「怒ってナイみたいでよかったナ」

 素早く達也の隣に移動したリーが、小声で耳打ちしてくる。

「ああ。そもそも、怒らせなければいい人なんだよな…」

 彼に同意し、そこまで言った達也はあることを思い出した。

(ん?怒ると怖い人と言えば…)

「あれ?平松とリーと桐谷じゃん、珍しい組み合わせだな~」

 思い出したそばから、その人物の声がすぐ近くから聞こえてきた。

「文人さん…!!」

 達也の向かいであり桐谷の隣の席に座った文人を、達也は戦慄しながら見つめる。

「平松のそれは、どういう顔だ?」

「ああ、いや…何でもないす」

 文人に尋ねられ、ごまかす達也。どうやらすごい顔になっていたらしい。