小説とは関係のない分野の知人と、急きょ会うことになりました。
彼は、金融業界の営業マンです。
ラノベ業界とは、なんのつながりもありません。
そんな彼に、最近つらいことがありました。
ボクにも、似たような経験があります。
ペットとの別れ。
経験の有無によって、言葉の重さがかなり変わってくるはずです。
「ペットくらいで……」
「○○のこと思い出して……」
前者と後者の違いは、とんでもなく大きいと思います。
もちろん、経験はなくとも想像力でカバーできる方も多いでしょう。それでも、『リアルな記憶』は、なかなかぬぐえません。
「思い出を文章として残したい」
という彼の相談をうけ、1時間ほどお茶をしました。
彼が書いてきた「出会いから別れまでの流れ」をザッと読ませていただきました。
思ったのは、「みんな、なにかを表現したいという欲求をもっているんだな」ということです。
「みんな、なにかを伝えたいという欲求をもっている」
そう言い換えてもいいでしょう。
ボクは、こんな体験をしたんだよ。
ボクは、こんなことを考えたんだよ。
ボクは、こんなことを想像したんだよ。
表現したい。
伝えたい。
その裏には、もちろん、
共感してもらいたい。
同感してもらいたい。
褒めてもらいたい。
慰めてもらいたい。
承認してもらいたい。
覚えていてもらいたい。
様々な欲求が隠れているはずです。
欲求があるからこそ、人はそれを満たそうと動きます。
営業マンの彼は、文章で伝えたい(残しておきたい)ことができたからこそ、ボクに電話をかけたのでしょう。
本当に、ただ残しておきたかっただけなら、ボクは必要ありませんから。
彼は、つらい体験を経て、そこから得たなにかを文章として残そうと考え、ボクに相談してくれました。
生の声を、気持ちを、思いを聞けたことは、正直ありがたいと思っています。
小説関係ではない方と、文章や構成について語り合うのは、貴重な体験でした。
8年前、18歳で逝った愛犬のことを思い出しつつ。
また違った文章の捉え方を、ちょっぴり学べたような気がします。