⭐️私が今、思うこと vol.97⭐️
「コロナの時代の僕ら」を読んで、定額給付金のことを 思う
この本は イタリアの新進の作家パオロ・ジョルダーノの短い27編からなるエッセイ集です。
書かれたのは イタリアで新型コロナウイルス感染者が見つかってちょうど1ヶ月後、本格的な感染爆発が始まる前の この2月29日から3月4日の間です。
訳者の説明によれば、著者がこの本を書く切っ掛けになったのは 2020年2月25日付の新聞に寄稿した「混乱の中で僕らを助けてくれる感染症の数学」という記事だったとのことで、エッセイの中でも、今や 私たちの毎日の関心事となった感染症に関わる数字や概念の様々を、とても分かりやすく解説してくれます。著者は作家であると同時に物理学者で数学にとても明るいのです。
さらに これが最後と思って参加したパーティーで、キスによる挨拶をしなかったときの周りの人々の反応など、今の日本で私たちも日々遭遇する 今のこの時だからこそのあれこれを 丁寧に拾い上げ、冷静で明晰な、でもどこか温かい考察を加えています。27編を読み終えると、今世界で起きている事象の 自分では整理しきれない部分が、腑に落ち、何処かに カタリと収まったような感覚を覚えます。27番目のエッセイは 下記のような言葉で結ばれています。
— 僕らは どうしてこんな状況におちいってしまったのか、このあとどんな風にやり直したい?
日々を数え、知恵の心を得よう。この大きな苦しみが無意味に過ぎ去ることを許してはいけない。
あとがきでは このことが終わった時には「一方、僕らはきっとぼんやりしてしまって、とにかく一切をなかったことにしたがるに違いない。」だから 今この時に 忘れたくないことのリストを作っておこうと呼びかけています。
日本では 色々あった特別定額給付金の 申請・給付が 始まろうとしています。このことを巡って 何を考えたか、どのような思いを抱いていたか、人によっての落差がとても大きいのではないかと推察されます。自身はどう考え思っていたのかを、私の忘れたくないことのリストに載せたいと思います。
ピアサポーターひ
このあとがき部分は 今も早川書房の公式ページに公開されていて、読むことができます。 https://www.hayakawabooks.com/n/nd9d1b7bd09a7