こんな話を聞いたことがあるだろうか?

「卓球のインパクトは1/1000秒である。」
さらにこう続く。
「こんなに短い時間は人には認識できない。
よって、球持ちは音や震動からくる錯覚である。」

私は5年程前にこの説を目にしたが、
え~、そうかなあ?
と、スルーしていた。
自分の感覚と合わないからね。

先月、とあるカットマンのブログで久しぶりに見た。
彼はこの説を信じてしまったようだ。
自分の感覚より屁理屈を信じてしまうとは残念だ。
もっとも、卓球の現象を科学的に理解したいと思う人は数字での説得に弱いものだ。
私も科学的に理解したい者のはしくれとして、今回はスルーしないで真正面から反論してみたいと思う。

例えば、硬くて弾むラケットに粒高OXを貼っても、勝手に弾んでコントロールできない。
でも、薄いスポンジが入ればなんとか使える。

厚めの変化表を使っている人が、もっと変化を!と思って最も薄いスポンジにしたら、全然コントロールできない。
もうちょっと厚くしたら使えた。

裏ソフトの例もあげておこう。
タキネスC極薄でドライブを打とうとしたことがあるだろうか?
難しいよ。
引っ掛かりのいいラバーなのに、厚く当てると回転掛からず飛んでいくし、薄く当てると落ちる。
これをスポンジ厚に変えると、威力はともかくドライブは簡単に打てる。

これら3つの例はシートとブレードは同じで、スポンジ厚だけが違う。
スポンジの厚さが変われば何が変わるかと言えばやっぱ「球持ち」でしょう。
できる、できないの話なので断じて気のせい等ではない。

では1/1000秒の世界に挑戦してみよう。
彼等が1/1000秒は人には認識不能と思うのも無理はない。
私でも時間として認識できるのはせいぜい0.05秒までかな。
1/100秒が分からないのに何で1/1000秒が分かるんだ?
疑問の声が聞こえてきそうだ。
実は短い時間を認識するための特別な方法があるのだ。
それは、動きを持たせて時間を移動距離に変換するのだ。

卓球のフルスイングはどのくらいの速さだろうか?
野球のピッチャーは140kmくらい投げるが、一般人は100km出れば上出来。
と聞いたことがある。
卓球のフルスイングもそのくらいだろう。
いやフルスイングのデータが欲しいのではない。
実現可能な数字を知りたかっただけ。

では計算しやすい時速36kmでラケットを振ってみよう。
時速36kmは秒速10m。
1/1000秒では1cm。
すなわち、インパクトの瞬間ラケットは1cm動く。
言い換えればラケットが1cm動くあいだ球はラバーにくっついているのだ。

皆さんはこの数字をどう感じるだろうか?
私にはとてもしっくりくる。
確かにそんな感じだ。
1cmあれば回転も掛けられるし、コントロールもできそうだ。
そして、これは普通の攻撃用ラバーだね。
私が例であげた球持ちの悪いラバーは1/1000秒よりさらに短そうだ。

どうだろう?
これでも1/1000秒は人には認識できないと言い張るか?
卓球人はみんな球持ちの感覚を持っているのだ。

という訳で、私はこれからも球持ちや球離れといった表現を堂々と使い続ける。