なにも、見るまい。

なにも、言うまい。

なにも、聞くまい。


これで、なぁんにも感じるまい。


閉ざし、閉ざして、

この冬は、


眠るといい。


眠ってしまえ。




ドイテ。

そこ、どいて。

きつく言い放たれた、言葉。

それは、凶器。

優しく言われたって、嫌な響きだ。


居場所を取り上げられたような、不安。

存在を消されてしまったような、悲しみ。


この星に生まれて、生きてるのなら、

いや、生きものだけじゃない。

すべてに等しく、居場所があるのさ。


広くても、狭くても。

楽園でも、地獄でも。



できるなら、楽園となるように。





こんにちは。

店員らしき女のひとは、ふわりと微笑む。

どうぞ、ゆっくり見ていってくださいね。


僕は、言葉を返せず、

ただ、コックリと、うなずいた。

あ…、猫。


あの薬棚のあるカウンターの壁側には、

アンティークチェアがあり、クッションの上には、

大きなトラ猫がゆったりと鎮座している。

目を細めて、こちらを見ている。


…今日は、違う棚を見てみよう。


窓からは飴色の夕日が射し込み、

ステンドグラスの模様を床に落としていた。