節分の日に近くのコンビニへ出かけると、「恵方巻」の幟旗が林立して、「これは買わされる」と身構えて入ると、顔見知りのオーナーが難しい顔で立っていて、一向に勧めようとしないので、ついこちらから「売れてますか」と声をかけました。
「ぼちぼちです」と関西風に言葉を返すので、「それは上々」と言いながら数日前に報道された「アルバイトに恵方巻のノルマを課して、達成できない分を買い上げさせ、代金を給料から天引き」の話を向けてみました。
いささか戸惑いながらも「うちの店ではそこまで阿漕なことはしませんが、私を含めてノルマはあります」と言いながら、販売チャートのようなものを広げて見せ、「本部からの通達もあり、報道されたようなことはない」とアルバイトを見ながら呟かれました。
見られたアルバイトも頷き、「何かと大変ですが、ノルマは嫌ですか」と問うと、「アルバイトの私も店のキャンペーンに参加できて嬉しいです」との返事に、オーナーは頬を緩めて「皆で共通の目標を持つことは、店にとって必要です」と力強く話されました。
報道された内容は「目標に届かなかった分を買わせたうえ、代金を給料から天引きし」、さらに「ペナルティとして就業時間外に店頭でチラシ配りを無償で強要した」というもので、明らかに不当であり違法性の高いものです。
ところが、この報道の影響で「ノルマ」が違法とか、強要したのであればパワハラという意見が広がり、企業が競争に勝ち抜くためにする社内のキャンペーンやコンクールが、あたかも悪徳商法でブラック企業の正体のように言われているようです。
成長する企業のモットーは「販売無くして企業なし」で、全社員が自社商品を愛して消費者に届けることに心血を注ぐ企業が勝ち残り生き残るもので、もし全社員がそうした意識を持たなければ「歌を忘れたカナリア」となって世間から見放されます。
当世の日本のように、辛いことを避け、厳しいことから逃げてばかりいると、やがて国民力が衰退し、ハングリー精神旺盛な周辺諸国から追い上げられ、追い越されていくことの恐ろしさを知るべきで、もう少し事の本質を見抜くことが必要なようです。
人事賃金コンサルタント 上田松雲
chambord_ueda@mediacat.ne.jp