手の届かない先にあるもの・・・7 | 短編小説

手の届かない先にあるもの・・・7

 とても短い文章だった。僕は思いも寄らない突然の年賀はがきに驚きと喜びを隠せなかった。そして、忘れてしまっていた記憶が湧き水の如く静かに蘇ってきた。
 僕は中学に入学した当時とても小さな少年だった。だから新調したニッケの学生服も2サイズ以上大きいものを買った。袖は第二関節が隠れるくらい長かったし、ズボンもウエストを3cm短くしてもなおぶかぶかの状態だった。すぐに大きくなるから心配ないと言われたが、結局大きくなる前に擦り切れて使えなくなってしまった。
 クラスでは一番背が低くかわいらしかった。それとやさしい性格をしていたので友だちも多かった。なかでも女子の友だちは多くすぐ仲良しになることができた。まだ男と女というような大人びた感覚ではない。もちろん好きとか嫌いとかもはっきりしない。でも気になってしかたがない女の子がいた。それが純子だった。