気まぐれ気のまま映画日記

気まぐれ気のまま映画日記

暇さえあれば映画!
ジャンル問わず何でも観ます

製作年:2025年
製作国:日本
日本公開:2025年1月17日

監督:安達もじり

出演:富田望生、伊藤万理華、青木柚、山之内すず、山中崇、麻生祐未、甲本雅裕

在日コリアンの家庭に生まれ、かつて神戸市長田区に暮らしていた灯(富田望生)。灯は自分の出生に関する自覚は薄く、阪神・淡路大震災の翌月に生まれたこともあって、父(甲本雅裕)や母(麻生祐未)から家族の歴史や震災当時の話を聞かされても、どこか遠いものに感じていた。そんな中、姉・美悠(伊藤万理華)の日本への帰化をめぐって家族の仲が揺らいだことをきっかけに、灯はずっと抱えていた孤独と苛立ちを募らせ、精神的に病んでしまう。

阪神・淡路大震災の翌月に神戸市長田区で生まれた在日コリアンの女性を描いたドラマ。言いようのない孤独を抱える女性が、自身の出自や親から聞かされる震災の記憶によって精神的に追い詰められていく。監督はドラマ「カムカムエヴリバディ」などの安達もじり。『日日芸術』などの富田望生、安達が制作統括を担当したドラマ「パーセント」などの伊藤万理華、『まなみ100%』などの青木柚のほか、山之内すず、麻生祐未、甲本雅裕らが出演する。

阪神・淡路大震災の翌月に神戸市長田区で生まれた在日コリアンの女性を描いたドラマ。言いようのない孤独を抱える女性が、自身の出自や親から聞かされる震災の記憶によって精神的に追い詰められていくストーリー。

出自や震災の記憶、家族との距離、コロナ禍、依存症、うつ、世界で続く戦争。どれも個別に向き合うだけでも苦しいテーマなのに、それらが一人の人生の中で折り重なることで、逃げ場のない孤独へと変わっていく展開が観ていて苦しかったです。日常の中の小さな痛みとして丁寧に積み重ねられている点が印象的でした。

 

自分でも気づかないうちに心の奥に溜まっていき、誰にも言えないまま抱え込んでしまう主人公の灯の生きづらさがリアルに感じられる物語。

それでも絶望だけを描いているわけでなく周りには確かに“灯”をともしてくれる人がいる希望もきちんと描いている。 青山さんの 「まぁ生きとったら色々あるわな」 という一言が素敵。 慰めようと力むわけでもなく、状況を軽く扱うわけでもない。ただ、その人の存在を丸ごと受け止めるような柔らかさがあって、こういう言葉を自然に言える人は本当に優しい人だなと思いました。

 

在日コリアンとしての視点や、震災の記憶が“語り継がれる痛み”として描かれている点も心に残りました。社会的なテーマを扱いながらも、説明的にならず、ひとりの女性の人生として静かに流れていく。そのバランスがとても良かった。

生きることの重さを真正面から描きながら、人はひとりではないという小さな希望も感じられる。 どんな時でも灯をともしてくれる人は必ずどこかにいる。そっと背中を押してくれるような映画でした。

 

富田望生ちゃん演技上手すぎる!

 

この作品の評価……★★★★☆(満点は★5)

製作年:2023年
製作国:日本
日本公開:2023年7月7日

監督:竹村謙太郎

出演:高橋文哉桜田ひより茅島みずき曽田陵介齊藤なぎさ、板垣瑞生

高校2年生の黒田希美(桜田ひより)は、移動教室の机の中に「好きだ。」とだけ書かれた、学校で一番人気がある男子・瀬戸山潤(高橋文哉)からの手紙を見つける。希美が返信を潤の靴箱に入れたことから交換日記が始まるが、彼からの手紙は希美の親友に宛てたもので、潤は交換日記の相手が希美だとは気づかずにやりとりを続けていた。本当のことを言い出せない希美だったが、空気を読みすぎて話下手な自分とは正反対で、思ったことをはっきりと口にする潤に惹かれていく。

