あれは飼い猫の幼い頃
外に興味のある遊び盛りの日々の事
飼い猫はよく脱走した
それは新聞を取りに行く時だったり
掃除をしようと換気の為窓を開けた時
CDコンポの裏の出窓からこっそり
等、住人たちの隙をついた行動だった
それでも猫は暗くなると帰ってきた
猫の脱走の回数は増え、皆諦めかけていた時の出来事
暗くなっても帰ってこない猫
餌の時間を過ぎても戻らない
深夜に差し掛かった時、私宅にいた住人たちは立ち上がった
皆、脳裏にうさぎの時の事が蘇った事だろう
ジットリ湿る空気の中大きな声で猫の名を呼び、片手に好物の海苔を携えて近所を走り回った
Cや私なんぞは寝間着のまま探し回った
捜索の甲斐あり、飼い猫の声を拾った同居人が居場所を見つけることができた
しかしそう簡単に猫は帰らない、いや、帰れない
他人のお宅の屋根に登った愚かな猫はまだ子猫で、自力で降りる勇気が無かったのだ
皆困ったあげく、猫の登ったお宅に隣接してるガスボンベ保管倉庫を足場に救出しようと決めた
問題は誰が猫を迎えに行くか
H氏は未だ帰らず
私は脆い造りの倉庫に登れず
Mは小心な為、猫と同じ道を辿るだろう
結局一番年少で身軽で物怖じしないCが行くことになった
倉庫に登り、震えていた猫に声をかけて海苔を差し出すC
そのCの努力あって猫は無事帰宅の途についた
(それから三回同じパターンを経験した)(何でいつも同じお宅の屋根なんだろう?)
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