【2nd stage 第10節】vs.モンテディオ山形―危言危行 | みつぼしをこえてーglory for the fourth star

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サンフレッチェのことをうだうだと。広島のグアルディオラ(確信)森保一と紫の戦士たちの歩みとともに。





「子、邦に道有あらば言を危(はげ)しくし行いを危しくす。邦に道無ければ行いを危しくして言は孫(した)う」

(先生が言われた、国に正しい道が行われていれば、言語を厳しくし行いも厳しくし、国に正しい道が行われていなければ、行いは厳しくしても言葉は害に遭わないように穏やかにするのが良い―『論語』憲問第十四の4)


※原文は、「権謀術数の渦巻く政治の世界では、正直な物言いは時として生命の危機に晒されることになるので、方便も用いるべきである」という処世訓的な言葉だそうです 「論語学朋塾・みちしるべの会」論語の思想・道徳を解説します。










魔の八月を五分の成績で抜けて九月でございます。もうリーグも終盤ですね。あっという間だ


中断明けの相手は山形。5点大敗のリベンジを期して、ホームでは堂々とかなり広島の痛いとこをついてくるサッカーを披露しました。これだから嫌なんだ二巡目は…w


しかしそれでも、良くなっているのは相手だけじゃないですぞ、というところを見せてくれました。プレーオフへのハードルはひとまず越えられるチームになれそう。チームが正しい方に団結できてるからでしょうね。亦嬉しからずや。

























◆山形の改善について



山形は前回対戦でミラーマッチを選択しましたが、タイマン勝負、を意識しすぎて柴崎のフリーランから青山のスーパーパスを許してしまい先制を許すと、あれよあれよと遅攻から速攻からと寿人にハットトリックを許してしまったという苦い経験があります。


今回の対戦では、中盤に一人増やした3-1-4-1-1として、中央での数的優位を活かして大きなサイドチェンジを防ぎつつ、各駅停車でサイドに出させればそこにインサイドハーフが食らいつくことで縦の突破を許さない、という形をとってきて、広島としてはいきなり攻撃の精度というハードルが試される感じ。


なにより山形が脅威であったのが、攻撃時もアルセウがDFラインに下がって4人対3人、中盤はインサイドとトップ下の3人対こちらのボランチ2人、ディエゴと千葉ちゃんのデートにロメロが絡んで2対1というふうに中央に常に数的優位ができていて、安全にボールを進めることで、サイドからカバーに入らねばならないので、サイドが空きやすくなって、主に右サイドではストッパーの石川、左サイドではウイングの宇佐美がフリーでアタッキングサードに侵入できるという状況を継続的に作られていたところ。


8月は、「動けてないから当然やられる」という守備でしたが、今節は、「ちゃんと動くので、ここが空くよね、というのが山形の狙い通りになってしまっている」、いわゆる「崩されている」状態になっていました。遅攻でも速攻でも、広島はここを守るためにここを空けまっせというのが綺麗に狙われていて、なかなか素晴らしい準備がなされたのだと思われます。奪われた後のカウンターが最警戒だぞ、としっかり受け手を捕らえてスピードを上げさせない動きが見事で、広島にとっては非常に辛かったけど敵ながらあっぱれ。







◆広島の改善と根競べ敗戦



広島もまた、そのような状況にあっても後ろから外していこうという狙いは特に右サイドから作れていて、試合は我慢比べの様相になっていました。宮阪の開始早々の大チャンス?はて、なんのことかな…(震え

「プレーオフのハードルかな」と浮かんでいたのが、①シャドウのポジショニング②ストッパーのパスの選択肢③カウンター息切れ防止 というところでしたが、塩谷とミキッチの駆け引きからチャンスをうかがっていました。「切り込み隊長」塩谷様の腕の見せ所であり、完全復活が印象的。


インサイドハーフを呼び込んで、その裏でシャドウまたは青ちゃんが受けて、勝負、という攻撃が一番可能性ありそうで、実際ドグのフリックからミカ様がビッグチャンスを迎えたりとうまくいっていたのですが、特に塩谷様の警戒度が上がってくると、ドミノのスタートになるインサイドハーフを引き付ける工程が山形の対応よりも遅くなってしまい、うまくいかず。


塩谷様警戒ゆえに左サイド、となるのですが、水本がボールを受ける際がうまくいっていなくて、GOOL君もインサイドの裏を自分で消して苦しくしてるんだけど、水本さんがそれ以上によろしくなかった。あとからケガを抱えてたらしいということを知ったのですが、やはり無理がたたっているのですね…ポジションを守るというのはシビアなことです。


フリーな状態で、よっしゃとトランスフォームしてみんな上がっていく中での3度目のタッチミスと、取り返そうとムキになってしまい、山形のカウンターのスピードを上げてしまっての先制点献上。我慢比べを落としてしまったということで非常に重かったですし、言葉が見当たらないというシーンでした。まあ、ロメロとディエゴの千葉ちゃんはずしが見事すぎたのですが。







◆持つべきものは神助っ人哉


それでもなぜかアウェイ限定でw反発力を見せるサンフレッチェ。やり方は変わっていませんが、ミカ様勝負からの2015モデルのインスイングクロスがニアの寿人とそれに中止するDF陣をあざ笑うかのようにきれいな放物線を描いてゴールイン。すぐさま追いつきます。


