9/14に開催された市民向け成年後見制度研修で寄せられた質疑応答について、ご紹介します。
※口頭で弁護士が質問文を読み、口頭で回答されたのをメモして文字に起こしたので、
不完全な部分もあるかもしれません。 もし問題がある場合は連絡をください。
※担当された弁護士は、神奈川県弁護士会川崎支部)矢口 統一(もとかづ) 弁護士です。


質問1)
被後見人のマイナンバーカードの管理はどうされていますか?


弁護士の回答)
基本的にマイナンバーカードは本人のものであるため、専門職は受け取りません。
なので、被後見人のマイナンバーは知りません。知らなくても役所の手続きはできるので。
基本的に後見人の判断になるかと思います。

※マイナンバーカードは転送不可の簡易書留で、本人自宅に郵送されてきますので、

 たとえ成年後見人が郵便局に転居届を出してすべての郵便物を転送してもらっていても、

 転送されずに本人自宅に届きます。受け取りには押印が必要ですので、不在なら送信者(役所)に戻ります。


質問2)
成年後見制度と家族信託の違いは何でしょうか?


弁護士の回答)
先ほどスライド60ー61で説明した通りです。

※本当は講義が終わってから質問を文書で集める予定でしたが、
 今回は説明が長すぎて予定の時刻に終わらなかったため、講義の途中で質問を集めていました。
 質問を集めてから、家族信託の説明や成年後見制度との違いを説明されていました。


質問3)
法定後見・任意後見のデメリットを教えてください。
例えば、①法定後見は一度利用を始めると、判断能力が回復するまで利用をやめることができないとか、
②成年後見人が気にくわないからといっても、交代させることができないとか、
③任意後見人は、本人がした不利な契約を取り消しできない、と聞いています。


弁護士の回答)
①は、その通りです。判断能力が低下した人を保護する制度なので、判断能力が回復しない限り途中でやめることはできません。
②は、気にくわないと思ったのが誰かにもよると思います。
 もし本人(被後見人)が後見人を気にくわないと思ったのなら、裁判所に相談すれば良いし、
 もし本人の親族が後見人を気にくわないと思ったのなら、それはちょっと対応できないですね。
③は任意後見監督人が付く前の契約なのか、付いた後の契約で変わってくると思います。
 任意後見監督人が付く前の契約なら、それは取消はできません。
 任意後見監督人が付いた後の契約なら、取引は取消できると思います。

※この③の回答は誤りだと思います。
 以下の通り、任意後見人には取消権がないことが記載されています。

 ただし、詐欺や脅迫等による契約の場合は、民法96条による取消しができる場合があります。
 この弁護士さんは任意後見人または任意後見監督人をしたことがないのでしょうか?

任意後見制度は、取消権がない|大阪成年後見申立センター
https://office-lso.com/kouken/ninnikouken/column42/#i-3
取消権と同意権|岡川総合法務事務所
https://okagawa-office.com/kouken/torikeshiken.html
任意後見の限界と法定後見への移行|片岡和子司法書士事務所
https://k-k-office.com/?p=12926


質問4)
本人(被後見人)が自宅から、お子さんの自宅に引っ越した場合、本人の自宅を売却するには家庭裁判所の許可は必要ですか?


弁護士の回答)
本人が1人で住んでいて、お子さんの自宅に引っ越したため、本人の自宅が空き家になった場合でよろしいでしょうか?
居住用不動産なので、家裁の許可は必要になります。認められるかどうかは家裁の判断によります。

質問5)
監督人の報酬はいくらでしょうか?


弁護士の回答)
先ほど、スライド47で説明した通りです。

※今回の資料はスライド65まであったため、33ページもありました。

 講義の時間は1時間半でしたが、2時間かかっても説明が終わらないという、

 グダグダの状態で、事務局(川崎市社会福祉協議会)がざわついてました。


以上です。