人は誰でも、暴力的な衝動を内に秘めている。

 それを実行してしまえば多くの場合は犯罪だが、良くも悪くも思考は自由だ。


 ホームで電車を待つ清楚なお姉さんが、実は隣のサラリーマンを線路に突き落としたいと思っているかもしれない。

 お洒落なオフィス街でバリバリ働くサラリーマンが、実は日本刀で通行人を片っ端から斬りたいかもしれない。

 試験に向けて真面目にノートを取る学生が、実は無差別に銃を乱射したいかもしれない。


 そんな衝動を抑えられ、善悪の区別がつくから我々は人間なわけなのだが、人には残酷な本性が少なからず眠っている。



 そんな本性を呼び覚ますが如く、世紀末を謳歌するのが「fallout4」だ。

 以前の投稿で私が2broの実況動画にのめり込むきっかけになったと紹介させてもらった、ベゼスダ・ソフトワークスが送るオープンワールドRPGゲームである。

 どんなゲームかと聞かれれば、「好き勝手するゲーム」だと答えざるを得ない。


 4とナンバリングされていることからわかる通り、falloutというゲームの5作目である(4作目ではない)。

 ストーリーはもちろんそれぞれ異なるが、核戦争後の荒廃した未来を舞台に繰り広げられるサバイバルがメインとなる。

 4の粗筋は以下の通り。



 - fallout4 -

 第二次世界大戦後、人類は核エネルギーを無限のエネルギーとして利用することを研究し、空飛ぶ車や自律型の家庭用ロボットが普及するようになったifの世界。

 主人公は、妻と産まれたばかりの息子とアメリカ合衆国はマサチューセッツ州、ボストンに在住する一般人。

 ある休日の朝、家族で公園に出掛けようと予定を立てていると、突如テレビから全面核戦争の勃発が告げられ、平和な休日は一変する。


 主人公の従軍経歴からボルトテック社の核シェルターへの優先入居権を獲得していた一家は、間一髪で近所の核シェルターへと避難する。

 不安でいっぱいの中、職員に誘導されるがまま除染ポッドに入るが、実はポッドは除染用ではなく冷凍保存用だった。


 騙されて冷凍されてしまった主人公は、あるときふと冷凍が解除されて目を覚ます。

 すると、謎の集団が主人公の目の前のポッドで眠っていた妻と息子を解凍し、妻を射殺してまだ赤ん坊の息子を連れ去ってしまう。

 その光景を見ていることしかできなかった主人公は、そのまま再び冷凍されてしまう。


 それからしばらくして、完全にシステムダウンしたポッドから脱出した主人公だったが、残りのポッドに入っていた人々は全員死亡。

 シェルター内にいた職員は皆白骨化しており、生存者は自分一人だけだった。

 訳の分からぬまま地上に戻ると、そこは核戦争が起きたあの日から200年以上が経過し、法も秩序も存在しない荒廃した世界だった。


 主人公は、いつ攫われたかも定かでない息子が何処かに生きていると信じ、かつてのマサチューセッツ州ボストンという名前が忘れ去られた“連邦”でのサバイバルに身を投じていく。



 このゲーム売りは、何と言っても自由度の高さだろう。

 まずはキャラメイク。性別、体格、人種、顔の作りを骨格から細かく作ることができる。

 そして、連邦にあるほとんどの場所や物は既に使い物にならないので、限られた資源から家屋を建造し、食物を育て、水や電気を引っ張ってくる。武器もパーツレベル交換し、オリジナルを作る。

 更には、キャラクターのステータスの振り分けによって、ストーリー展開が全く異なるのだ。


 会話の成功率を上げ、穏便に済ませたり詐欺を働くもよし。

 ひたすら筋力を上げ、拳で語り合うもよし。

 射撃スキルを上げ、相手が何か言う前に撃ち殺すもよし。


 世界観で言えば、クリスチャン・ベイルの「ターミネーター4」や、デンゼル・ワシントンの「ザ・ウォーカー」が近いだろうか。

 いやあ、私だったら生き残れる自信ないなぁ。



 何故こんなアブナイものを紹介するかというと、ゲームなんて所詮娯楽である。普段真面目に生きている人が、ストレスの発散の為にこういった世界観を堪能したからといって、それで人が変わったりはしない。

 何でもできるとは言ったが、オープニングで「人は過ちを繰り返す」としっかり釘を刺されてから送り出されると、随所でその言葉を思い出し、最善を尽くそうとしてしまうものだ。

 好き勝手していい場所だからこそ、常に何かを考えずにはいられない。

 すると、そんな娯楽もいいかな、と思えてくるのだ。


 これだけのことをしているだけあってレーティングはZ指定なので正に大人の遊びといったかんじだが、はっちゃける場所を探している人にはオススメの作品だ。

 さて、そろそろ息子に会える頃かな?