櫻いいよの小説を実写化した青春ラブストーリー。校内で人気の男子から親友に宛てられた手紙を自分宛てと勘違いした女子高生が、親友を装って彼と交換日記を始める。メガホンを取るのはドラマ「わたし、定時で帰ります。」などの竹村謙太郎。脚本は『ハニーレモンソーダ』などの吉川菜美。『仮面ライダーゼロワン』シリーズなどの高橋文哉、ドラマ「沼る。港区女子高生」などの桜田ひよりらが出演する。

櫻いいよの小説を実写化した青春ラブストーリー。校内で人気の男子から親友に宛てられた手紙を自分宛てと勘違いした女子高生が、親友を装って彼と交換日記を始める物語。高橋文哉が超絶カッコいい。桜田ひよりが超絶かわいい。ってだけの映画かと思いましたが、確かによくある高校生ラブコメ映画ではあるけれど、嘘をついた罪悪感と、好きな気持ちを止められない葛藤。素直になれない気持ちにイライラしたりドキドキしたり、久しぶりにこういうストーリーを観るのも良いもんだなと思いました。交換日記を使った古めかしい設定が逆に新鮮。スマホで一瞬で連絡が取れる時代だからこそ、手書きの文字の重みや、返事を待つ時間の長さが、希美や瀬戸山の心の揺れをより際立たせていました。

希美の嘘が周囲の人間関係にどう影響していくのか。友情や希美の成長面など、恋愛だけではない青春の部分も描かれていて、作品全体が爽やかな雰囲気でした。

 

大切なのは自分の気持ちに嘘をつかないこと

 

嘘をつくことで守れるものもあるけれど、同時に失うものもある。遠回りしても、傷ついても、最後に自分の気持ちと向き合うことが大切だというメッセージが、爽やかに伝わってきました。ベタな展開が多めでありながらも、観終わったあとに優しい気持ちになれる青春映画でした。

 

なかやまきんにくんは面白いんだぞ!

 

この作品の評価……★★★★☆(満点は★5)

製作年:1993年
製作国:日本
日本公開:1993年5月5日

監督:望月智充

声の出演:飛田展男、坂本洋子、関俊彦

 
高知県に暮らす高校生の杜崎拓。2年生のある時、東京から武藤里伽子という転校生がやってくる。勉強もスポーツも万能で美人の彼女は、瞬く間に学校中で知られた存在となるが、里伽子自身は周囲になじもうとしなかった。拓の中学以来の親友である松野は里伽子にひかれていたが、拓にとっての里伽子は、松野の片思い相手という、それだけの存在だった。しかし、高校3年のハワイの修学旅行で起こったあることをきっかけに、拓は里伽子が抱えている家庭の問題を知り、それによって2人の距離は縮まっていくようにみえたが……。
「月刊アニメージュ」に連載された氷室冴子の小説を、「魔女の宅急便」「おもひでぽろぽろ」のスタジオジブリがアニメ化した青春ストーリー。「ここはグリーン・ウッド」などの青春劇を手がけてきた望月智充を監督に迎え、スタジオジブリの若手スタッフが中心となって手がけた。1993年5月5日にテレビ初放送。同年内にいくつかの劇場で公開もされた。

「月刊アニメージュ」に連載された氷室冴子の小説を、「魔女の宅急便」「おもひでぽろぽろ」のスタジオジブリがアニメ化した青春ストーリー。作品自体は知っていましたが初鑑賞。高校生が飲酒するシーンがあるせいで、金曜ロードショーでは流せない本作。高校生の杜崎拓。2年生のある時、東京から武藤里伽子という転校生がやってくる。勉強もスポーツも万能で美人の彼女は、瞬く間に学校中で知られた存在となるが、里伽子自身は周囲になじもうとしなかった。高校3年のハワイの修学旅行で起こったあることをきっかけに、拓は里伽子が抱えている家庭の問題を知り、それによって2人の距離は縮まっていくようにみえたが……。

高校生ならではの素直になれない感情。言いたくても言えない。大人が観るとこれがエモいってやつか。

ただし、武藤の気持ちが全く共感できずただのワガママ女にしか見えなかった。でもこういうワガママ女に惹かれる男性もいるのか…。家庭環境の不安定さから強がることでしか自分を守れず、助けを求める方法を知らない子だったと考えれば武藤の不器用さが少しだけ理解できる気もする。

杜崎もなんだかハッキリしなくてモヤモヤ。武藤に殴られ、親友の松野にも殴られ、杜崎が可哀想でしかなかった。

ストーリーは最後まで淡々としていて特に何かがあるわけでもない。観終わったあとで特に印象には残らないジブリ映画でした。

 

高校の修学旅行でハワイかぁ。バブリぃ!

