北京モーターショーを取材するため中国に行って感じたのは、街を走るクルマの中に小さなクルマが増えてきたなということです。これは中国でもクルマが一般化して、モータリゼーションの進展がすぐそこにまで来ていることを示しているように思います。
世界中どこでも、もちろんかつての日本もそうでしたが、新興市場でクルマは高級車から走り始めます。新興国では金持ちのユーザーでないとクルマが持てないので、最初に走り始めるのはメルセデス・ベンツだったりすることが多いのです。それが一般のユーザーでもクルマを持てるようになると、だんだんに小さなクルマが売れるようになってゆき、それが主流を占めるようになります。これはほぼ共通の発展パターンです。
また新興国では4ドアセダンが需要の中心になることが多いのですが、いろいろなユーザーがクルマを買うようになると、セダン以外のクルマも売れるようになってきます。SUVやミニバンなどは高級車とユーザー層が重なりますが、ハッチバックタイプのクルマは一般のユーザーが選ぶクルマです。
今回の北京で、チェリーQQやホンダ・ジャズなどの小さめのハッチバック車を見かける機会が多かったのは、中国でクルマが一般の人にも広がり始めていることを示すものです。
しかも今回訪問したのが北京だけでしたから、地方ではこの傾向がさらに進んでいるものと思われます。クラウンなどの大型セダンがたくさん走る東京を見ても日本のクルマ社会の全体像が見えないのと同じように、大型セダンが中心の北京を見ても中国の全体像は見えていないのだと思います。小型のハッチバック車を良く見かけるよになったとはいえ、北京ではまだ大型の高級セダンが主力を占めていて、小型ハッチバック車の比率はまだまだ低い水準ですから、地方に行ったらまるで違ったクルマ社会が作られているのでしょう。
日本でも地方では軽自動車が売れ行きの半分くらいを占めているのと同じように、中国でも地方ではコンパクトカーが良く売れて、たくさんの小型車が走り始めているのではないかと想像されます。
いったんモータリゼーションが盛り上がり始めると、急ピッチで加速度的にクルマが普及していきます。今の中国はその寸前にあるように思います。数年後の中国のクルマ社会がどうなっているか、楽しみでもあり怖さを感じさせる部分もあります。