最近、佐野元春さんばかり聴いている。
少し日本の音楽に疲れたせいもあるし、
日本の音楽はもういいかな、、、
そう感じていたら、ポコンと佐野元春さんが浮かんで、そればかり聴いている私は50代。
戻りたいんだ、きっと。
意味をなくした世界。
意味をなくそうとする世界。
人間の概念、価値観、多様性という胡散臭い言い訳の前に、なんだか玉入れのような世界の前で、
うんざりしたからかもしれない。
13歳ほどの年齢だった私は、
佐野元春さんの音楽をサンヨーのラジカセで聴いていた。田舎に住んでいて、
外は身長ほどの高さの雪が積もっているというのに、佐野元春さんの音楽はいつも都会的で、
かっこよかった。胸がドキドキした。
知らない言葉に耳を澄ませた。
思春期の私はいつも胸の中に何かを抱えていた。
夢。恋。親から教えられる常識の全ては何か鬱陶しくて、学校へ行けばそれはそれで社会がある。
あー考えてみれば、
いつのまにか私も大人になって、
こんなもんだろ。を私は古びた木の看板のように持ってしまっている。
その木の看板は、まるで自分を守るための、
道具にしか見えない時すらある。
時にその木の看板は雨の当たり具合も一点集中になってしまって、木が腐りそうにすらなっている。
私は思春期の心に多分いま戻りたいんだ。
シュンとなった気持ちに、佐野元春さんのリズムがとてもかっこいいと胸が躍った時のように。
こんなかっこいい言葉の使い方があったんだ!
なんて辞書までひいたあの夜のように。
思春期、私のそばにはいつもラジオがあって、
佐野元春、中島みゆき、尾崎亜美、杏里、ニューミュージックと呼ばれる人達のそのほとんどを聴いて生きてきた。アイドルにはあまり興味がなかった私はどちらかと言えば、風変わりで、
ラジオの中のニューミュージック達で、
心をあっためては元気よく歩いていけるような女の子。ラジオにハガキを書いては、
中島みゆきに大石吾朗に名前を呼ばれちゃあ、
喜んでいたような、なんともかわいい女の子。
今はもうニューミュージックの方々を聴こうとは思わないのだけど、
佐野元春さんは別格。
心が木の看板のようになった、こんな私でも、
佐野元春さんの音楽でリズムで、
もしかしたら、弾む気持ちを取り戻せるかもしれない。そんな感じ。
大人になったら、
何故、こんなに訳知り顔に固まってしまうんだろう、、、、
世界の何がわかるっていうんだ。
心の何がわかるっていうんだ。
私の心だって他人には何一つわかるわけない。
わからない。ってわかってる人達がわかったと出した答えが全てになっていく。
木の看板の私だからこそ、
余計にわかるはずもなく、
ただ風に吹かれちゃあ、くたびれている。
木の看板の自分を嫌というほどわかっているから、ふんわりばかり演じているうちに、
心のおさまりどころが、わけわかんなくなる。
木の看板の自分が嫌だから、こうしてるだけよ。
なんて言ってやりたくもなる。
そんな時に賢い言葉はいい。
そんな時にイカしたビートはいい。
そんな時に心踊るような色彩はいい。
木の看板を否定しながら受け入れている。
ふんわりを否定しながらそう流れていく。
誰かが、ほら!なんて言うと、
何がわかるっていうんだ。と心は叫ぶ。
年齢的にそうはならないけれど、
例えて言うなら、
『お父さんもお母さんも、私があのインコをどれだけ大切にしてたか知らないくせにっ!』
なんて泣いて暴れちゃうような気持ちだとか、
『ゆきちゃんにはわかんないよ!私はもっともっと痛かったんだから!あんな寒い場所で1時間待ったからゆきちゃんがココア奢ってくれたって、全然嬉しくないんだから!』なんて泣き怒りする感じ。
『私はお母さんの持ち物じゃないんだよ!生きてるし沢山本当はやりたいことあるんだよ!』
なんて家出しちゃうあの感じ。
まぁ大人からされてきた思春期は、
大人になってもやっぱりあって、
それは力がある人はみんなやると知り、
支配下におかれた時点で、
人間は尾崎豊がいつでも叫びそうになる、
そんな状況になるんだと学び、
きっと老人になったら、私に限らず、
みんなそうなるんだろう。
みんなそうなるね、、まじで、、、
たまに、ざまぁみろ!とか意地悪が出てくる、
私は実は少し意地が悪い。
大人だから全部我慢出来ています。
そして誰にももう頼れないことを知りました。
信じるものは自分だけ。である。
けれど、
こんな年齢でも心は忙しいんだ、私は。
思春期の心に戻って、
ただただ、明日の自分を
ただただ、未来の自分を
牽引してくれる『素敵』を求めていたい。
戻ってこい!私の思春期!
なに?このリズム。
なに?この楽器はなに?
なに?こんな素敵な言葉どういう意味?
なに?景色が浮かびそうなこの歌詞。
そんな『なに?これ』な光は、
どうでもいい悩みなんて、
忘れちゃうあの感じ。
どうでもよくなっちゃうあの感じ。
恋よりも勉強よりも友人関係よりも、
そんなものがバーンと飛んでいっちゃうほどの、
あの感じ。
思春期の心に戻りたくて、
佐野元春さん私のミュージックライブラリーで、
目下、大忙しなのである。
佐野元春さんだけ!で良い。
戻れたらいいなぁ。
年齢が〇〇歳だから、
こうしないといけない。そんな法律は、
はっきり言って、どこの国にもない。
そのことを生きている時間の中で、
ちゃんと感じて生きていたい。
年取ったら子供返りするんだってさ。
それなら今やってもいいって話じゃん。
心は尾崎豊が吠えてるよ、だいたいね。
なんて、ぼんやり考える50代。