 

この作品の評価……★★★☆☆(満点は★5)

製作年:2025年
製作国:アメリカ、イギリス
日本公開:2026年1月30日

監督:エドガー・ライト

出演:グレン・パウエルウィリアム・H・メイシーリー・ペイスマイケル・セラ

 

 

 
ベン・リチャーズ(グレン・パウエル)は、重病を患う娘の医療費のためにリアリティショー「ランニング・マン」に参加する。その内容は、懸賞金狙いの視聴者が注視する中でハンターの追跡から30日間逃げ切ることができたら賞金、捕まったらテレビカメラの前で直ちに殺されるという究極のデスゲームだった。
スティーヴン・キングがリチャード・バックマン名義で発表した小説を、『ベイビー・ドライバー』などのエドガー・ライト監督が映画化。逃げ切れば多額の賞金、捕まれば即死亡という過激なデスゲームに、一獲千金を狙う無職の男が挑む。主人公を『ヒットマン』などのグレン・パウエルが演じ、『ボーダーライン』シリーズなどのジョシュ・ブローリン、『シンシン/SING SING』などのコールマン・ドミンゴらが出演する。

スティーヴン・キングがリチャード・バックマン名義で書いた小説を映画化した作品。シュワちゃん主演の「バトルランナー」のリメイク作品。逃げ切れば大金、捕まればその場で終わりという、かなり極端なデスゲームに無職の男が挑む物語。命がけの鬼ごっこではあるけれど、ただのアクションではなく、情報がねじ曲げられる社会や、SNSのように人々が勝手に盛り上がる世界への皮肉がしっかり入っていて、メッセージ性がありました。 真実はすぐに消され、都合のいい話だけが広がっていく。どんな情報でも、信じるかどうかは自分で決めるしかない。そんな感覚が残る映画。

前半は勢いがあり、主人公リチャーズが走り続ける姿に自然と引き込まれました。追われる緊張感も強く、ゲームの仕組みもわかりやすくて、見ていてワクワクする場面が多かった印象。スピード感や主人公の必死さ、物語が前へ前へと進んでいく感じはとても良かったです。

ただ、中盤からは少しスピードが落ち気味。追ってくる側のキャラに迫力がなく、手加減しているように感じるくらい。命を狙われているはずなのに怖さがあまり伝わってこない。追跡の仕掛けも単調になり、前半にあった緊張感が弱まってしまった印象でした。走って逃げるというより、隠れ続けている時間が長くなってしまい、ラストに向かうにつれて展開が駆け足気味。

さらに気になったのは、世界の仕組みやゲームのルールが深く掘り下げられないまま進んでいくところ。設定自体はとても面白いのに、どういう社会で、なぜこのゲームが成り立っているのかがあまり描かれず、物語の背景が少し薄く感じられる場面がありました。 アクションの盛り上がり方も単調気味になってきて、後半にいくにつれてストーリーは普通になっていき、普通のアクション映画に収まってしまったのは残念でした。

 

それでも、情報が操作される世界の怖さや、群衆が勝手に盛り上がって誰かを追い詰めていく空気はしっかり描かれているので暇つぶし程度には丁度いい1作かもしれません。

 

この作品の評価・・・・★★★☆☆(満点は★5)

製作年:2025年
製作国:日本
日本公開:2025年11月21日

監督:山田洋次

出演:倍賞千恵子木村拓哉蒼井優迫田孝也優香中島瑠菜小林稔侍、笹野高史

 

 

タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、85歳の高野すみれ(倍賞千恵子)を乗せて、東京の柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設まで送ることになる。高野からいくつか寄ってほしい場所があると言われた宇佐美は、寄り道をするうちに彼女と心を通わせるようになる。やがて、彼女が自らの壮絶な過去を語り始めたことをきっかけに、それぞれの人生が大きく動き出す。

クリスチャン・カリオン監督作『パリタクシー』を原作にしたドラマ。東京の柴又から神奈川の葉山へ向かう85歳の女性と、彼女を乗せたタクシー運転手が心を通わせていく。監督を務めるのは『男はつらいよ』シリーズなどの山田洋次。山田監督作『小さいおうち』などの倍賞千恵子、山田監督作『武士の一分(いちぶん)』などの木村拓哉らが出演する。

クリスチャン・カリオン監督作『パリタクシー』を原作にしたドラマ。東京・柴又から神奈川・葉山までのタクシーの旅を通して、まったく違う人生を歩んできた2人が心を通わせていく物語。 タクシー運転手の宇佐美浩二と、85歳の高野すみれ。 年齢も価値観も生き方も違う2人が、たまたま同じ車に乗り合わせたことで、互いの人生を振り返る時間が生まれる。

すみれさんの人生は、静かに語られるだけなのに、とても濃くて波乱万丈。 若い頃の選択、家族との距離、胸の奥にしまってきた後悔や本音。 その一つひとつに重みがあって、聞いている宇佐美だけでなく、観ているこちらの心にもじんわり響いてきました。 年齢を重ねた人の言葉には、やっぱり説得力がる。 すみれさんの話を聞けば聞くほど、「自分も後悔しない人生を送りたい」と自然に思わされました。

宇佐美はタクシー運転手として日々を淡々と過ごしているように見えますが、実は心の奥にいろいろ抱えている人物。 最初は仕事として距離を置いていた彼が、すみれさんの言葉に耳を傾けるうちに、少しずつ表情が柔らかくなっていくのが印象的でした。 運転手と乗客という関係を超えて、いつの間にか人として向き合っている。 タクシーという閉ざされた空間だからこそ生まれる、特別な時間と雰囲気を感じました。最後にあんなプレゼントを頂けるなんて…羨ましい(笑)

 

そして、やっぱりキムタク。 こんなカッコいいタクシー運転手、現実にはなかなかいない。これまでの華やかな役とは違い、身近な職業を演じるキムタクを見るのは新鮮で、年齢を重ねたからこそ出せる落ち着きが役にぴったりでした。

 

物語が進むにつれて、2人の間に流れる空気が少しずつ柔らかくなり、最後には“出会えてよかった”と思える関係になっているのがとても心地よかったです。予想通りの結末でしたが 観終わったあと、ちょっと胸が温かくなるような作品でした。ただし、本家の「パリタクシー」のほうがオシャレです。

 

タクシーで東京観光してみたい

 

この作品の評価……★★★★☆(満点は★5)

製作年:2026年
製作国:アメリカ
日本公開:2026年5月8日

監督:オリヴィア・ニューマン

出演:サリー・フィールド、ルイス・プルマン、アルフレッド・モリナ

 

年老いた未亡人トーヴァは、彼女が働く水族館に暮らす気難しい巨大なミナミダコ、マーセラスと、思いがけない友情を育んでいく。しかしトーヴァの知らぬところで、マーセラスはある“使命”を胸に秘めていた。それは、彼女の心を癒やし、人生を大きく変える発見へと導く謎を解き明かすこと。

小さな町の水族館で働く孤独な女性が、そこで飼育されているミズダコ、人生に迷う青年と不思議な絆を育んでいく人間ドラマ。シェルビー・ヴァン・ペルトによるベストセラー小説を、『ザリガニの鳴くところ』などのオリヴィア・ニューマン監督が映画化。キャストにはオスカー俳優のサリー・フィールド、『アン・リー/はじまりの物語』などのルイス・プルマン、『フリーダ』などのアルフレッド・モリナのほか、コルム・ミーニイ、ジョアン・チェン、キャシー・ベイカーらが名を連ねる。

