9/17(金)、私は川崎市社協・川崎市が主催した「市民向け成年後見制度研修」に参加しました。
パンフレットはこんな感じ↓

 

今回の市民向け成年後見制度研修の内容は、こんな感じです。
1.講演(1時間30分) 「成年後見制度の概要について」野口 沙里(さと) 弁護士
2.質疑応答(30分) 「あなたの質問に弁護士が答えます」

前回(2月開催)はオンラインのみで開催されましたが、今回は、会場30名、Zoom30名のハイブリッドで開催されました。
ただし、会場には何人いたかわかりませんでしたが、Zoomには最大で45名(事務局・講師含む)の方が参加されていました。

今回のZoomでは、マイクオフ、カメラはオン/オフどちらでも良いで参加する決まりになっていましたが、
講演開始前のことですが、川崎市認知症ネットワークのKさんとSさんが(知っている人から見たら伏字になっていない)、
マイクオンにしながら電話で大声で話していたため、話している内容が参加者全員に筒抜けになっていた、という事件がありました。
さっそく、事務局さんから「ミュートにしてください」と注意されていました。。。(^_^;) めっちゃ恥ずかしかったです。

講師を担当された野口沙里弁護士は、まだ30台前半の若い弁護士ですが、
弁護士2人の事務所で、現在(※2021.7.1)も20名以上の後見人等に就任しているそうです。
※所属事務所「しんゆりファースト法律事務所」のHPより。

今回講義を受けて気になったことがいくつかあります。

1.前回は申込時に受け付けた質問は、講義の最後で回答してくれましたが、
  今回は申込時に受け付けた質問は、資料作成の参考にするだけで、講義の最後で回答してくれませんでした。


 私が質問した「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」について、資料に載っており、
 「このガイドラインでは、全ての人は意思決定能力があることが推定される」と口頭で紹介していました。
 これを載せて紹介してくれたことについては、今までの研修資料から見ればまったく新しいことで、評価できます。

 しかし私が質問したのは、
 ・弁護士さんも意思決定支援ガイドラインの研修を受けたのか?
 ・弁護士の先生たちもこのガイドラインに沿った形で後見事務をしているのか?
 でしたが、これについては講義の中では答えてくれませんでした。

 講義の後の質疑応答の時間で、前回同様、申込時に受け付けた質問にも答えてくれると思っていたのですが、
 今回は講義中に受け付けた質問にだけ、回答していました。
 ということで申込時に書いた私の質問は、無視されてしまいました。

 主催者である川崎市社会福祉協議会は、1週間前にZoom参加者に資料を郵送しておりますが、
 資料を読めば、申込時に受け付けた質問に答えていない、ということがわかるはずです。
 なので、質問に答えなかった講師だけに原因があるのではなく、主催者側にも原因があると思います。

2.とても資料の説明範囲が広くなり、資料の枚数も、とても多くなっていました。

 成年後見制度の基礎という説明だけでなく、申込時に受け付けた質問について資料を追加したのでしょう。
 おそらく後から追加したであろう「民事信託(家族信託)」について詳しく説明していました。
 そのため、1時間半という短い時間内にすべてを説明するのはとても難しいとわかったのでしょう。途中説明を省く部分もありました。
 →しかし質疑応答の時間が予定より早く終わり、時間が余ってしまったため、説明を省いた部分も結局説明できたのですが。。。

3.「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」について、表面的にしか理解していない。

 ガイドラインでは「全ての人は意思決定能力があることが推定される。」ことが第1原則です。
 そして第2原則では、「本人が自ら意思決定できるよう、実行可能なあらゆる支援を尽くさなければ、代行決定に移ってはならない。」となっています。

 しかし野口弁護士は、後見類型の説明をした時、「会話が成り立たない等、意思疎通が困難な人」と説明していました。
 これは最初から後見類型の方はどうせ意思疎通ができないので、代理決定して良いと決めつけている、という印象を持ちました。
 しかしその考えは、「全ての人は意思決定能力があることが推定される」というガイドラインの第1原則に反していますし、本人の意思を尊重しなければいけないと規定した民法第858条にも反しています。
 野口弁護士は、このガイドラインを軽く読んだだけで、ガイドラインに従って後見業務をしていない、本人に意志を確認せずに勝手に代行決定している、という印象を持ちました。
 だから、私の質問「このガイドラインに沿った形で後見事務をしているのか?」に答えられなかったのだと思いました。

4,最後の質疑応答の時です。任意後見の方で一人暮らしの方は誰が後見監督人申立てをするのか?と質問に対して、
 野口弁護士は、ご本人が信頼できる人に、任意後見契約をしていることを周知しておくことが大切と回答していました。

 
 この質問の意図は、本人が一人暮らしで判断能力が低下したら本人は、監督人申立てなんてできないだろう。じゃぁ誰が判断能力が低下したと気づくんだろう?という意味です。

 この回答を聞いて、私は不思議に思いました。なぜ任意後見契約とは別に、見守り契約を結んでおけば、受任者が定期的にお宅を訪問して様子を見てくれることを、なぜ言わなかったのか?と。
 
 もしかして野口弁護士は、任意後見契約の受任者や任意後見人になったことがないのではないか?
 任意後見には、移行型、将来型、即効型という3種類があることはご存じだと思いますが、
 移行型では、任意後見契約とは別に、見守り契約、財産管理委任契約、死後事務契約を結ぶことが多い、ということまで知らなかったのではないでしょうか?
 見守り契約を結んでおけば、定期的に受任者がお宅を訪問するので、判断能力が低下したかどうかわかります。
 ※野口弁護士に直接聞いたわけではないので、私の勝手な想像です。

この「市民向け成年後見制度研修」は年2回開催される予定です。
私は次回も参加したいと思いました。

次の記事で、(恒例の)市民向け成年後見制度研修の質疑応答を載せる予定です。