下ではスリッパ(達也のベランダ用を勝手に持ち出した)を履いてダッシュで逃げる理人を、同じくスリッパ(自分のとこのベランダ用)を履いた文人がダッシュで追いかけていた。

 2階から飛び降りておいて全く足を痛めた様子のない2人に、達也は目が飛び出しそうになる。

「あの2人はバケモノか…」

 部内での現役エース(文人)と次期エース(理人)の驚異の身体能力を見せつけられ、ただでさえ部活で疲労していたのに今のでどっと疲れた。

「そうだ…和樹の機嫌を直さないと…」

 いつまでもトイレが使えないままだと困る、と達也は重い足取りでトイレの前へ移動する。

 結局、和樹がトイレから出てきたのと東雲兄弟が戻ってきたのは、ほぼ同時刻―――日付が変わる少し前のことだった。