連載小説「ペンフレンド」 -33ページ目

連載小説「ペンフレンド」

男女2人の作家による1話掛け合い形式の連載ブログ小説です。東京に住む女性と神戸に住む男性がメールによるバーチャルな恋愛ストーリー。行きつく先は・・・。

ペン 目次



#1 【木綿子】

-優也さん -今日はいかがお過ごしですか? -東京は雨が降り出しました・・・


#2 【優也】

東側の窓から射し込む強い朝の陽ざしで目が覚めた・・・


#3 【木綿子】

待ち合わせの時間から十分が経過した。 金曜日の夕方。駒沢通りは少々渋滞していた・・・


#4 【優也】

「パパ!こっちこっち!」日曜の朝、娘の雪の大きな声が北野坂の路地に響きわたる。
ぼくと妻はそんな雪にせかされるように風情ただよう石畳の道を歩いていた・・・


#5 【木綿子】

― 優也さん ― 初っ端からへんなことを言ってしまうけれど、聞いてほしいの。私は、エンターキーを押して改行すると、キーボードの上の指を止めた・・・


#6 【優也】

ぼくがそのメールに気づいたのは、午後3時を少しまわった頃だった。今日は仕事の商談で大阪の阪急百貨店に来ている。打ち合せ時間より少し早めに着いたぼくは、近くのカフェに入った・・・


#7 【木綿子】

私は、白菜を切っていた。無心になって、キャベツの千切りのように、白菜の繊維を潰すように細長く・・・


#8 【優也】

ジリジリと照りつける日差し。暑さをしのぐように、薄いストライプ柄のネイビージャケットを右手の人差し指で右肩にかけるように持ち、神戸の街を元町から三ノ宮へと歩く・・・


#9 【木綿子】

「木綿子さん、これって食洗機はやばいですよね」キッチンシンクに積み重ねられた食器の中から、佳央里がガラスプレートの一枚を取って木綿子に示した・・・


#10 【優也】

太陽に照らされキラキラと輝く水面を眺めている。木曜の朝。ぼくは少し仕事をさぼって須磨の海に来た・・・

#11 【木綿子】

梅雨が明けたかと思えるくらいの快晴の清々しい朝。部屋で動いていると、前夜の雨の香りというか湿り気が、私の体温と共に肌に吸い込まれるようである・・・


#12 【優也】

北野坂にあるジャズバー「ブルーマンハッタン」。ジャズの街、神戸の歴史の中でも古い方にあげられる老舗のジャズバーで、ぼくのお気に入りのお店だ・・・

#13 【木綿子】

―優也さん 引っ越しの荷物がだいぶ片付きました。今年の東京はかなり暑いので、引っ越しと片付けのおかげで、冬についた脂肪があっというまに落ちてしまったわ・・・


#14 【優也】

- 木綿子さん おはよう。まだ4時だけど、あたたかくて過ごしやすい朝です・・・


#15 【木綿子】

―優也さん ―私の苦しみの核心に触れないでくれたこと、とてもうれしく思います。―あんな風に書いたら、矢継ぎ早にあれこれ聞いてきそうなものなのに・・・


#16 【優也】

- 木綿子さんへ - じゃ、続きを楽しみに待ってるよ! なんて言っておきながら・・・- 書いてます(笑)- 別に何ってないんだけどね・・・


#17 【木綿子】

今夜は熱帯夜になるでしょう。そう予報された金曜日の夕方、佳央理が冷えたシャンパーニュを持って我が家にやって来た。 佳央理は家に入るなり、向日葵のような笑顔を私に見せた・・・

#18 【優也】
ぼくはその夜ジャズバー「ブルーマンハッタン」にいた。 「もう夏ですねぇ。6時半だっていうのにまだ明るい。こんな明るい中、バーのカウンターを開けるのも結構勇気いるもんですよ。」・・・


#19 【木綿子】

「うわ、何だよ、これ」シャワーを浴びていたはずの学の声がベランダに届いた。 洗濯物を取り込んでいた私はその声に驚いて、手に洗濯物を持ったまま慌ててキッチンに戻った・・・


#20 【優也】

- 木綿子さんへ - おはよう。- 何か今日は朝から働く意欲がなくてね・・・- 会社から歩いてすぐのスタバでメールうってます・・・


#21 【木綿子】

やさしい歌声が頭の中で響いている。(誰の歌だったかしら・・・)心地よいリズムを感じつつ不思議な空間を彷徨っていたところ、いきなりシーンがかわって現実に引き戻された・・・


#22 【優也】

「わぁ、久しぶりぃ~」小さなカフェの店内にウェイトレスの愛ちゃんの甲高い声がこだまする。ぼくは久々に恭介のカフェを訪れた。仕事で起こりそうな変化を恭介にジャッジしてもらおうと思って来たのだが、さすがに恭介にかかればぼくの事なんてお見通しのようだ・・・


#23 【木綿子】

風の通る洗濯物干し場から夏の空を見ていた。ここは本当に日当たりがいい。じりじりと照りつける夏の日差しが私の肌に突き刺さるようだ。「木綿子ちゃん・・・」母の優しい呼び声に驚いて私は振り向いた・・・


#24 【優也】

「カランカラン・・・」タリスカーが注がれたロックグラスをしきりに傾けながら、そのウイスキーのラベルを見つめていた。何かに悩んだ時、何かに行き詰った時、タリスカーはいつもぼくを救ってくれる・・・



#25 【木綿子】

「あら、木綿子ちゃん」商店街を越えたところの信号で信号待ちをしていたら声をかけられた。日傘をさしたまま横に振り向くと、色黒で背の低い中年の女性が眼鏡の奥の目尻にしわをよせてにこにこ微笑んでいる・・・