って冷静に書いてますけど、実際見てるときはこんなんでした。そりゃあ。ミカ様が決めるとかなんでワシ山形におらんの…




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先制点はドグちゃんがゴールシーンの前の攻撃で一度落とすと見せかけて前を向いてスローインをゲットしたところがミソで、「前もあるぞ」と思わせることでその次にドグちゃんが触ったときにDFラインが気持ち下がり、ミカ様ダッシュスペースが空いていたのだと思います。持つべきものは神助っ人哉。



後半、前半の停滞はいかんでしょということでカズ様筆頭に動き始めます。山形もまた勝ち点3をもちろん狙うよという入りで、カウンターの打ち合いという様相を呈してきました。ゆえに輝くカズ様。なお、攻撃の精度では山形に分があり(上述の方法にて宇佐美ドフリー案件が続出しました…w)、どうする広島、といった状況に。



これは時は来た、と復活の柴崎晃誠先生イン。数分の試運転(ピンチ)から周りのポジション取りもより大胆になってきて、左サイドのパス交換からのサイドチェンジにミカ様単騎と見せかけての折り返しにスーパードヤグラス様降臨。一度ブロックされてカウンターコースかと思ったら気づいたら入ってた。嗚呼持つべきものは神助っ人哉







◆ハードルを越えて



柴崎晃誠先生の復帰が目に見える転換点となったことは確かですが、それまで全員が「取り返す」と仕掛けようとしている中での、いわば、エネルギー自体は迸っているものの適切な流れとなる行き場がなかったという状態。いわゆる「パスワークのケチャップ」の蓋がパンパンであったところの最後のピースという感じだったのだと思います。

2点目を奪ったシーンとその後の万能感すら漂う攻撃の美しさとチャンスの多さは、久々に「広島だなあ」とうっとりするものでした。またひとつ、ハードルを越えたのではないでしょうか。


新潟戦が「這いあがる」転機であったとすれば、この山形戦は「勝ち抜ける」転機であった…


…と、ここで3点目が入ってたら一点の曇りもなく言えたのだろうな…w サッカーは、そこまで甘くないというかなんというか。








◆カウンタージャンクポット⇔PKバーゲンセール




現実は決めきれない間に山形がパワープレイ体制を調えて、この試合何度も襲っていたウイングのマークのスライドからズレちゃうよ、というところに飛び込む攻撃から。ミカ様マーク自体にはきづいたものの一瞬遅れてしまい、これがファウルの判定に。


普通はノーファウルのタイミングだったと思うんですが、もう一瞬マークが早ければ、ファウルを取られないタイミング(ボールに対して)競っていたと思うので、そこは気づきにしておくべきでしょうか。



このシーンが勝敗の分かれ目となりましたが、今季の「らしさ」を象徴したような、そういう展開になりました。ペースをコントロールしきれないところでのタクト大明神からのアッサーノカウンター大炸裂。ここまでシームレスなのは初めてですがw 今季この形で勝ち点どれだけ稼いだか…20はいってるかもしれない…



とはいっても、前から奪う、ということ自体は2012年からやっていましたし、球際の硬さと対応の柔軟さも2012年が一番美しかったと思います。まあ、思い出補正がかかっていると思いますが…w


問題は、奪った後。どうやってゴールまで運ぶのか?ここが大きく変わったところが今年のサッカーの最も特徴的な部分だと思います。


普通は(普通のチームからしたら普通じゃないんですが)、まずはボールキープ、バックパスで試合のテンポを仕切りなおすというところに重心がかかっていました。そのために後ろに五人もいて、あとからサイドに広げていく陣形を取っているので当たり前の動きです。
たまに人数揃っていればそのまま攻めていましたが、フリーランニングの量(人数とスピード)も質(向き)も足りずということが多くて、うまくいってないイメージのほうが大きかった。


今年はこの奪った後のランが非常に速いし、人数も多い。
そこに最も貢献しているのがドウグラスで、スピードに乗った状態でのラストパスやシュートの精度が非常に高い。手元の集計で恐縮なんですが、15ゴール5アシストのうち、5ゴール3アシストがカウンターからになっています。
もう一人欠かせないのがカシッチさん。カウンター時に真っ先に飛び出し、ボールを持った状態ではドリブルで、そうでないときはDFを引き付けるスプリントを、ゴールに向かって必ずしている。この動きが彼の実際のゴールアシスト数以上に広島の得点力を支えています。(その代わりに左サイドが超博打的なことになっているやもしれませんが…w)
もちろん、この展開が代名詞になっている浅野拓磨も大きな武器になっていますし、野津田岳人もこの部分で自分の良さが出しやすいようです。



直線的なゴールエイムとワイドなゲームメイクと、あちらがたてばこちらが立たない状態になっているのが今季の悩ましいところですが、こちらしか立てようがないので無理やりでも立てましょうと苦心していた去年一昨年よりも、選手自身にも、監督にも、選択肢が増えていて、「生産的な」、先行きの明るい苦しみに感じられます。それが勝ち点の安定にもつながっているのでしょうか。





残り試合数も数えられるほどになってきましたが、天皇杯とリーグ次第では倍増もあります。今年のサッカーがどこまで行くのか。なるべく遠くまで行きたいところです。




では。