シェルビー・ヴァン・ペルトのベストセラー小説を映画化した本作。小さな町の水族館を舞台に、孤独を抱えた人たちが少しずつ心を取り戻していく物語。 年老いた未亡人トーヴァ、人生に迷う青年キャメロン、そして巨大なミナミダコのマーセラス。 年齢も立場も育ってきた環境もまったく違う3者が、思いがけない形でつながっていきます。

トーヴァは長年、夫を亡くした悲しみを胸にしまい込み、淡々と日々を過ごしてきた女性。 キャメロンは自分の人生に自信が持てず、どこにも居場所を見つけられない青年。 そんな2人が水族館という静かな場所で出会い、少しずつ心を開いていく姿は、とても丁寧で温かく描かれていました。

そして何より、タコのマーセラスの存在が本当に魅力的! 彼はただの賢いタコではなく、まるで人間のように周囲を観察し、感情を持ち、時にはユーモアも見せる。 彼の視点が入ることで、物語に柔らかさと深みが生まれ、観ている側も自然と彼に感情移入してしまいました。マーセラスが2人の人生に関わっていく展開は、予想以上に大きな意味を持っていて、静かに胸を打ちました。

物語の中心にあるのは、孤独、喪失、そして再生。 誰もが人生のどこかで抱える痛みを、そっと寄り添うように描いています。 悲しみは重いけれど、ふとしたきっかけで軽くなることがある。 人との出会いが、思いがけず心を救ってくれることがある。 その当たり前のようで忘れがちなことを、優しく思い出させてくれる映画でした。

 

また、トーヴァとキャメロンの関係が“家族でも友人でもない、でも確かに支え合っている関係”として描かれているのも印象的。 2人が互いの孤独を少しずつ理解し、寄り添っていく姿は、派手さはないけれど深い温かさがあります。

結末は思いがけない展開で驚きもありましたが、最後には2人の孤独が軽くなり、マーセラスがつないだ小さな奇跡が静かに心に残りました。 観終わったあと、優しい気持ちがふわっと広がるような作品です。

 

この作品の評価・・・・★★★★☆(満点は★5)

製作年:2024年
製作国:イギリス
日本公開:2024年8月16日

監督:クラウディオ・ファエ

出演:ソフィ・マッキントッシュウィル・アッテンボロージェレミアス・アムーア

メキシコのリゾート地サボへ向かっていた旅客機が海に墜落する。恋人や友人と卒業旅行に向かっていた州知事の娘エヴァと、陸軍出身の祖父母との休暇を過ごそうとしていた10歳のローザ、恋人との同性婚を夢見るキャビンアテンダントのダニーロら生き残った7人は、酸素のある場所に避難する。しかし、高い水圧や減少する酸素、機内に忍び込んだサメが彼らを絶望へと陥れる。
海に墜落した旅客機で、生存者たちが減り続ける酸素やサメの恐怖におびえながらサバイバルを繰り広げるスリラー。メキシコのリゾートへ向かう旅客機が海に墜落し、州知事の娘や少女、キャビンアテンダントなど生き残った7人が、恐怖の中で生き残ろうと奮闘する。出演はソフィ・マッキントッシュ、ウィル・アッテンボロー、ジェレミアス・アムーアなど。監督を『インビジブル2』などのクラウディオ・ファエが務める。

海に墜落した旅客機で、生存者たちが減り続ける酸素やサメの恐怖におびえながらサバイバルを繰り広げるスリラー。 メキシコのリゾートへ向かう旅客機が海に墜落し、州知事の娘や少女、キャビンアテンダントなど、さまざまな立場の7人が生き残りをかけて奮闘する話。

飛行機が墜落しただけでも最悪なのに、そこから海の底でサメに襲われるなんて、もう最悪の上に最悪を重ねたような状況。 墜落ネタもサメネタも、映画では何度も使われてきた設定なので新鮮さはありませんが、もし自分がこの状況にいたらと考えると、やっぱりこういう話のネタは何度観ても嫌いじゃない。

