母親の手術が成功して、10日後に抜糸をしました。
抜糸をしてからリハビリが始まると聞いておりましたが、認知症の母親には記憶障害がありますので、手術したことを忘れ、骨折したことを忘れているため、なぜリハビリをしなくてはいけないか理解できません。

 

なので、「骨折しちゃったので歩けないので、リハビリしましょうね」と説明すれば、

母親は理解してリハビリをしたと思いますが、病院では認知症への人への対応が不十分です。
おそらくいきなり「リハビリしましょう」と言い、母親が警戒してリハビリを断ったのでは?
と思います。

すべての医師・看護師は、認知症サポーター養成講座を受けてほしいし、ユマニチュードの研修を受けて実践してほしいと思っています。

 

結果的に、母親は歩けない状態で退院して、施設に戻りました。
さらに、母親は退院直前、尿路感染症にかかっていました。
それは、退院2日前から抗生物質が処方されていたからわかりました。

病院からの引継ぎ資料には、尿路感染症のことは書かれていませんでした。

 

手術をするときは必ず尿が出る管(フォーレ)を付けられます。
通常であれば、手術後にフォーレは外されるのですが、
いつの間にか母親はフォーレなしでは排尿できなくなっており、ずっとフォーレを付けていました。
そのフォーレにバイ菌がついていたのかもしれません。

 

退院してから母親の体温は、尿路感染症の影響で、38度近くまで上がることがありました。
施設に往診してくれる医師は内科・精神科の医師なので専門外ですが、すぐ抗生物質を処方
してくれました。
母親の平温は低めなので、38度近くまで上がったら普通の人の39度ぐらいの感覚なのでしょう。
母親は食欲がなくなり、元気がなくなってきていました。

 

すると、施設の看護師は、私たち家族に以下の質問をしてきました。
・もしこのまま食べられなくなったらどうしますか?①胃ろう②経鼻経管栄養③点滴のみ
・もし急変したら救急搬送しますか?それとも自然に任せますか?
私が帰省する10月2日に返事を聞かせてほしいと。
リハビリをするとかそういう話ではなくなっていました。

 

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この状態で、私は10月1日夜の新幹線で帰省しました。
10月2日10時から泌尿器科を受診するから付き添ってほしい、と言われていたからです。
私は実家からタクシーに乗り、施設に向かいました。
タクシーの中で、「午前中は混んでいるから、午後3時頃に来てほしいと泌尿器科から言われた」と連絡が入りましたが、私はそのまま施設に向かいました。

 

母親は寝ていました。夜あまり眠れていないのかもしれません。
このまま午後3時まで待つか?でも5時間あるぞ・・・。

 

私はこの日17時の新幹線で帰宅する予定でしたので、
15時に診察開始して、すこし時間がかかったら、新幹線に間に合わないかもしれないと思い、翌日の朝1の新幹線を予約しました。
もし17時の新幹線に間に合えば、翌日の新幹線をキャンセルすればいいし、
もし間に合わなかったら、17時の新幹線をキャンセルすればいいのです。

(もちろんキャンセル料金は取られます)

 

そうしているうちに、もう一度母親の部屋を覗くと、母親は目を覚ましていました。
お昼ご飯の時間まで、ずっと母親と会話しました。
途中、看護師さんが体温、血中酸素、血圧を測りにきました。36.7度平熱でした。

 

お昼ご飯は、まず介護士さんがベッドを起こして、背もたれがある状態にしました
次に看護師さんが、お茶2杯と薬を持ってきました。母親に薬を渡すと母親は黙って薬を飲んでいました。
施設に入居したときは、母親は医者嫌い&薬嫌いだったので、薬は食事に混ぜていましたが、今は性格が丸くなったのか、黙って看護師さんの言うことを聞いています。

 

食事が運ばれるまで時間があったので、母親はお茶2杯を飲み終わりましたが、
何度もカップを覗き、もう残りがないことを確認しています。
きっと、お茶をもっと飲みたかったのだと思います。

 

食事が運ばれてくると、待ってましたと言わんばかりにパクパクと食べています。
私は食事が終わる前に、部屋を出て、実家に戻り、荷物を片付けて、駅のコインロッカーに預けました。
できるだけ時間を短縮するためです。
17時過ぎの新幹線に乗るためには、施設を16時に出れば間に合う計算です。

 

私は14時半ぐらいに施設に戻りました。
早めに戻ったのは、ちょうどいいバスがなかったのと、泌尿器科へ向かう時間を私の都合で遅らせないためです。
泌尿器科へは、施設の人が車いすを載せれる車で送り迎えしてくれます。
施設の人も忙しいですし、母親の気分で、いつ出発するか変わってきます。
私は少しでも母親を不安にさせないために、母親の傍にいることにしました。

以前、病院に行くというと母親は行かないこともありました。

今回も慎重に対応しなくてはいけません。

 

14:40頃、施設の人が車いすをもって母親の部屋に入ってきました。
看護師さんが母親に「おしっこの塩梅が良くないから、ちょっと診てもらうので、こっちに移ってもらえますか?」と話しかけて、男性看護師がお姫様抱っこの状態で、母親を車いすに移しました。
抱っこされているときは、母親はすごくおびえていました。
タオルケットをかけられて、すこし安心した顔に戻りました。

 

泌尿器科に行くと、まず尿検査をしました。
前日までは尿に濁りもあったのですが、診察直前の尿は問題ありませんでした。
ただし熱は、37.5度まで上がっていました。午後に熱が上がる傾向があるようです。
医師は、足首を見たり、舌を見たり、目の下の血管を見たり、胸部に聴診器をあてたり
診察をしていましたが、発熱以外は問題がなく、「抗生物質を処方しておくから様子を見てください(熱が下がればもう来なくてよい)、水分をたくさん取ってくださいね」となりました。

 

診察が終わって安心しましたが、たぶん母親は何故ここにいるのか理解できていません。

母親にも安心してもらうために、私は「お母さん、よかったねぇ。なんともないって」と言いました。
そして、「水分をいっぱい取ってね」と言い、ホットミルクティーを渡して、飲んでもらいました。
母親が実家にいたときは、よく温かい紅茶に牛乳いっぱい入れて飲んでいました。
ホットミルクティーは母親の好物なのです。

 

尿路感染症を治すには、尿をいっぱい出してどんどんバイ菌を排出するのが、てっとり早いと言われています。
施設でも、食事の際のお茶を1杯から2杯に増やして、尿をいっぱい出す方針になっています。

 

施設に戻り、思ったより早く診察が終わったので、母親とすこし会話しました。
いつもなら3時のおやつがあるのですが、今日は診察のため、キャンセルしていました。
そこで私は、あらかじめセブンイレブンで買っておいた「ナナチキ」を母親にあげました。
ナナチキはとても柔らかいので、手でちぎることもできます。

手でちぎって一口大の大きさにしてから、母親に渡すと「おいしい」と言いながら食べてました。
ナナチキ1つはちょっと多かったみたいで、半分ぐらい食べたら「あと、いい」と言われました。

テレビを見ていると、90歳を超えても認知症になっていない人は、お肉が好きな人が多い気がしています。

 

今回帰省する前は、リハビリどころではない体調と聞いていましたが、思ったより体調は上向きになっていて、このまま熱がずっと下がれば、みんなと一緒にロビーで食事ができるだろうという状態でした。
なので、「もし食べられなくなったら・・・」の回答をするのを忘れてしまいました。