのではないだろうか。2つ目のドラゴンマートがオープンするころには、この最強連合は新興国だけでなく、世界経済に対する影響力をさらに強めているだろう。それは、まるで地球の周りにとぐろを巻くドラゴンが、キリキリと地球を締めつけている様子に似ている」



本シリーズ、いかがでしたか。

最後にもうひとつ重要なことを付け加えたいと思います。

この交易ルートに含まれていないのは、ヨーロッパだけではありません。

アメリカと、そして日本が含まれていないのです。

日本にとってアフリカは、物理的にも心理的にも遠い地域。

アフリカ関連のニュースは極めて少ないですし、「ライオンやゾウがいるところ」程度のイメージで捉えられがちです。

課題をたくさん抱えているとは思いますが、長い目で見たとき、これからアフリカは大きく発展していくのではないでしょうか。

幸い多くの英語メディアは、アフリカをいろいろな角度で捉えて紹介しています。

せっかく英語を学んでいるのでしたら、時にはそういったニュースにも目を向けてみてください。

きっと何か発見があるはずです。



次回はいよいよ、長期休講前の最終回です。

しばしのお別れの前に特別編をお送りする予定です。

お楽しみに!

(完)


今日の記事を楽しんでいただけたら、下のバナーの応援クリックをよろしくお願いします。


にほんブログ村 英語ブログ ビジネス英語へ
にほんブログ村


引用元の記事は同誌のウェブサイトのこのページで読むことができます。

定期購読者以外には公開期間が限定されているようなので、興味のある方は早めのアクセスをおすすめします。

The Economist はビジネスパーソンにとって情報の宝庫。

英語に少しでも自信がある人はぜひ定期購読をしてみてはいかがですか。

最後に「今日の英文」を、お気に入りの筆記具でノートや手帳に書き写しましょう。

The dragon's coils
encircling the world
are getting tighter
by the day.


記事にかける時間が長くなりがちなため、いつもペタ返しができるわけではありませんが、よろしければ、書き写した記録としてペタやコメントをつけてくださると、とてもうれしいです。

コメントには原則として、すべてに返信しています。

それでは今日も1日、お元気で!

tourokuBTN