機体は沈み、わずかに残った空間だけが生きられる場所。 その空間は空気圧の関係でエアロック状態になっていて、外に出るのも命がけ。 限られた酸素、迫りくる水圧、そして外にはサメ。 どこにも逃げ場がないという状況が続くので、ストーリー自体はシンプルでも緊張感はしっかりありました。

 助かりそうな人が助かり、死にそうな人が死ぬという、こういうジャンルの映画ではお決まりの展開ではあります。気になったのは、エヴァの目の前に来たサメが、なぜか彼女を避けたシーン。  州知事の娘だからサメも気を使った?そして、ばぁばには最後まで頑張ってほしかった。 

 

全体としては設定の斬新さはないものの、海中の閉塞感、限られた酸素、サメの恐怖、人間同士の不安と衝突 といった墜落モノ、サメモノとしてはしっかり押さえられていて、93分という短さの中でテンポよくまとまっていたかなと思います。何も考えずに観る作品としては優秀なほう。

 

海外旅行中に飛行機機内で本作を観たせいか色々と考えてしまうところもあり、一応シートベルトはしっかり締めました。

 

この作品の評価・・・・★★★☆☆(満点は★5)

製作年:2026年
製作国:アメリカ
日本公開:2026年5月22日

監督:テア・シャーロック

出演:サシャ・バロン・コーエン、ロザムンド・パイク、リチャード・E・グラント

 

 

大手広告代理店に勤めるダミアン・サックス(サシャ・バロン・コーエン)は、金と権力を手にし、自由気ままな恋愛を繰り返し、CEOへの昇進も確実視されていて、この世の春を謳歌していた。だがある日、目覚めると男性と女性の立場が逆転した世界にいた。もとの世界では役員室でふんぞり返っていた身分から一転、周囲から見下され、同僚のアレックス・フォックス(ロザムンド・パイク)とことあるごとに衝突する。もとの世界にいたころの地位に戻ろうとするダミアンは、社内でアレックスと激しいパワーゲームを繰り広げる。

女性優位のパラレルワールドに迷い込んでしまった男の姿を描くコメディードラマ。目覚めると男性と女性の立場が入れ替わった世界にいた男が、状況を打破しようと右往左往する。監督を務めるのは『ビューティフル・ゲーム』などのテア・シャーロック。『ボラット』シリーズなどのサシャ・バロン・コーエン、『ゴーン・ガール』などのロザムンド・パイク、『ある女流作家の罪と罰』などのリチャード・E・グラントのほか、チャールズ・ダンス、エミリー・モーティマーらが出演する。

女性優位のパラレルワールドに迷い込んでしまった男を描くコメディードラマ。 目覚めると、男性と女性の立場がすっかり逆になった世界にいた大手広告代理店に勤めるダミアン。 普段は女性を軽く扱っていた彼が、今度は自分が軽く扱われる側に回り、戸惑いながらも現実を受け止めていく姿がコミカルに描かれています。

ダミアンは元の世界では女性に対して失礼な態度ばかり取っていました。 ところが、気づけば世界は真逆。 街を歩けば女性にジロジロ見られ、仕事では男性が雑用ばかり押しつけられ、会議では意見を言っても軽く流される。 日常の中にある“ちょっとした扱いの差”が積み重なると、こんなにも息苦しくなるのかと感じさせられます。また、以前は見下していた同僚のアレックスが、自分の上司として堂々と立っている姿も印象的。 彼女は強いだけではなく、仕事に対して真面目で、部下への気遣いもある。 ダミアンが彼女の姿を見て、少しずつ考え方を変えていく過程が丁寧に描かれていて、ただのコメディでは終わらないメッセージ性がありました。

 

作品の中には、日常の“あるある”をひっくり返したような場面がたくさん出てきます。 “男性がセクハラまがいの言葉を投げかけられる”“男性の外見ばかり評価される”など、普段は女性が受けやすい扱いがそのまま男性に向けられることで、普段は見えにくい不公平さが描かれていました。

体格や体力の差はどうしてもあるけれど、仕事でもプライベートでも、誰かが当たり前のように不利になる社会はやっぱりおかしい。 立場が変われば見える景色も変わるし気づけることも増える。 この映画はそんな当たり前のことを笑いながら自然と考えさせてくれる作品でした。

