<私が子供のころのおやつの話ー後編>
●昭和の まったり、もぐもぐタイム
前回は南部せんべいについて描きましたが、今回は昔よく食べていた、かなりローカル色の強いおやつを紹介したいと思います。
< がんづき>
小麦粉の生地を蒸しあげて、黒砂糖で味付けして、ゴマをまぶしたお菓子です。
出来上がりは黒砂糖のおかげで、絵のように茶色くなります。
いわば蒸しパンのようなものですが、素朴な味わいです。
ものによっては、クルミをトッピングしたものもあります。
白砂糖で味を付けたがんつきもあり、出来上がりは白色です。
結構食べ応えがありましたね。
がんづきの名の由来は、鳥の雁の肉に似た味だとか、丸く作られたがんづきにゴマをまぶしたその様子が、月に飛ぶ雁に見えるからだとか、諸説あります。
私たちは「がんずぎ」と訛って呼んでました。
< 豆しとぎ >
茹でた青豆を粗目にすりつぶし、米粉と砂糖とねりあわせたものです。
青豆の風味と控えめな甘さがおいしくて、私が一番好きだったお菓子です。
ただ火を通していないので、冷蔵庫で保存しても二、三日ぐらいしかもたなかったと思います。
この豆しとぎは岩手県北と、青森の東南部の旧南部藩領で食べられていたものです。
残念ながらスーパーやコンビニでは売られていないので、県北の道の駅や産直センターなどに出かけて、買って来なければならな
いのです。
しとぎとは、米粉を水で練って丸い形に作ったもの、という事を表す言葉だそうです。
< 小豆ばっとう >
ばっとうとは、こちらの方言で、そばや小麦で作られた麺のことを言います。
要するに餅や団子の代わりに、うどんを使った小豆スイーツです。初めての人は「えっ!うどんと小豆!?」と思うかもしれませんが、これが案外合うんですよ。
かなり甘めですが、ばっとうのつるんとしたのど越しでどんどん食べられます。
ときどき母が作ってくれましたが、その時は嬉しかったですね。 この小豆ばっとうも、岩手県北から青森県の東南部で食べられていたものです。
これらのお菓子は、昔はおやつというより米が食べられなかったときに、主食の代わりとして食べられていたんじゃないでしょうか。
米作りにはあまり適さない県北地方で食べられていたという事からも、そんなことを考えてしまいます。
素朴ですが味わい深い、忘れられないおやつたちです。