前回の続きです。
注)妊娠経過について悲しいお話をします。
不快な思いをされる方は、お控えください。
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最愛の子供を
たった19週で失った。
夢が、未来が、希望が、
一瞬にして消えた。
私はどうやって生きて行く?
どうやって…?
その現実を、最初は受け入れられず
波のように押し寄せる深い悲しみに
病院のベッドで声を押し殺して泣いた。
羊水穿刺の目的で入院するはずが
幼い我が子を堕胎するための入院になってしまった。
どこの病院もそうだと思うが
産科病棟は 天国と地獄が共存し
地獄側の人間にとっては
極めて居心地の悪い場所である。
悲しみに暮れる真夜中も
どこからか赤ん坊の泣き声がする。
廊下は恐ろしくて歩けない
出産間近の妊婦か
出産直後の産褥婦しか
いないのだから。
処置のため、
日に何度か診察室に呼ばれた際にも
顔を伏せて
なるべく外の世界を見ないように
不意に 幸せが 目に入らないように
全身を集中させる。
我が子を
少しでも長く
お腹に居させてあげたいのに
そして
少しでも長く
お腹に居て欲しいのに
二日後には薬で誘発させて
外の世界に 出すことになった。
そんなことをしたら
私は母でなくなるではないか。
そんなことをしたら
この子との本当のお別れが
来てしまうではないか。
そんなことをしたら
私の体は元に戻ってしまうではないか。
気取って買った妊婦服が 着れなくなるではないか。
ガバガバの下着も ガバガバのままではないか。
イヤだ
イヤだ・・
イヤだ・・・・
駄々をこねる4歳児のように
私は、心の中で叫び続けた。
でも、その時はじわりじわりと近づく。
ラミナリアを3本、子宮口に挿入。
数時間置いて、また追加で挿入。
挿入時にツカハラでグイッと子宮口を掴まれるのが地味に痛い。
ツカハラは婦人科用処置器具の一種で
実物を見たことがあるので、
「ツカハラ」と処置医が言うと
痛みが来る、と身構えてしまう。
ついに、その日が来た。
午前中に陣痛誘発剤を膣に挿入
2時間しないうちに
ズンズン下腹が痛くなってきた。
これが、陣痛か!
生まれて初めての陣痛が
泣かない子の出産のため だなんて。
生まれて初めて乗った分娩台が
たった120gの小さな命の誕生のためだなんて。
この日の正午過ぎ
子宮口近くでパーンと何かが弾け
生温かい液体が私の膣から漏れた後
子宮口を無理矢理グイッと広げられ
激痛と大粒の涙と共に
わが子は静かに 生まれた。
この日 誕生日が命日になった。