今週、多摩区内のある場所で、「認知症サポーター養成講座」があり、私は、講師の1人として参加しました。
私は、「認知症キャラバンメイト」なので、認知症サポーターの講師をすることができます。
講師は基本的にボランティアです。一定額の交通費相当は、国からの助成金を受けた川崎市からもらえますが。

依頼があったのは、とある団体さんで、月1度勉強会をしているらしいです。

まず包括から、日本の現状、新オレンジプラン、認知症サポーターとは?
といった説明がありました。
→すこし早口だったので、もっとゆっくり話せばいいのにな、と思いました。

私が説明した部分は、テキストの
・行動・心理症状とその支援
・周辺の人が疲弊する「もの盗られ妄想」
・日常生活に支障が出てくる行動障害
・認知症の診断・治療
・認知症の予防についての考え方
です。

15分の予定でしたが、すこし延びて20分ぐらい話したと思います。

私の説明の特徴は、介護の実体験を交えて話すことです。
・母親に「もの盗られ妄想」があり、犯人にした人に「ハンコ返してください」と電話した話、
・サイフを無くして、私が急遽帰省して一緒に探した話
・もし家族が先に見つけても「あったよ」と教えてはいけない理由
をしました。

さらに行動障害の部分では、
・踏切に立ち入って損害賠償請求された裁判の話、
・万引きした人を精神鑑定したら「前頭側頭型認知症」だとわかり、無罪になった話
もしました。

認知症の治療の部分では、テキストには書いていないこと、
・認知症だと思っていない人を、どうやって病院に連れて行くか
・私の母親は、どうやって連れて行ったか
を話しました。

講座の最後で、質問を受け付けながら、アンケートに記入してもらい、アンケートと交換で、オレンジリングを渡しました。
参加された人の中には、この講座を受けたことがあるので、リングは要らないという人が何人かいました。

アンケート結果を見ると、なかなかいい結果が出ていました。
6割以上の方が、「とても参考になった」と最高評価をつけており、
理解度についても、6割以上の人が「とてもよく理解できた」の最高評価でした。

認知症サポーター養成講座は、参加無料ですし、何回受けても構いません。
教える内容は、基本カリキュラムに沿って話すので、みんな一緒なのですが、話す内容は、講師により変わります。

私の様に、体験談を話す人もいれば、前回私が講師をした時の様に、寸劇をする人もいます。
また、「絵本のよみきかせをする」人もいます。
今回は、「ばあばは、だいじょうぶ」という絵本のよみきかせをしました。
アンケートには、「心にしみる」、「高齢者がかわいらしく見えた」と感想がありました。


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日本には、認知症の方は約520万人いる、と言われています(2017年11月NHK調べ)
2025年には700万人を超えると言われています。
※実は、今のまま一定の割合で増えていくと、2025年は約675万人なのですが、
 糖尿病の方は、認知症になるリスクが高いのでそれを考慮すると、2015年は約730万人になります。
※アメリカや欧州では、認知症の有病率は減ってきています。アメリカでは学歴が高い人のほうが有病率が低いというデータもあるので、もしそうなら、これから日本も有病率が下がるかもしれません。

「認知症になったら施設に入れればいいじゃないの?」と思う人がいるかもしれませんが、
超高齢化社会(2016年高齢化率27.3%)のため、施設や病院に入れない人がたくさんいます。
特養(特別養護老人ホーム)は、介護度の高い人から優先的に入所できるので、多くの待機者がいます。
病院も、急性期あるいは手術が必要な患者から受け入れる方針なので、命の危険がない人は入院することはできません。

これからは、認知症の人を自宅で介護する必要があるのです。
でも、高齢者のうち55%(2014年)は、高齢者2人暮らし、または、独り暮らしです。
同居家族だけで介護するのは大変なので、住み慣れた地域で最期まで暮らすためには、ときどき介護サービスを利用したり、地域で見守る必要があります。

認知症のことを、以前は「痴呆」「ボケた」といった差別的な言葉で表現していたので、他人に相談できず、一人で抱え込む人が多かったと思います。
認知症サポーターは、認知症について正しい知識を持っているので、偏見・差別することなく、見守ったり支援することができます。

認知症サポーターが増えて、よかったです(^_^)