リスクとリターンのはざまで--食料価格高騰と農業ビジネス(3)
おはようございます。英写塾@石渡です。
今日の英文はこちら。
The main problem, says IFAD, is
that growers cannot cope with
the high risk of producing extra crops.
記事掲載号)The Economist December 4th 2010
邦訳)未刊行
出典記事)Farmers and food prices | Dare to grow more
The Economist はどんな雑誌かについてはこちらで解説しています。
2008年の食料危機後の、世界の農業ビジネスの現状を示す興味深い数字があります。
それは、12%と1%。
価格が上昇したわけですから、生産者にとってはビッグチャンスの到来です。
多くのビジネスでは、ここでいっきに増産して売上を増やすのが定石。
先進国では確かに農業生産量が12%増加しています。
一方、貧困国ではわずか1%しか増加していません。
それまで農産物の価格がずっと低かったため、貧困国の農家は生産量を増やすための投資などまったくしてきませんでした。
そのため、せっかくのビジネスチャンスに対しても、すぐに反応することができなかったというわけです。
世界の人口は2050年には90億に達すると予想されていて、その人口を養うには農業生産量をいまよりも70%増さなければなりません。
70%増という数字は、先進国の生産量を増やすだけでは、どう考えても達成不可能です。
さて、2008年と2010年の食料価格上昇によって、貧困国の農家が生産量を増やすための投資をしたのかというと、実際にはそう簡単ではありません。
原因は、肥料と種の価格が高いことです。
しかも、増産するのなら、先にこの2つを購入しなければなりません。
初期投資がばかにならないのです。
それでも、その高いリスクを取った農家が報われるのかというと、かならずしもその確率は高くはありません。
異常気象による天候不順で先行投資がすべてムダになってしまったり、収穫するころに農産物の価格が急落していることもあり得るからです。
ここまでを押さえたうえで、今日の英文を見ていきましょう。
構造はシンプルで、A is B.(AはBである)です。
The main problemはAに相当し、「主たる問題」。
, says IFAD,はこの文全体の話者を示し、IFAD says "A is B."という構文に置き換えて理解しましょう。
ここでは、IFAD saysを倒置し、文の中に挿入。
意味は「国連国際農業開発基金(IFAD)によると」。
thatからcropsまでがBに相当し、「・・・であること」。
growers cannot cope with...は「栽培者が・・・に対処できない」。
farmersを繰り返し使っているので、growersとあえて別の表現を使っています。
the high risk of producing extra cropsは「作物増産の高いリスク」。
全体を意訳すると、次のようになります。
「国連国際農業開発基金(IFAD)は最大の問題をこう指摘している。貧困国の農家が作物を増産しようすれば、高価な肥料や種子を先に購入しなければならない。この初期投資のリスクが大き過ぎるため、いっこうに作物の収穫が増えないのだ」
汗水垂らして働いても、最後は「お天道様次第」。
それだけでも、農家は大きなリスクを取っているわけですから、さらにリスクを取りに行くためには、行政のサポートも重要です。
明日は各国政府がどんな取り組みをしているのか、見て行くことにします。
<続く>
引用元の記事は同誌のウェブサイトこのページで読むことができます。
定期購読者以外には公開期間が限定されているようなので、興味のある方は早めのアクセスをおすすめします。
The Economistはビジネスパーソンにとって情報の宝庫。
英語に少しでも自信がある人はぜひ定期購読をしてみてはいかがですか。
最後に「今日の英文」を、お気に入りの筆記具でノートや手帳に書き写しましょう。
The main problem, says IFAD, is
that growers cannot cope with
the high risk of producing extra crops.
よろしければ、書き写した記録としてペタやコメントをつけてくださると、とてもうれしいです。
それでは今日も1日、お元気で!
今日の英文はこちら。
The main problem, says IFAD, is
that growers cannot cope with
the high risk of producing extra crops.
記事掲載号)The Economist December 4th 2010
邦訳)未刊行
出典記事)Farmers and food prices | Dare to grow more
The Economist はどんな雑誌かについてはこちらで解説しています。
2008年の食料危機後の、世界の農業ビジネスの現状を示す興味深い数字があります。
それは、12%と1%。
価格が上昇したわけですから、生産者にとってはビッグチャンスの到来です。
多くのビジネスでは、ここでいっきに増産して売上を増やすのが定石。
先進国では確かに農業生産量が12%増加しています。
一方、貧困国ではわずか1%しか増加していません。
それまで農産物の価格がずっと低かったため、貧困国の農家は生産量を増やすための投資などまったくしてきませんでした。
そのため、せっかくのビジネスチャンスに対しても、すぐに反応することができなかったというわけです。
世界の人口は2050年には90億に達すると予想されていて、その人口を養うには農業生産量をいまよりも70%増さなければなりません。
70%増という数字は、先進国の生産量を増やすだけでは、どう考えても達成不可能です。
さて、2008年と2010年の食料価格上昇によって、貧困国の農家が生産量を増やすための投資をしたのかというと、実際にはそう簡単ではありません。
原因は、肥料と種の価格が高いことです。
しかも、増産するのなら、先にこの2つを購入しなければなりません。
初期投資がばかにならないのです。
それでも、その高いリスクを取った農家が報われるのかというと、かならずしもその確率は高くはありません。
異常気象による天候不順で先行投資がすべてムダになってしまったり、収穫するころに農産物の価格が急落していることもあり得るからです。
ここまでを押さえたうえで、今日の英文を見ていきましょう。
構造はシンプルで、A is B.(AはBである)です。
The main problemはAに相当し、「主たる問題」。
, says IFAD,はこの文全体の話者を示し、IFAD says "A is B."という構文に置き換えて理解しましょう。
ここでは、IFAD saysを倒置し、文の中に挿入。
意味は「国連国際農業開発基金(IFAD)によると」。
thatからcropsまでがBに相当し、「・・・であること」。
growers cannot cope with...は「栽培者が・・・に対処できない」。
farmersを繰り返し使っているので、growersとあえて別の表現を使っています。
the high risk of producing extra cropsは「作物増産の高いリスク」。
全体を意訳すると、次のようになります。
「国連国際農業開発基金(IFAD)は最大の問題をこう指摘している。貧困国の農家が作物を増産しようすれば、高価な肥料や種子を先に購入しなければならない。この初期投資のリスクが大き過ぎるため、いっこうに作物の収穫が増えないのだ」
汗水垂らして働いても、最後は「お天道様次第」。
それだけでも、農家は大きなリスクを取っているわけですから、さらにリスクを取りに行くためには、行政のサポートも重要です。
明日は各国政府がどんな取り組みをしているのか、見て行くことにします。
<続く>
引用元の記事は同誌のウェブサイトこのページで読むことができます。
定期購読者以外には公開期間が限定されているようなので、興味のある方は早めのアクセスをおすすめします。
The Economistはビジネスパーソンにとって情報の宝庫。
英語に少しでも自信がある人はぜひ定期購読をしてみてはいかがですか。
最後に「今日の英文」を、お気に入りの筆記具でノートや手帳に書き写しましょう。
The main problem, says IFAD, is
that growers cannot cope with
the high risk of producing extra crops.
よろしければ、書き写した記録としてペタやコメントをつけてくださると、とてもうれしいです。
それでは今日も1日、お元気で!