 

93分という短さの中でテンポよく進み、予想通りの内容ではありましたが飽きずに最後まで楽しめる内容。 エンタメとしても、社会を見つめ直すきっかけとしても、とてもバランスのいい映画でした。

 

この作品の評価・・・・★★★★☆(満点は★5)

製作年:2024年
製作国:日本
日本公開:2024年6月7日

監督:瀬田なつき

出演:新垣結衣早瀬憩夏帆小宮山莉渚染谷将太銀粉蝶、瀬戸康史

 

交通事故により目の前で両親を亡くした15歳の朝(早瀬憩)は、ぼうぜんとした状態のまま葬儀に参列する。たった一人残された彼女の今後の生活に親類縁者が目を背ける中、朝の母親・実里(中村優子)と気が合わず、姉妹でありながら全く交流のなかった小説家の槙生(新垣結衣)が朝を引き取ると申し出る。性格も生活習慣も違う槙生と朝だが、共同生活を送るうちに絆を深めていく。だが、槙生が実里の遺品である日記を朝に黙って預かっていたことが分かり、朝は取り乱す。

ヤマシタトモコのコミック「違国日記」を実写化したドラマ。不器用な生き方をする小説家と、そのめいで人懐っこく素直な高校生が共同生活を送りながら、家族とも友人とも異なる関係性を築いていく。メガホンを取るのは『HOMESTAY(ホームステイ)』などの瀬田なつき。『正欲』などの新垣結衣、ドラマ「からかい上手の高木さん」などの早瀬憩、『Red』などの夏帆のほか、染谷将太、銀粉蝶、瀬戸康史らが出演する。

コミック『違国日記』を実写化したドラマ。 人とうまく関わるのが苦手な小説家・槇生と、素直で明るい15歳の朝が一緒に暮らし始めるところから物語。家族でも友達でもない、絶妙な距離感のある関係。

槇生は大人なのに、気持ちの整理がうまくできず、人との距離の取り方も不器用なタイプ。近づかれると戸惑い、離れられると不安になる性格。その弱さや迷いがとても人間らしくて、どこか自分自身にも重なる部分がありました。 一方の朝はまっすぐで、まだ世の中の辛さを知らない部分もあるけれど、人を見る目はしっかりしていて、槇生とは違う強さを持っていました。2人の間に流れる空気はぎこちないけれど、少しずつ温かくなっていくのが観ている側にも伝わってきました。

この作品が描いているのは、大きな変化ではなく、ゆっくりとした心の動き。 誰かと暮らしたからといって、すぐに性格が変わるわけではない。 でも、そばにいる相手の存在が、少しずつ気持ちを柔らかくしていく。 その小さな積み重ねが、気づいたときには大きな意味を持っている。 その過程がとても丁寧に描かれていてとても良かったです。

周りの人たちも印象的。 槇生の友人・笠町は、軽いようでいて実はとても優しく、槇生の心をそっと支える存在。 朝の同級生たちも、思春期ならではの不安や迷いを抱えながら、それぞれのペースで成長していく姿が自然に描かれていました。性別や年齢は関係なく、誰も完璧ではない。みんな悩みながら生きている。その当たり前のことが、作品の中ではとても大切に扱われていたと感じました。

 

家族だから分かり合えるとは限らないし、他人でも分かり合えることがある。 大事なのは血のつながりではなく、どう向き合うか。 そして、自分が自分らしくいられる場所を見つけること。 ゆっくりでも前に進もうとする気持ちを持ち続けること。 そのどれもが静かに心にしみてきました

 

派手なドラマではないけれど、じんわりと心が温かくなる作品。 観終わったあと優しい気持ちにさせてくれたような素敵な映画でした。

 

この作品の評価……★★★★☆(満点は★5)

製作年:2026年
製作国:日本
日本公開:2026年5月29日

監督:是枝裕和

出演:綾瀬はるか、大悟、桑木里夢、清野菜名、寛一郎、柊木陽太、余貴美子、田中泯

 

