2年程前、
マンションの上階から
ピアノの音が聞こえてくるようになりました。
わたしは、自宅にいるとき
無音をこよなく愛しているので
ほぼ静寂の中で暮らしています。
「あ♪ピアノ弾いてる〜〜♪
どんな曲かな〜♪」
とずっと好意的でした。
それから1年たった頃でしょうか。
段々とストレスを感じるようになりました。
リビングの床で大の字になって
天井を見上げ
リラックスしている最中に
ポロン♪ポロン♪と
予告なしに天井から音が降ってくる。
日に日に不快指数が上がっていきました。
ですが、
息子はというと、
全く気にしていないんです。
いくら上からピアノ音が降ってきても
全く気にならない。
快適に暮らしている。
これって、
どういうことかというと
「不快だ!」と感じる源(もと)が
わたしの中だけにあるんです。
息子の中には源がない。
今では、
その闇を豪快に飛ばせばよい、
とわかるのですけど
そのときはまだ
闇出し方法を知らなかったので
ノートに不満を書きなぐって
ガス抜きしていたんです。
そのときに感じたまんま、
思ったまんまを
遠慮なく書いていたと思います。
息子は何も感じない。
わたしだけが感じている。
つまり、
ピアノの音が原因なのではない。
ピアノ音が原因で
わたしが不快を感じているのではない。
ピアノの音が不快の原因であるならば
息子も不快に感じなくてはならない。
現にわたしは、
ピアノの音が大好きなんです。
そう、
目の前の現象の中に原因があるのではない。
あくまでも
わたしの中に原因があるのだ、と
気づくようになりました。
(時間はかなりかかった)
なぜ?不快なのか、
なぜ?ストレスを感じるのか。
ひたすら、
己の中を掘ってゆく作業です。
嫌だ!静かにしてくれ!うるさい!
と感じる
これは、なんだろう?
この正体(闇)は、一体なんなのだ??
わたしは、
聴覚と嗅覚が過敏気味で
初老なのに息子よりも微細な音を拾ってしまいます。
そのうえ、
この不快さをどうにかしたいと
必死になるので
勝手に耳がピアノ音に集中してしまうんですね。
どんな些細な音でも
キレイ残らず
拾ってしまうようになってしまいました。
これはいかん。
このままだと精神が崩壊しそうだ、と
管理会社に相談しようと思ったのですけど
どうしても!どうしても!!
気が乗らないんです。
スマホにピアノ音を録音までして
今日こそは!!って思うのですけど
なぜか全く気が乗らない。
わたしはどうしたいのだろう、と
自問自答を繰り返し、
ノートにはガンガンに
殴り書きはしていました。
あるとき
エレベーターのボタンを押し間違えて
上階まで行ってしまったんです。
すると、
エレベーターの乗り口の壁に
管理会社からの張り紙が貼ってあったんです。
ピアノの音を控えめにお願いします的な
張り紙が!!
わたしが乗り降りする階にその張り紙はなく、
そこだけに貼ってあったんです。
一気に緩みました。
「わたしだけじゃなかった」
という安心感。
その日もいつものように
ピアノ音が降ってきましたけども
不思議と不快感がないんです。
「あ、また弾いてる」くらいの感覚です。
ほら!やっぱりそうだ!
人間ってのは、いい加減な生き物だ。
不快の源は、外にはない。
わたしの中だ!!
今考えると
わたしだけではない、
という安心感を得て、少し経ってから
パッタリとピアノ音が降ってこなくなったのです。
息子とも
「最近ピアノの音聞こえないね〜」
と言い合ったりしていたので
お引越しされたのだと
思っていたんです。
そんなときに
息子の闇出し方法と出会います。
それと同時期あたりに
ピアノ音ふたたび!!!と
頻繁に降ってくるようになりました。
夜、20時半まではピアノを楽しんでいるようで
それ以降は、聞こえなくなります。
1度だけ、
朝の7時過ぎにポロン♪ポロン♪鳴り出しまして、
まだまだ寝ていたわたしは、
相当イラついて
天井に向かって
「うるさーーーい!!」って叫びました。
でもなんとなくですが
以前よりも
ピアノの音がダイレクトに感じられないような。
なんていうか、
ささやかながらも防音効果的なものを
装備してくれたのかもしれない、
と思っていました。
「うるさーーい!」
と天井に向かって、叫ぶくらいですから
この時のわたしは、
ピアノ音に対する闇をまだまだ抱え
全く浄化できていなかったことになります。
ここから
源を探る旅へと出ることになりました。
つづきます。



