美穂の酒 | S A L O N

最近、過去のTVドラマを動画配信サービスでよく観ている。

それも出来れば観易い各話30分以内の短い作品だと連続モノでもありがたい。

観終えると、次は何にしようかな~と選ぶにあたり…

食や酒を絡めたストーリーの作品をチョイスしてしまう傾向にはあるのだが…

それもバイプレーヤーの…特に“オジサン”たちの作品は、ついつい観てしまう。

そして、ちょうど今回チョイスしたのが…

浅井 西の『西荻窪 三ツ星洋酒堂』というコミックを原作としてテレビドラマ化された…2021年2月から深夜ドラマ枠で放送されていた同名の作品『西荻窪 三ツ星洋酒堂』。

因みに、この“三ツ星洋酒堂”という架空のバーの外観(店内は全く違うが…)は西荻窪(東京)に実際にある純喫茶「物豆奇(ものずき)」がロケ地として使用されている。

 

物語は、西荻窪にあるカクテルと…缶詰を“as you like(お気に召すまま)”でアレンジした料理のみという少し変わったバーが舞台の…

“オジサン”ではなく…

町田啓太が演じるバーテンダーの雨宮涼一朗と…

その高校時代の同級生…

味覚を失った料理人の藤原季節が演じる中内 智…

雨宮の勧めで期限付きで亡き父の後を継いでオーナーとなった書けなくなった物書き(小説家)の森崎ウィン演じる小林直樹という“イケメン”三人が各話、ココロにちょっとした悩みを抱えた客たちをむかえ、自分たちも少しづつ変わっていくというハートフル・ストーリーのオムニバス・ドラマ。

そして、全く知らずに観進めていたのだが…

この最終話(第6話)に才川尚美という客役でゲスト出演していたのが、この12月6日にお亡くなりになった中山美穂さん。

 

 

中学時代からはじまる自身のアイドル系譜…

キャンディーズ(蘭派)にはじまり、コメットさんの大場久美子…

因みに、伝説ともなっている後楽園球場での「ファイナルカーニバル」…そして台風の到来とも重なった土砂降りの日の日本武道館での「さよならコンサート」の両ラストコンサートにも行った。

 

 

その後は、同年齢の薬師丸ひろ子、伊藤麻衣子(当時)…

沢田聖子…

そして美穂は美穂でも森川美穂と…

 

 

中山美穂がアイドルとしてデビューした当時から、勿論知っているが…

“推し”であったことはなかったとはいえ、この早すぎる死は残念でならない。

謹んでご冥福をお祈り致します。

 

“美穂”つながりということで…

日本酒ブームの切っ掛けともなった尾瀬あきらの『夏子の酒』という…和久井映見主演でTVドラマ化(1994年)もされたコミックがあった。

物語は、東京でコピーライターとして働いていた主人公の夏子が、“龍錦(たつにしき)”という幻の酒米を使った日本一の酒を造るべく奮闘していた兄(康男)の死をきっかけに会社を辞め、その兄の夢を引き継ぐべく実家(佐伯酒造)に戻るところから話が展開してゆくのだが…
それをまさに地で行く…女性杜氏の先駆ともなった今田美穂氏が醸す蔵元が、古くから杜氏の里としても知られる…瀬戸内海に面した広島県安芸津町にある。

明治元年(1868年)創業という“今田酒造”の4代目として蔵を継いだ当時は…“酒蔵は女人禁制”という気風がまだ残っていた時代でもあった。

当初は、京大卒業後に今田酒造に入社したという異色の蔵人…杉浦弘真さんらとともに、たった5人で…造りの規模、年間500石(一升瓶換算5万本)という小規模な酒造りからのリスタートだった。

その美穂さんは、2020年には英公共放送BBCによる「今年の女性100人」(世界で最もインスピレーションを与えた、影響力のある女性100人)にも選ばれている。

 

この蔵元の酒といえば…日本酒好きの方ならご存知かと思うが、【富久長】という酒銘で知られている。

そのラインナップに【美穂】と書いて“びほ”と読む酒がある。

勿論、杜氏である今田美穂さんの名前から命名されたことは言うまでもない。

もう20年ほど前…当時、お付き合いをしていたカノジョの名前が“美穂”だったこともあり…

あの頃は、酒名のみならず…その程よい辛さと酒味の旨さに惚れ、よくこの【美穂】を購入し、吞んでいた。

現在のラインナップを見ると…【富久長 純米吟醸 美穂 Biho】のみしかないようであるが…

 

【純米吟醸 美穂 瓶火入れ】(左)と【純米吟醸 ひやおろし 美穂 】(右)

 

広島県といえば…酒以外にも多々美味いものはあるものとは思うが…言わずと知れた牡蠣の産地としても有名である。

余談だが、私の祖父は父が幼少の頃(昭和初期)に「牡蠣が食べたい!」と思い立ち…

現代のように飛行機も新幹線もない…

ましてや電車すらない“蒸気機関車”の時代にもかかわらず…

長時間、汽車を乗り継いで東京から広島までわざわざ牡蠣を食べに出かけるような人だったそうである。

私が生まれた時には残念ながら既に亡くなっており、お目にかかったことはないのだが…

 

サッとレモンを絞った生牡蠣を頂く時…よく“白ワインがあう”とも言われるが…

それは白ワインが口の中の臭味もとってくれるからであるが、それならば“純米吟醸酒”の方がより良いのだとか…

数年前のこの時期…大晦日に…牡蠣をアテに御酒を一杯…いや、“いっぱい”やりたいと、生食用の殻付き牡蠣をお取り寄せしたのだが…

その牡蠣にあたってしまったというトラウマがあり…

牡蠣の専門店などでいただく分には問題ないのであるが…

家食では、その件以来…“生”はよしている。

同地の水(勿論、海水・淡水の違いはあれど)で育った“安芸の一粒”を【美穂】で頂いたら、さぞや美味なることであろう…

この年末年始は久しぶりに【美穂】でもいただいてみよう。

 

そして、お酒がお好きだったという中山美穂さんに献杯…