1/25(土)午後から、エポック中原で開催された「市民向け成年後見制度研修(基礎編)」に参加してきました。

この研修は、成年後見制度のことをよく知らない市民が、成年後見制度について勉強するためのものです。

参加人数は20名ほどいました。

「成年後見制度について」講義をしてくれたのは、神奈川県弁護士会川崎支部の池田 博毅 弁護士です。

この弁護士さんは、川崎区で事務所を開いており、今まで30名程の成年後見人になったことがあり、現在20件成年後見人を受任しているそうです。

 

講義の内容は割愛しますが、難しい法律用語をできるだけ易しい言葉で説明する様に心がけていました。

また録音を希望する人がいたので、最後の質疑応答だけ、録音を許可していました。

 

私がひっかかったのは、「後見制度支援信託」に関する説明の部分でした。

池田弁護士は、「後見制度支援信託を利用するとなったら、ご本人の現預金をすべて信託にあずけます。そして日々の生活で必要な生活費を、信託の中から定期的に引き出すようにします。」と説明しました。

 

この説明は間違えていると思ったので、休憩時間に私が質問しました。

私「私は親族後見人をしていて、後見制度支援信託も利用しています。さきほどの説明で、ご本人の現預金をすべて信託に預けるとおっしゃいましたが、私の場合は、本人の口座一つに300万円を残して、残りを信託に預けています。すべて信託に預けるように運用が変わったのでしょうか?

池田弁護士は「いいえ、基本的にはすべて信託に預けるのですが、専門職が本人の口座を残した方がよいと判断したなら、そうする場合もあります。」と答えて、間違いを認めませんでした。

私はここで、「そうなんですかー。わかりました」と引き下がりましたが、現預金をすべて信託に預けることは、絶対ありません。

 

理由を説明します。

もし本人の現預金をすべて信託に預けてしまったら、後見制度支援信託からお金を引き出すには、家庭裁判所の指示書が必要となります。

定期的に後見信託のお金を別口座に振り込んでもらうこともできますが、振込先は同じ本人名義の口座でなければいけません。(三井住友信託銀行と三菱UFJ信託銀行に確認済)

定期的に後見信託から本人の預金口座に振り込んでもらうのは、ご本人の毎月の収支予定がマイナスの場合です。

本人自宅の電気代・水道料金・固定資産税などの支払いは、どうするのでしょうか?

支払いをするために、毎回家庭裁判所から指示書を出してもらうことはしません。

自動引き落としにしたい場合、後見制度支援信託の口座を、自動引き落としの口座に指定することはできません。(三井住友信託銀行と三菱UFJ信託銀行に確認済)

自動引き落としの口座に指定するのは、本人が前から持っている銀行口座になります。

東京家庭裁判所が発行している後見センターレポートVol.10では、従前の預貯金口座に100万~500万円を残すように、指針を出しています。

なので、ご本人の現預金をすべて後見制度支援信託にあずけることは、絶対あり得ないのです。

私の母親の場合は毎月の収支がマイナスなので、三井住友信託銀行の後見信託から、毎月一定の金額を、秋田銀行の母親名義の口座に振り込んでもらっています。(振込手数料はかかりません)

 

私の前の成年後見人の司法書士も、後見制度支援信託について間違えた知識を持っていたことを思い出しました。この人は、自称秋田で一番後見業務をしている司法書士です。

この司法書士は、後見信託を利用開始する直前、母親のお金のうち、300万円を私の口座に振り込み、残りの現預金を信託に預けるという、とんでもない提案をしました。

原則、後見人は本人の財産を、親族に贈与してはいけないのに、そんな基本を知らない司法書士の共犯にされると思った私は、もちろん拒否しました。

 

弁護士は法律の専門家であり、池田弁護士は現在20件以上受任している成年後見の専門家ですが、後見制度支援信託の専門家ではない、と思いました。

お医者さんでも、診療する科によってそれぞれの専門医がいます。分野が違えば全然わからないこともあるでしょう。

 

でも後見人は、法律のこと、介護のことだけでなく、本人の生活に関するあらゆることに精通していなければいけないと、私は思っています。

実際は、すべての知識を持つことは無理なので、最低でも誰が詳しいか、誰に聞けばいいか、知っておく必要があるでしょう。

最近は、インターネットを使えば、なんでも情報が入ってくる時代になりました。

でも、インターネットには誤った情報もありますので、1ヵ所だけ調べて鵜呑みにするのではなく、セカンドオピニオンをする様に、何ヵ所か調べてから判断すると良いと思います。