7月中旬―――もうすぐ夏休みというこの時期のある日、朝から講義を受けるべく達也はキャンパスを歩いていた。

「あ~、今日も朝から暑い…」

 汗を拭きながら唸っていると、ちょうど前方に見覚えのある背中が見えた。部活の先輩、2年の桐谷利典だ。

(あ、桐谷さん)

 せっかくだから挨拶しようと思い、口を開いたその時だった。

「おは「おっはよーうさァーン!!」

 達也の声と被せるように、彼の背後から中国人留学生のリーが、まるで関西弁のようなアクセントで叫びながら体当たりしてきたのだ。

「うおおっ!?」

 反射的によける達也。標的によけられたリーはというと、勢いを押し殺せずにそのまま桐谷にぶつかってしまった。

「ぐはぁっ!?」