 

 

建築家の音々(綾瀬はるか)と工務店の二代目社長を務める健介(大悟)の甲本夫婦は、2年前に亡くなった息子・翔(桑木里夢)の姿をしたヒューマノイドを家族として迎え入れる。本物の息子のようにヒューマノイドと接する音々だが、健介と音々の母親・信代(余貴美子)は戸惑いを隠せずにいた。息子が生きていたころのような生活に戻れるものだと考えていた音々だが、健介とすれ違うことが多くなり、やがて大きな決断を迫られる出来事が起きる。

ヒューマノイドの少年と彼を家族に迎えた夫婦の姿を描くドラマ。亡くなった息子の姿をしたヒューマノイドと暮らすことにした夫婦が、大きな決断を迫られる。メガホンを取るのは『万引き家族』などの是枝裕和。『リボルバー・リリー』などの綾瀬はるか、お笑いコンビ「千鳥」の大悟、『キングダム』シリーズなどの清野菜名のほか、桑木里夢、余貴美子、田中泯らが出演する。

ヒューマノイドの少年と、亡くした息子の姿を重ねてしまう夫婦の物語。世界の是枝監督作品。

人は生きていれば良いことも悪いことも起きるし、大切な人を突然失う痛みは誰にとっても避けられないもの。今までの是枝監督作品は“どこにでもあるような生活”、“どこにでもいるような家族”のようなものを描いてきました。だからこそ観客が自分の生活と重ね合わせられる距離感が是枝監督作品の良いところ。しかし本作ではSF的な設定によって人間ドラマが薄まってしまい、登場人物の感情に共感しにくい部分がありました。家族、家、自然、ヒューマノイド…。喪失と再生という普遍的なテーマを扱いながらも、どこか現実との距離が生まれてしまっていたのが惜しいところ。感情の積み上げは丁寧なのですが、その丁寧さが逆に展開の停滞につながっている場面もあり、夫婦の葛藤やヒューマノイドの存在意義といった重要なテーマが十分に掘り下げられないまま流れていく印象。 説明を抑えることで余白を生むのは是枝作品らしさでもありますが、今回はその“余白”が深みに結びつかず、単に情報が不足しているように感じられる瞬間がありました。特にヒューマノイドが社会の中でどのように扱われているのか、どの程度普及しているのかといった世界観の説明が曖昧なまま進んでいくため、設定の説得力が弱い。最後の結末を知って、どう受け止めればいいのか、どう解釈すればいいのか。スッキリしませんでした。

 

気になったところもいくつか…

 

甲本夫婦の家の造り。建築家と工務店社長の家なのでオシャレなのは当然なのですが、室内も外の渡り廊下も手すりがなく、あんな家危なくて住めたもんじゃない。そりゃあ子供も落ちるよ。「大改造!!劇的ビフォーアフター」に登場したら絶対SNSで炎上する物件。

 

水NGのヒューマノイドなのに従弟たちと庭で水まきして遊ばせてるのは何故?

 

ヒューマノイドたちの計画に人間の子どもが1人混ざっている点も気になりました。虐待されているとはいえ、普通なら児童相談所や警察に保護されるべきで、森でヒューマノイドと暮らすってご飯とかどうするのだろうか…。甲本夫婦も人間の子が混ざってると知って連れていってるのだから、それ誘拐じゃん。

 

一方で、千鳥の大悟の演技は本当に良かったです。初演技とは思えないほど自然で感情表現も過剰にならず、新人賞を狙えるほどの存在感

 

テーマ自体は深く、物語としては良い話なのに、是枝作品らしい“地に足のついたリアリティ”が薄く、どこか薄味に感じてしまった作品になってしまったのは残念。ヒューマノイドという設定を通して喪失と再生を描こうとした意図は伝わるのですが、観客がその痛みを自分の生活と重ね合わせるには、少し距離があったように思います。それでも、今までの是枝作品とは違った挑戦的なテーマに取り組んだ意欲作であることは間違いなく、観る人によって受け取り方が大きく変わる作品だと感じました。

 

この作品の評価……★★★☆☆(満点は★5)