羞恥心物語☆your mind5☆ | 鶴の神Blog

羞恥心物語☆your mind5☆

っしゃぁ!!(・∀・)←


8月もそろそろ終わり。


この夏も私の身に


ピンクい台風は上陸せず


過ぎ去って行きました(笑)♪


いいよ、冬に期待するから!!え。



今回は「莢乃」さん目線♪







物語☆your mind5☆



鶴の神Blog-15826093.gif




その人は、私の前に突然現れた。





夏の風がわっと吹いたかと思うと

蜃気楼のようにぼやけた景色の中に



1人の男性が立っていた。





私が目指す両親のお墓の前で


その人はこちらを向いたまま




立ち尽くしている。
















両親に会いに来る人は


私の知らない人ばかり。




海辺の家で鳥かごの小鳥のように


育てられてきた私は

あることがきっかけで


いつの日かそうなってしまった。







だから、私は外の世界を


何一つ知らない。









今日も両親を知る誰かが


訪ねてきてくれたのかな、と




そう思って声を掛けた。















ここに来た人は大抵




「あなたの両親は立派でね…」


「面倒見のいい素敵な方で…」




そんな話を聞かせてくれる。



世界を飛び回っていた2人の姿を


私は正直思い出せない。







私のことなんて見向きもせずに


笑いかけてくるすべての笑顔は




天国にいる両親のためで






手向けられる花束はいかにも


どれだけ自分が尊敬の意を抱いていたか



花の価値や大きさで競って


いるようにしか見えなかった。











そんな中で…






私に心地よい新鮮な風が


その人に出会って吹きぬけていった。

























「でさ、セミ好きのロッカーだか



本格的な歌手だかよく分かんない

オジ…お兄さんがいるんだけど。



この人に『あれ何ゼミ?』って1個


質問したら100個の答えが返ってくんの!!」







「せみ…ですか?」



「え、セミ知らないの!?…じゃあ、


今度そのセミ博士に会わせてあげるから」










目が覚めたその人に再度


呼びとめられた私は



楽しそうに話してくれる話の内容を


なんとかついていけるように

うんうん、頷いていた。









「あと、俺の年下なんだけど


中々日焼けしない白マッチョがいてさ。



なんか悔しいから

今度、あの真っ青な海と砂浜にでも



連れてってあげよっかなって考え中」







「あ…なら、自由に使って下さい。


あの辺りは全てプライベートビーチなので」







「ぷ…ぷらいべーと…!?」




















時間を忘れるほどに話したのは


本当に久しぶりだった。



夕日が沈みかけて


見える海一帯がオレンジ色に染まる頃




その人はベッドから出て


棚に置いておいた向日葵の花束を手に取った。










「帰りますか…?ではお送りしま…」



「ううん、大丈夫。



電車で帰れるし

この人にも挨拶してないから」







花束を傾けて少し微笑む。


向日葵がカサカサッと揺れて

ドアに手が触れると










振り返って私を見た。

















「俺、上地雄輔。








今日は助けてくれて

本当にありがとうございました。



このお礼はちゃんとします。」





















笑顔で出て行ったその人に


温かな気持ちが溢れる。




























「上地……雄輔…」


































この出会いが


私と雄輔さんとその周りの歯車を



次第に狂わせていく。





もうリセットは出来ない。







偶然から生まれた


何気ない日常に私たちは振り回される。













ひと夏のそれぞれの想いが





生み出すのは…一体?